発達障害がやりがちなお金の失敗2選

発達障害のある方がやりがちなお金の失敗とその対策

現代社会において、お金の管理はすべての人にとって大切な課題ですが、発達障害のある方にとっては、特に金銭面での困りごとが起こりやすい傾向があります。今回は「発達障害の人がやりがちなお金の失敗」というテーマで、金銭トラブルが生じる理由や具体的な事例、そしてその対策について、わかりやすく解説していきます。

(1)発達障害の人が金銭管理に苦労する理由

(1)発達障害の人が金銭管理に苦労する理由

発達障害とひとくちに言っても、その特徴は人それぞれですが、なかでもADHD(注意欠如・多動性障害)やASD(自閉スペクトラム症)の方々には、金銭管理において共通の困難が見られることがあります。

ADHDの特徴とお金の使い方

ADHDの方に見られる大きな特徴の一つに「衝動性」があります。「これが欲しい」と思った瞬間にすぐ行動に移してしまい、衝動買いが多くなる傾向があります。後先を考えずにお金を使ってしまい、月末に「足りない」という状況になることもしばしばです。

また、「見通しを立てるのが苦手」という特性も大きく関わります。先々の支出を予測したり、計画的に貯金することが苦手な方が多く、クレジットカードの支払い日や急な出費に対応できず、金銭トラブルを招きやすくなります。さらに、不注意の傾向が強い方は物をなくしやすく、同じ物を何度も買い直してしまうなど、出費がかさむ原因にもなっています。

ASDの特徴とお金の使い方

一方、ASDの方に多いのは「こだわりの強さ」です。特定の趣味や収集対象に強いこだわりを持ち、必要以上にお金をつぎ込んでしまうことがあります。また、完璧主義の傾向から、「一番良い物を使いたい」という気持ちが高じて、必要以上に高価な商品を選んでしまうこともあります。

(2)やりがちなお金が原因の様々なトラブル

(2)やりがちなお金が原因の様々なトラブル

では実際に、金銭管理がうまくいかないことで、どのようなトラブルが発生するのでしょうか。よくあるケースを2つ紹介します。

支払いトラブルに発展するケース

クレジットカードを計画なく使ってしまい、翌月の支払いができなくなる、リボ払いに切り替えたものの利息ばかりが膨らんで元金が減らない……といった事例は少なくありません。生活費が足りずに借金を繰り返すうちに、返済が追いつかず、会社に連絡がいったり、最悪の場合は給与の差し押さえにまで発展するケースもあります。

こういった事態になると、お金の問題が信用の問題へと発展し、職場での信頼や人間関係にも悪影響を及ぼすことになります。

また、「お金がないから自己破産すればいい」と安易に考える方もいますが、自己破産は浪費やギャンブルなどが原因では原則として認められません。きちんとした事情と手続きが必要であり、誰でも簡単にできるものではないことを知っておく必要があります。

生活の質そのものに影響が出るケース

趣味や衝動買いに多額のお金を使ってしまい、本来優先すべき支出が後回しになることもあります。例えば、食費が足りずに不健康な食生活を続けたり、身だしなみを整える余裕がなくなることで不衛生になってしまったりします。公共料金が払えずにライフラインが止まってしまったり、家賃の滞納で退去を求められるようなケースもあります。

このような生活の乱れは、仕事や人間関係にも影響を与え、孤立や体調不良、さらには社会生活の継続そのものが難しくなる場合もあります。

(3)お金の失敗を防ぐための対策

(3)お金の失敗を防ぐための対策

では、こうしたお金のトラブルを防ぐために、どのような対策が考えられるでしょうか。

自分の「お金の使い方の癖」を知る

まず大切なのは、自分がどういう場面でお金を使いすぎてしまうのかを把握することです。例えば、ECサイトでの衝動買いが多い人は、店舗での現物購入に切り替えることで防げる場合があります。逆に、ウィンドウショッピングが危険な人は、事前に購入リストを作成してオンラインで必要なものだけを買うという方法もあります。

また、電子マネーやクレジットカードは便利な一方で「使っている実感」が薄れ、浪費の原因になりやすいです。現金払いに戻す、カードの利用枠を小さく設定する、課金の制限を家族にかけてもらうなど、具体的な制限を設けるのも有効です。

予算の見直しを行う

金銭トラブルの多くは、「自分の収入に対して、いくらまで使えるか」を把握していないことが原因です。まずは、家賃・食費・光熱費・通信費などの「生活の基本費用」がいくら必要かを調べましょう。単身世帯の平均支出はおよそ18万円前後、娯楽費は2万円弱といった統計を参考にすることで、自分の支出のバランスが分かってきます。

無駄遣いや衝動買いを完全にやめる必要はありません。ただし、「予算の範囲内」であれば問題ないのです。毎月2万円を趣味や娯楽に使うと決めたなら、その中で自由に楽しむことができます。計画的な「無駄遣い」こそが、長期的には金銭管理の鍵になります。

信頼できる人や機関にサポートしてもらう

自分一人で金銭管理をすることが難しい場合は、信頼できる家族や友人に協力してもらうことも大切です。収支計画を一緒に立ててもらったり、通帳やクレジットカードを預けて「小遣い制」にする方法もあります。

身近に頼れる人がいない場合は、地域の社会福祉協議会などの公的機関に相談するのも一つの方法です。金銭管理支援サービスや生活支援センターなど、発達障害のある方の金銭面の自立をサポートする仕組みも整いつつあります。

おわりに

発達障害のある方が金銭面で困難を抱えることは、決して珍しいことではありません。けれども、自分自身の特徴を理解し、適切な対策をとることで、お金のトラブルは防ぐことができます。大切なのは「一人で抱え込まないこと」と「できる対策から少しずつ始めること」です。
お金の問題は人生の質に直結します。だからこそ、正しい知識と支援を活かしながら、自分らしく安心して暮らせる環境を整えていきましょう。