社会人としての第一歩を踏み出す新入社員にとって、最初の指導者の影響は非常に大きなものです。入社して間もない時期は、職場の雰囲気や業務の進め方、上司や同僚との関係など、あらゆることが新鮮であり、同時に不安や緊張も抱えている状態です。そんな中で、指導者の言葉や態度が新人の心に強く刻まれるのは当然のことです。
だからこそ、新人指導者は言葉の選び方に特に注意を払う必要があります。悪気がなくとも不用意なひと言が新人のやる気をそいでしまったり、職場への信頼感を失わせてしまったりすることがあります。
この記事では、新人指導者がつい口にしがちだが、実は新人にとって大きなマイナスとなり得る「NGな言葉」を3つ取り上げ、その影響と対策について丁寧に解説します。

【新入社員の声】
新入社員は、職場の人間関係や社風、企業の価値観などをまだ十分に理解していない段階にあります。そのため、身近な存在である指導者の言葉を、何のフィルターもなくそのまま受け止めてしまうことが多いのです。
指導者が他人の悪口や会社への不満を口にすると、新人は「この職場は信頼できない」「先輩たちも満足していないのだから、自分もこの会社でやっていけないかもしれない」といった不安を抱いてしまいます。こうした不信感は、新人のモチベーション低下や早期離職にもつながりかねません。
【対策】
職場の人間関係や会社に対する感情は、誰しもが少なからず抱えるものですが、それを新人の前で口にするのは控えましょう。むしろ、職場の良い点や、自分がどんな思いでこの仕事を続けているのかを共有することで、新人の前向きな姿勢を育てることができます。

【新入社員の声】
忙しいのは事実であっても、それを新人の前で繰り返し口にしてしまうと、「自分が話しかけることは迷惑なのではないか」と感じさせてしまいます。結果として、質問や相談を遠慮するようになり、成長のチャンスを逃すことにもつながります。
また、新人にとっては「この仕事はずっと忙しくて余裕がないものなのか」「自分もいずれこんな風になってしまうのか」という漠然とした不安を抱かせる要因にもなります。
【対策】
どれほど忙しくても、新人の前では「余裕のある姿勢」を心がけましょう。忙しさを口にするのではなく、「今は少し手が離せないけれど、〇分後に話を聞くね」といった対応をすれば、相手に安心感を与えることができます。
時間に追われている状況でも、相手に対するリスペクトを持ち、きちんと向き合う姿勢を見せることが、新人の信頼を得る鍵となります。

【新入社員の声】
「無理」「できない」といった言葉は、思っている以上に強い否定のメッセージを含んでいます。特に新人にとっては、「その仕事は難しいが、成長の機会である」という前向きな捉え方ではなく、「最初から挑戦しても意味がない」といった諦めに変わってしまう恐れがあります。
また、指導者にとっては難しいことであっても、新人にとっては意外と得意な分野であることもあります。指導者の主観的な判断で「無理」と決めつけることは、新人の可能性を狭めてしまうことにつながります。
【対策】
ネガティブな言葉を使う代わりに、「難しい部分もあるけど、やり方を工夫すればできるかもしれないね」「一緒に取り組んでいこう」といったポジティブな表現に言い換えましょう。
また、「なぜ難しいのか」「何が壁になっているのか」を論理的に説明したうえで、その壁をどう乗り越えるかを共に考える姿勢を見せることが、新人にとっても成長の糧となります。

新人指導において最も大切なことは、「新人の未来に希望を持たせること」です。仕事を覚える過程でつまずいたり、悩んだりすることは誰にでもあります。だからこそ、指導者の言葉や行動が、新人の心に灯をともすようなものでなければなりません。
ご紹介した「人や会社の悪口」「忙しい」「無理」といった言葉は、指導者が無意識のうちに口にしてしまいがちなものですが、新人にとっては大きな影響をもたらす可能性があります。
新人の可能性を引き出し、前向きに育っていける環境を整えるためにも、日々の言動に意識を向け、「未来を応援する言葉」を大切にしていきましょう。それが、指導者としての最も大切な役割の一つと言えるのではないでしょうか。