【最新】発達障害の障害者雇用 給与情報2025【ADHD/ASD】

近年、発達障害のある方々の雇用環境が注目を集めており、とくに障害者雇用制度における実態や給与水準について関心が高まっています。本稿では、障害者雇用の基本的な仕組みから、発達障害のある方の就業実態、そして現在の給与事情について、厚生労働省の最新調査データを基にご説明いたします。

障害者雇用とは

障害者雇用

障害者雇用とは、企業が障害のある方を対象とした特別な枠で採用する雇用制度です。この制度の対象となるのは、障害者手帳を所持している方に限られており、手帳のない方は応募することができません。

一定規模以上の企業には、障害者を一定割合以上雇用することが義務付けられています。これを「法定雇用率」と呼びます。令和6年現在、民間企業における法定雇用率は2.5%であり、たとえば従業員が100人いる企業であれば、少なくとも2.5人(実質的には3人)の障害者を雇用する必要があります。

合理的配慮とは何か

合理的配慮とは何か

障害者雇用において、企業は「合理的配慮」を提供することが義務づけられています。これは、障害のある方が職場において能力を十分に発揮し、安心して働くことができるよう、業務内容や勤務形態、職場環境などに配慮を加えることを意味します。たとえば、作業工程の簡略化、業務内容の調整、休憩時間の柔軟化などが含まれます。

発達障害のある方の雇用状況

発達障害のある方の雇用状況

厚生労働省が令和5年に公表した「障害者雇用実態調査」によると、発達障害のある方の雇用者数は約9万1,000人にのぼりました。前回調査(平成30年)の約3万9,000人と比較すると、実に233%の増加となっており、この数年で障害者雇用が大きく進展したことがわかります。

なお、発達障害と診断された方の推定数は約87万2,000人とされています。したがって、およそ1割程度の方が障害者雇用として就労しているということになりますが、これはあくまで「障害を開示して働いている方」に限った数です。実際には、発達障害をクローズ(非開示)で働いている方も多くおられるため、就労率自体が著しく低いとは言えません。

性別構成と年齢層の特徴

性別構成と年齢層の特徴

雇用されている発達障害者の性別は、男性が73.7%、女性が26.3%となっており、これは発達障害自体の診断数が男性に多いという背景を反映していると考えられます。特段、男女による雇用機会の格差は認められていません。

また、発達障害に対する社会の理解が深まり、幼少期から診断を受けるケースが増えてきました。そのため、障害者手帳を取得したうえで新卒として就職活動を行う方も増えており、若年層での雇用促進が進んでいると考えられます。

労働時間と雇用形態

労働時間と雇用形態

同調査によれば、発達障害のある方のうち、週30時間以上勤務している方は全体の60.7%で最も多く、次いで週10時間以上30時間未満の方が30.0%となっています。企業が障害者を法定雇用率の対象として計上するには、週20時間以上の労働が必要なため、多くの求人が20時間以上を条件として設定しています。

一方で、20時間未満で働く方も約10%存在しており、これは企業が個々の事情に柔軟に対応している結果といえるでしょう。とくに精神障害を併発している方などは、体調を見ながら段階的に勤務時間を増やしていくケースも少なくありません。

主な職種と業種傾向

主な職種と業種傾向

発達障害のある方が就業している職種として最も多かったのは「サービス業」(27.1%)で、続いて「事務職」(22.7%)、「運搬・清掃・梱包等」(12.5%)となっています。これらの職種は障害者雇用市場において求人が比較的多く、自然と従事者も増えていると考えられます。

なお、「サービス業」と一口に言っても、飲食店の接客業務だけでなく、調理補助、清掃、ビル管理、ポスティングなど、さまざまな業務が含まれており、対人接触が少ない業務も多く存在します。

最新の給与事情

最新の給与事情

令和5年の調査結果によると、発達障害のある方の平均給与は月13万円であり、週30時間以上勤務している方に限定すると平均15.5万円となっています。これは前回(平成30年)の平均(全体12.7万円、30時間以上勤務16.4万円)と比べて、若干の減少が見られます。

この給与の減少については、賃金自体の低下というよりも、勤務時間の配慮を受けて短時間勤務を選択する方が増えたことが主な要因であると考えられます。なお、障害者雇用においても最低賃金は遵守されており、賃金水準は主に勤務時間に比例して決まります。

より高い収入を目指すには

より高い収入を目指すには

発達障害のある方が収入を上げていくためには、いくつかの方法が考えられます。

まずひとつ目は「勤務時間を徐々に増やす」ことです。もちろん、体調とのバランスが最優先であり、無理をするべきではありませんが、仕事内容に慣れ、安定した状態を保てるようになれば、段階的に勤務時間を延ばすことで収入の増加が期待できます。

ふたつ目は「資格取得によるスキルアップ」です。たとえば、介護系資格、事務系のパソコンスキル、CADやプログラミングなど、専門的なスキルを身につけることで、より高い賃金の求人に応募できるようになります。ハローワークなどで求人情報を確認し、自分の目指す分野を明確にすることが第一歩となります。

そして三つ目は「キャリアアップ制度のある企業への転職」です。多くの障害者雇用は、非正規雇用からスタートすることが一般的ですが、将来的に正社員登用や昇給制度がある企業であれば、長期的に安定した収入を得ることが可能になります。入職前に、昇給・昇進の制度について企業に確認することも重要です。

おわりに

障害者雇用、とりわけ発達障害のある方の雇用は、社会全体で促進されつつあります。しかしながら、給与水準の課題や、職場環境の改善など、引き続き取り組むべき課題も残されています。働く本人にとって無理のない範囲で勤務時間やスキルを高める努力を行い、企業とのマッチングを丁寧に図っていくことが、安定した雇用と収入の確保につながるといえるでしょう。