〜「何で?」をやめるだけで、信頼が生まれる〜
「どうしてこんなことになったんだ!」
「何で確認しなかったの?」
職場でこうした声が飛び交う場面、見聞きしたことはないでしょうか。あるいは、思わず自分がそう言ってしまって、あとから後悔した……という経験がある方もいるかもしれません。
部下がミスをしたとき、どう伝えるかは上司の腕の見せどころです。言い方次第で、部下の成長を促すこともできれば、萎縮させてしまうこともあります。
この記事では、**「部下のミスを責めない伝え方」**について、具体的にお話ししていきます。日々のマネジメントに悩む方のヒントになれば幸いです。

まず押さえておきたいのは、部下がミスをしたときに「怒る」ことと、「指導する」ことはまったく違うという点です。
人は、感情的に怒られると「何を言われたか」よりも「どう言われたか」に強く反応します。
つまり、怒鳴られた、責められたという体験が先に立ってしまい、内容が頭に入ってこないのです。結果として、「また叱られるのが怖い」という気持ちだけが残り、ミスの再発防止にはつながりません。
また、「怒られる=人として否定された」と感じてしまう部下も少なくありません。そうなると信頼関係は崩れ、報連相が滞るようになり、さらにミスが発生しやすくなってしまいます。
上司が感情をコントロールし、冷静に接することこそが、チームの健全な成長にとって不可欠なのです。

部下がミスをしたとき、つい口から出てしまうのが「何でこんなことをしたの?」「どうして気づかなかったの?」という言葉です。
一見、原因を探る建設的な質問のようにも思えますが、これらの言葉には相手を責めるニュアンスが強く含まれています。
特に失敗直後の部下にとって、「何で?」は「責任を追及されている」「自分が否定されている」と受け取られやすいのです。
人は責められていると感じると、防衛本能が働き、素直に反省することが難しくなります。結果として、言い訳をしたり、黙り込んだりするケースも増えてしまいます。
それでは、部下がミスをしたとき、どのように伝えればよいのでしょうか?
責めることなく、でもしっかりと伝えるためのコツを5つ紹介します。

感情的な言葉は、信頼関係を一瞬で壊してしまうことがあります。
ミスを目にした直後は、誰しも心がざわつくもの。そんな時こそ、すぐに反応せず、深呼吸をして冷静さを取り戻す時間を持ちましょう。
時間を置いてから話すことで、言葉も態度も穏やかになり、冷静に対話をする準備が整います。

叱るときは、「あなたがダメだ」と人格を否定するのではなく、「起こった事実」と「その影響」について淡々と伝えることが大切です。
たとえば、
このように、感情的な言葉を排し、事実と影響に焦点を当てることで、部下も落ち着いて話を受け止めやすくなります。
「なぜ〜?」ではなく、「どうすれば防げたと思う?」といった未来志向の問いかけに切り替えることも有効です。
たとえば、
こうすることで、部下は責められていると感じにくくなり、自分の頭で考える姿勢が生まれます。ミスを次に活かすためのヒントにもなります。
部下のミスには、必ず何らかの理由があります。業務量が多すぎた、指示が不明瞭だった、体調がすぐれなかった――など、本人だけの責任ではないことも多いのです。
「今回のこと、どういう経緯だったのか教えてくれる?」
「どのあたりで判断に迷った?」
そんなふうに、相手の状況や心情をくみ取ろうとする姿勢があるだけで、部下は「理解しようとしてくれている」と感じ、信頼感が育ちます。
ミスを指摘した後、必ず伝えておきたいのが「信頼している」というフォローの言葉です。
こうした一言があるかないかで、部下の受け止め方は大きく変わります。叱責で終わらず、励ましで締めくくることが、関係を深めるカギになります。

部下がミスをしたとき、上司に求められるのは「怒ること」ではありません。
感情をぶつけて責めるのではなく、「成長のきっかけにする」ための伝え方が重要です。
今回ご紹介したポイントをおさらいしましょう。
日々の業務に追われる中で、つい感情的になってしまうこともあるかもしれません。でも、部下にとって上司の一言は、大きな影響を与えるものです。
だからこそ、一度立ち止まって「この言葉で相手はどう感じるだろう」と想像する心の余裕が必要です。
優しさとは甘やかすことではなく、相手を尊重し、成長を願うこと。
あなたの伝え方ひとつで、部下は変わり、チームも変わります。
「育てる上司」として、ぜひ一歩ずつ実践してみてください。