発達障害を抱える人にとって、日常生活を円滑に送るためには、周囲の理解やサポートが欠かせません。特に、身近な存在であるパートナーの接し方や在り方は、その人の生活の質や心の安定に大きな影響を与えます。場合によっては、発達障害の特性が落ち着いたり、反対に悪化したりすることもあります。
本記事では、発達障害のある人と共に過ごすパートナーに求められる理解や対応について、「悪化するパートナー」と「改善するパートナー」の特徴を比較しながら、丁寧に解説していきます。

発達障害のある人は、先天的な脳の特性により、コミュニケーション、感覚処理、注意の切り替え、予定の変更への適応など、さまざまな面で独自の困りごとを抱えていることがあります。それ自体は「性格の問題」や「努力不足」ではなく、脳の仕組みによるものです。
しかし、こうした特性を周囲が理解しないままでいると、「わがまま」「空気が読めない」「いい年してできないなんておかしい」といった誤解を受け、本人が深く傷つくことがあります。こうした誤解やプレッシャーが重なると、うつや不安障害などの「二次障害」へとつながるリスクも高まります。
そのため、身近にいるパートナーが発達障害への理解を持って接するかどうかが、本人の生活の質や心の健康にとって非常に重要なのです。

パートナーの対応次第で、発達障害の症状がより強く表面化し、本人が生きづらさを感じやすくなることがあります。以下のような特徴を持つ人は、意図せず本人にとってストレス源となってしまうことがあります。
発達障害のある人は、「空気を読む」「行間を読む」といった暗黙の了解や察する力が苦手な傾向があります。したがって、「察してほしい」「言わなくても分かるでしょ」といった曖昧なコミュニケーションは非常にストレスになります。
同棲している場合、家事分担や生活のルールが曖昧だと、トラブルに発展しやすくなります。「言わなくてもやってほしい」ではなく、「どのようにしてほしいか」「どうすればうまく生活できるか」を具体的に言葉で伝えることが重要です。
発達障害の特性のひとつに、「予定の変更への弱さ」があります。一度予定を立てると、その流れで動こうとする傾向があるため、急な変更にうまく対応できず、混乱したり強いストレスを感じたりします。
パートナーが頻繁にドタキャンをしたり、直前になって予定を変えたりすると、それだけで大きな不安や疲労感が生じることもあります。
発達障害の人の中には、聴覚、視覚、嗅覚などの感覚が過敏な人が多くいます。たとえば、大きな音が耐えられなかったり、光が強すぎて不快に感じたり、香水や食べ物の匂いに強い不快感を持ったりすることがあります。
このような特性を理解せずに、騒がしい場所や刺激の強い環境に連れ回したり、本人の苦手に無頓着でいると、精神的な疲労が蓄積され、結果的に生活全体がしんどくなります。
発達障害のある人は、定型発達の人が自然にできることを、うまく処理できないことがあります。たとえば、料理しながら会話する、複数の家事を同時に行うといったマルチタスクが極端に苦手な人もいます。
こうした特性に対して、「なんでこんなこともできないの?」という態度で接するパートナーは、本人にとって非常に負担になります。できないことを責められることで自己肯定感が下がり、二次障害につながることも少なくありません。

一方で、発達障害のある人にとって、「この人と一緒なら落ち着いて暮らせる」「安心して本音を話せる」と感じられるパートナーもいます。以下のような特徴を持つ人は、発達障害のある人にとって大きな支えとなります。
発達障害の特性に合わせて、コミュニケーションの仕方や生活の進め方を「一緒に考えてくれる」姿勢がある人は、非常に心強い存在です。
たとえば、曖昧な言い方ではなく、具体的でストレートに気持ちを伝えようと工夫してくれたり、生活のルールを紙に書いて共有したりするなど、特性に寄り添った行動をとってくれる人です。
「あなたに合わせて我慢する」でも「あなたが合わせて当然」でもなく、2人が無理なく幸せになれる方法を共に模索する関係性が理想です。
発達障害のある人にとって、自分の悩みや不安を否定せずに「まずは聞いてくれる人」の存在は非常に大きいものです。たとえすぐに解決策が出せなくても、共感し、味方として耳を傾けてくれるだけで心の安定につながります。
こうした関係性が築けていると、本人は自分の特性を責めることなく、より前向きに日々を過ごすことができます。

ここまでパートナーについて述べてきましたが、必ずしも「恋人」や「配偶者」である必要はありません。信頼できる友人、支援者、あるいはカウンセラーなど、心を開ける「味方」がいるかどうかは、発達障害のある人の人生において非常に大きな影響を持ちます。
発達障害のある人が抱える困難の多くは、特性そのものというよりも、周囲との関係性や社会の理解のなさによって引き起こされる場合が少なくありません。特性を受け入れた上で、共に歩む姿勢を持つことが、安定した関係を築く鍵です。
大切なのは「完全に理解すること」ではなく、「理解しようとすること」。その姿勢があれば、お互いにとって心地よい関係を築くことができるはずです。
発達障害のある人も、そうでない人も、お互いの違いを尊重しながら、安心して共に暮らせる社会を目指していきたいものです。