~衝動買い・収集癖・重複購入から金銭管理まで~
日々の生活の中で誰もが経験する「お買い物」。しかし、この日常的な行動にも、発達障害の特性が影響することがあります。
今回のテーマは「発達障害の方がやってしまいがちなお買い物の傾向」と「上手にお買い物をするための工夫」について。金銭管理において悩みを抱える方に向けて、具体的な事例や対策をご紹介します。

発達障害には様々なタイプや特性がありますが、ADHD(注意欠如・多動症)やASD(自閉スペクトラム症)に特有の「衝動性」や「こだわり」「記憶の苦手さ」といった特徴が、お買い物の場面でも表れることがあります。
ここでは、代表的な3つの傾向を取り上げます。
ADHDの特性に見られる「衝動性」は、お買い物にも大きな影響を与えます。
たとえば、買う予定のなかった商品をその場の気分や感情で購入してしまう、セール品を見ると深く考えずにカゴに入れてしまう、などが挙げられます。こうした衝動買いが続くと、後から金銭的に困る場面が増えてしまいます。
特に注意したいのが、クレジットカードや後払いアプリの多用です。一時的には「今すぐ手に入れられる」便利さを感じますが、支払いが後に回ることで金額の把握ができず、請求額に驚くことも。
中には、ローンの組みすぎやカード支払いの滞納で債務問題に発展してしまうケースもあります。
ASDに見られる「強い興味の集中」や「収集癖」も、買い物に影響を与える要因です。
好きなキャラクターグッズやフィギュア、文房具、コスメ、ゲームなど、自分のこだわりの対象に対して大量にお金を使ってしまうことがあります。収集そのものは悪いことではありませんが、金銭的な余裕を超えてしまうと、生活に支障が出てしまいます。
ときに「生活費を削ってでも集めたい」という強い思いに駆られ、食費や身だしなみの費用を犠牲にする人も。これは、心身の健康にも悪影響を及ぼしかねません。
記憶力や整理整頓が苦手な場合、「同じ物を何度も購入してしまう」ということが起こります。
家にすでにあるのに、無くしたと思い込んで再購入してしまう。探し物が見つからず、買い直してから数日後に見つかる——こうしたケースはよくあることです。
たとえば、傘やイヤホンなどの小物、電子タバコの本体や充電ケーブルなどは紛失しやすく、何度も買ううちに出費がかさみがちです。スマートフォンのような高額な物を失くしてしまった場合には、経済的なダメージも大きくなります。

それでは、どうすれば買い物で失敗を減らし、金銭管理をより健全にできるのでしょうか。以下に、実践的なポイントをご紹介します。
まずは、自分がどんな時に、どんなものに、どれくらいお金を使っているのかを把握しましょう。家計簿をつけたり、クレジットカードの明細を定期的に確認することで、支出の傾向をつかむことができます。
「ネットショッピングで夜に衝動買いしがち」「外出先で気分が高まって服を買ってしまう」など、自分のお金の使い方のパターンを認識することが、対策の第一歩です。
可能であれば、月単位・週単位で支出項目ごとの予算を立てましょう。
スーパーでもデパートでも、あらかじめ「買うものリスト」を作成してから出かけるだけで、無駄な買い物を減らす効果があります。
リストに載っていない物は買わないと決めることで、「なんとなく気になって買ってしまう」ことを防げます。加えて、リストの物があるコーナーだけを見るように意識すれば、寄り道による衝動買いも減らすことができます。
後払いの便利さに頼りすぎると、支払いを忘れてしまったり、合計金額が把握できなくなりがちです。
「ついつい買いすぎてしまう」という自覚がある方は、あえて現金払いに切り替えるのも効果的です。使える金額を可視化できるため、「今、自分はいくらまで使ってよいか」が明確になります。
封筒などに項目別に現金を分けて管理する「予算封筒法」もおすすめです。
「自分では当たり前と思っていた支出」が、実は他の人と比べてかなり多い場合もあります。
たとえば、月の手取りが20万円の方であれば、家賃や光熱費、食費、通信費などを除くと、趣味に使えるお金は限られます。月の支出バランスを、インターネットや書籍、支援者と話すなどして「一般的な水準」と照らし合わせてみましょう。
そのうえで、「どこにどれくらいお金をかけるか」を自分なりに調整していくことが大切です。
どうしても自分だけでは管理が難しいという場合は、信頼できる家族や友人、あるいは支援機関に相談しましょう。
地域の社会福祉協議会では、金銭管理支援サービスを行っている場合もあります。通帳やお金の一部を預かって管理してくれる仕組みもあり、安心して日々の生活を送れるよう支援してくれます。
発達障害のある方の買い物には、その特性に由来する傾向が表れやすいものです。しかし、それを「ダメなこと」と責める必要はありません。大切なのは、自分の特性を理解し、それに合った工夫を重ねることです。
完璧な金銭管理は難しいかもしれませんが、「困らない」ための知識と準備は誰にでも可能です。
今日からできる小さな対策を、ぜひ試してみてください。