うつ病の知られていない症状

1. 5大疾患とは

近年、世界保健機構(WHO)は「5大疾患」として、以下の5つの疾患を挙げています。

脳卒中

心筋梗塞

糖尿病

精神疾患

これらはどれも世界的に大きな健康問題であり、特にがんや心筋梗塞、糖尿病などは、運動や食生活に気を配り、健康管理を意識することが重要です。しかし、「精神疾患」、特にうつ病は予防や治療が見過ごされがちです。

2. うつ病の現状とその症状

精神疾患の中でも特にうつ病は、全世界で3億5000万人以上の人が罹患しているとされ、誰もが注意しなければならない病気です。「うつ病は心の風邪」とも言われますが、単なる風邪よりも長く、治療にも時間がかかります。風邪のように「体温」や「咳」といった目に見える症状がなく、症状が他人に伝わりにくいため、「さぼっている」「だらしない」などと誤解されることも少なくありません。

うつ病の代表的な症状

落ち込んだ気分や絶望感

自尊心の低下

涙もろくなる

イライラ感や注意散漫

物事への興味の喪失

睡眠障害(夜眠れない、朝起きられない)

食欲の減退や性欲の低下

3. 見落とされがちなうつ病の症状

うつ病は一般的に知られている症状以外にも、日常生活に影響を及ぼすさまざまな症状があります。以下は、うつ病患者が実際に体験した見落とされがちな症状です。

1) 孤独感の増加

何をしていても楽しいと感じず、周りに人がいても孤独を感じることがあります。これは、うつ病の症状によるもので、病気が改善するにつれて少しずつ和らいでいきます。

2) 誰にも会いたくない

孤独を感じながらも、人に会うことが苦痛に感じられ、病院や美容院などの予約を当日キャンセルすることが増えます。

3) 音楽やテレビが楽しめなくなる

好きな音楽さえもうっとうしく感じられ、音楽やテレビ番組が楽しめなくなります。特に映画やドラマのように集中力が求められるものは避けがちで、日常の楽しみが減っていきます。

4) テレビがついていないと不安を感じる

テレビを見ていなくても、音がないと不安に感じ、つけっぱなしにしておくことで孤独感を和らげようとする傾向が見られます。

5) 夜に眠ることへの恐怖

夜に寝るのが怖くなり、不眠症に陥ることが多く見られます。この場合、無理に夜間に寝ることにこだわらず、リラックスできる昼寝を増やすなどして睡眠を確保することが重要です。

6) 休養中に資格取得に挑戦しようとする

うつ病にかかる人の多くは「頑張り屋さん」が多いと言われ、何もしないことが難しいため、休養中でも資格取得などに取り組みがちです。しかし、これは治療の妨げになることがあるため、医師やカウンセラーと相談し、適切なリハビリ活動を行うことが望ましいです。

7) アルコールに頼りがちになる

気分を上げようとして、ついお酒を飲み過ぎる場合もあります。アルコール依存症とうつ病は併発しやすいため、飲酒の習慣が増えた場合は注意が必要です。

8) 片付けができなくなる

気力がなく、部屋が片付けられない状態が続きがちになります。逆に、片付けられるようになった場合は、回復の兆しと考えられることもあります。

9) 雨の日や気候の変化に弱くなる

天気に敏感になり、特に雨の日は気分が落ち込み、外出もできなくなることが多く見られます。

10) 音に敏感になる

外の笑い声や水滴の音など、些細な音にも過敏になることがあります。これはうつ病の一つの特徴であり、静かな場所で過ごす時間を増やすなどの工夫が必要です。

11) 常に水をそばに置かないと不安

緊張を和らげるために水を頻繁に飲むようになる人もいます。しかし、飲み過ぎによる「水中毒」の危険もあるため、注意が必要です。

4. うつ病予防のためにできること

うつ病の予防や早期発見には、以下のような行動が役立ちます。

心の健康チェック: 日常的に自分の心の状態を観察し、気分の落ち込みが続く場合にはカウンセリングや専門医への相談を検討する。

リラックス法を取り入れる: 深呼吸やストレッチ、瞑想といったリラクゼーション法を取り入れて、心身の緊張をほぐす習慣をつけましょう。

信頼できる人に相談する: 家族や友人など、信頼できる人に自分の気持ちを話すことで孤独感や不安を和らげる効果があります。

生活リズムの改善: 食事や睡眠、適度な運動を心がけ、規則正しい生活を送ることで心身の健康が整いやすくなります。

5. うつ病の早期発見と治療の重要性

うつ病もがんなどと同様に早期発見・早期治療が重要です。うつ病の兆候を感じた場合、無理をせず早めに専門医を受診することで、重症化や慢性化を防ぐことができます。また、治療には時間がかかることもあるため、焦らずに療養することが大切です。

うつ病は誰にでも起こりうる病気であり、現代のストレス社会では特に注意が必要です。自分や周りの人が少しでも不調を感じた場合、気軽に相談できる環境を整えることが、社会全体としての健康意識を高めることにつながります。

心と体の健康を大切にし、うつ病の予防や早期発見のために、日々の生活を見直してみてはいかがでしょうか?