
現代のビジネス環境は、ますます複雑化・変化のスピードが速くなっています。そんな中で企業が求める人材像も、「知識やスキルがあるだけでは足りない」と言われるようになりました。そこで注目されているのが「社会人基礎力」です。
今回は、社会人基礎力の基本的な構成と、それを育てるための教育方法について詳しく解説します。

経済産業省が提唱している「社会人基礎力」とは、職種や業種を問わず、社会人として働く上で必要不可欠な力のことを指します。
これは単なる専門知識や技能とは異なり、どんな仕事にも共通して求められる“人間力”のようなものであり、以下の3つの能力と、そこからなる12の能力要素から構成されています。

社会人として必要なのは、言われたことをやるだけの「指示待ち」型ではなく、自ら行動を起こす力です。この「前に踏み出す力」には次のような要素が含まれます。
この力がある人は、仕事に対して「自分ごと」として取り組むことができます。指示を待つのではなく、自ら問題を見つけて行動に移せる人材は、どんな組織でも高く評価されるでしょう。

「言われたことをこなす」だけでなく、「なぜやるのか」「どうしたらもっと良くなるのか」を考えられる人材が、今求められています。考え抜く力には、以下の3つが含まれます。
この力が育まれることで、単なる「指示通りに動く人」ではなく、「自ら問題提起し、仮説を立て、改善策を導く人」になることができます。つまり、自律的に思考し行動するための土台となるのがこの能力群です。

仕事は個人プレーでは成り立ちません。チームで成果を出すには、他者との円滑なコミュニケーションが欠かせません。
チームで働く力には、以下の6つの要素が含まれています。
この力があることで、周囲との信頼関係を築きながら、建設的なチームワークを実現できます。
社会人基礎力は自然と身につくものではなく、意識的に育てていくことが必要です。では、どうすれば育成できるのでしょうか?
特に「主体性」などの能力を育てたい場合、その必要性を本人にしっかりと伝えることが重要です。
例えば、「営業資料を自分で改善してみる」という行動も、ただ言われてやるのではなく、「お客様にもっと喜んでもらえる提案をするには?」と考えるように伝えることで、主体的な取り組みに変わります。
抽象的な言葉では伝わりにくいため、「主体性とは何か」を具体的な行動に置き換えて説明します。
例:「新しいお客様向けの資料を、既存のものを基に自分でアレンジしてみよう」など、現場の仕事と結びつけて伝えると理解が深まります。
成功体験は自信につながります。小さな仕事でも任せてみることで、「やればできる」という実感を持たせることが、次の行動への原動力になります。
特に主体性を育てたい場合は、裁量のある仕事を与え、試行錯誤の機会を提供することが大切です。
本人が主体的に動いたことに対しては、ポジティブなフィードバックを惜しまず伝えましょう。
たとえ課題が見つかった場合でも、「ここを改善すればもっと良くなる」と前向きに伝えることで、学びと成長を促すことができます。

どんなに教育内容が素晴らしくても、現場の環境がそれを阻害していては意味がありません。以下のような点に注意して、教育環境を見直してみましょう。
社会人基礎力は一朝一夕で身につくものではありません。しかし、職場の中で意識的に育成し、実践を通して磨かれていく力です。
まずは自社にとってどの力が特に重要かを明確にし、その上で「どのように教育するか」「どんな環境が必要か」を考えていきましょう。
社会人基礎力を育てることは、個人の成長だけでなく、組織全体の力を底上げすることにもつながります。未来を担う人材を育てるために、ぜひ今日からできることから始めてみてください。