発達障害を抱える方の中には、「一人暮らしを始めた途端、生活が回らなくなってしまった」「何とか生活しているけれど、毎日が綱渡りのようだ」といった悩みを抱えている方も少なくありません。発達障害の特性は、環境やサポートの有無によって大きく影響を受けます。特に一人暮らしは自分自身で全てを管理しなければならないため、生活の中で躓きやすくなるのです。
本記事では発達障害のある方が一人暮らしをするうえで「詰んでしまいやすい」4つの特徴と、その対策について詳しく解説していきます。

最も多く見られる困りごとの1つが、生活リズムの乱れです。ADHDの特性を持つ方の多くは、元々睡眠に関するトラブルを抱えている傾向があります。夜更かしが習慣化していたり、過集中によって趣味に没頭し、気付けば明け方になっていたりするということも珍しくありません。
一人暮らしになると起こしてくれる人や生活リズムを整える外的要因が少なくなるため、昼夜逆転が進みやすくなります。日中は眠気でぼんやりし、仕事や学校で集中できず、結果的にまた夜眠れなくなる……という悪循環に陥りがちです。
まず大切なのは、「生活リズムを整えよう」と意識を持つことです。就寝・起床時間を決め、趣味や自由時間もタイマーやアプリで管理して時間を区切るようにします。
またスマートライトや自動カーテンなどを活用し、夜は照明を暗く、朝は自然光のような明るさで目覚めを促す工夫も効果的です。

「部屋がどんどん散らかってしまう」「どこから手を付けて良いか分からない」といった悩みもよく聞かれます。実家では家族が片付けてくれていたため何とかなっていた人でも、一人暮らしになると掃除や整理整頓の負担が一気にのしかかってきます。
特にASDの特性がある方は物の定位置を決めたり整理したりする作業が苦手なことも多く、ADHDの方は“今ここに必要なもの”を出しっぱなしにしやすい傾向があります。結果として物が散乱し、片付けに対するハードルがどんどん上がってしまいます。
「全部片付けよう」と思わず、「1日5分だけ掃除」「今日はテーブルだけ」といった“小さなタスク”に分けて少しずつ習慣化していくことが大切です。曜日ごとに掃除の場所を決めると、習慣付けやすくなります。
どうしても難しい場合は、掃除代行サービスを月1回利用するなどプロの手を借りてリセットするのも有効な手段です。

「給料日前なのにお金がない」「カードの支払いが追いつかない」といった金銭トラブルも、発達障害のある人に見られがちな困りごとです。ADHDの人は特に衝動性が強く、計画的にお金を使うのが苦手な傾向があります。
その結果食費や家賃、水光熱費などの生活に必要な費用まで足りなくなってしまい、最悪の場合ライフラインが止まるという事態にもなりかねません。
まずは自分の収入に対する支出を把握し、固定費と変動費に分けて予算を立てることが第一歩です。その上で封筒管理(費目ごとに現金を分けて管理)や、支出の見える化ができるキャッシュレスアプリの活用もお勧めです。
ただし後払い機能やクレジットカードの利用は“今すぐの支払い”という意識が薄れがちなため、注意が必要です。あくまで支出管理を目的に使うようにしましょう。

一人暮らしでは食事の準備も自分で行う必要がありますが、買い物・調理・後片付けと複数の作業が必要になるため、家事が苦手な人にとっては大きなハードルになります。結果として外食やコンビニの偏った食事に頼りがちになり、栄養バランスが崩れたり体調不良の原因になってしまったりすることもあります。
料理が苦手な人でも、最近は冷凍食品やカット野菜、時短メニューなどを使えば簡単に栄養バランスを整えることが可能です。
YouTubeやSNSには、5分〜10分で作れる簡単なレシピが多数紹介されています。週末など時間のある時にまとめて数食分を作り冷凍しておけば、平日も手軽に食事が用意できます。
また、食事管理アプリを使って栄養バランスを見直すのもお勧めです。

一人暮らしは自由な反面、自分一人で全てを管理しなければならないという大きな責任も伴います。発達障害を持つ方にとっては、それが日常の様々な困りごとへと繋がってしまうことも少なくありません。
しかし対策を講じれば、少しずつでも改善していくことは可能です。重要なのは完璧を目指さず、自分にとって「最低限困らない生活」のラインを見つけ、そこに向けて少しずつ工夫や支援を取り入れていくことです。
生活の土台が安定することで、仕事や学業、趣味や人間関係といった“その先の目標”にも力を注ぐ余裕が生まれます。「上手くいかない」と感じている方は自分の生活を見直し、小さな一歩から始めてみてはいかがでしょうか。