新入社員の離職を防ぐ「リアリティショック」4つの対策【新人教育担当者様向け】

新入社員の離職を防ぐ「リアリティショック」4つの対策【新人教育担当者様向け】

新入社員が入社後、早期に離職してしまう原因のひとつとして注目されているのが「リアリティショック」です。これは、学生時代に抱いていた理想や期待と、実際の社会人生活とのギャップに直面した際に生じる心理的な衝撃のことを指します。

本記事では、リアリティショックの概要と、それに対して新人教育担当者ができる4つの具体的な対策について解説します。新入社員の定着率を高め、早期離職を防ぐための参考にしてください。

リアリティショックとは?

リアリティショックとは?

リアリティショック(Reality Shock)とは、理想と現実のギャップに直面したときに起こる精神的な衝撃のことです。この概念は、アメリカの組織心理学者E.C.ヒューズが提唱しました。

学生時代に思い描いていた「社会人としての仕事のイメージ」や「働くことの意義」と、実際の業務内容・職場環境・人間関係との違いを知ったとき、多くの新入社員は戸惑いや不安を抱きます。その結果、モチベーションの低下や無力感、職場への不信感が芽生え、最悪の場合は早期離職に至ることもあります。

実際にリアリティショックを感じる新入社員は約8割

実際にリアリティショックを感じる新入社員は約8割

パーソル総合研究所の調査によると、入社後に何らかのリアリティショックを感じた新入社員は76.6%にのぼるという結果が出ています。多くの新社会人が、「こんなはずではなかった」と感じながら日々の業務に取り組んでいる現実があります。

つまり、リアリティショックは特別なケースではなく、「誰にでも起こりうるもの」として受け止める必要があるのです。そのうえで、新人教育の場でいかにそのギャップを軽減し、乗り越えられるようサポートしていくかが、教育担当者の大きな役割になります。

リアリティショックの主な要因と対策4つ

以下に、リアリティショックが起こりやすい具体的な要因と、その対策をご紹介します。

報酬や昇進に関するギャップ

① 報酬や昇進に関するギャップ

よくある声:
「給与が思っていたよりも低い」
「頑張っているのに昇進のチャンスが見えない」

こうした報酬面のギャップは、仕事への意欲を大きく損なう要因になります。学生時代の就職活動では「年収例」「キャリアアップモデル」などが提示されますが、実際には個人差が大きく、理想通りにいかない現実にショックを受ける人も少なくありません。

対策:

  • 採用段階での情報開示を正確にすること。
    実際の給与水準や昇進のスピード、評価基準など、リアルな情報をあらかじめ伝えておくことで、過度な期待を抑えることができます。
  • 入社後のフォロー面談の実施。
    定期的に面談を行い、現在の不安や期待とのズレを確認しながら、今後の成長の見通しを共有することが大切です。

能力や業務裁量のギャップ

よくある声:
「同期は仕事ができるのに自分だけ遅れている気がする」
「上司が口ばかりで行動していない」

自分のスキル不足を感じたり、上司への信頼感が揺らいだりする場面では、自己肯定感が下がりやすくなります。特に真面目な新入社員ほど、「自分には向いていないのでは」と深く悩んでしまうことがあります。

対策:

  • 個々の特性に応じた教育体制を整える。
    画一的な研修やOJTではなく、個々の強みや苦手分野に合わせた指導が求められます。小さな成功体験を積ませることで、自信を持たせることができます。
  • 「社会人として見られている」という感覚を育てる。
    自分が「一人前の社会人として期待されている」という意識を持てるよう、責任ある仕事を段階的に任せると効果的です。

人間関係のストレス

③ 人間関係のストレス

よくある声:
「上司と年齢が離れていて話しづらい」
「お客様から厳しく叱られて落ち込んだ」

職場内のコミュニケーションに悩む新入社員は少なくありません。特に縦の関係(上司・先輩)や、社外(顧客・取引先)とのやり取りは、学生時代には経験が少なく、精神的なプレッシャーになりやすいポイントです。

対策:

  • チーム全体で育てる意識を持つ。
    新入社員は、配属された部署やチームの「全員で育てるもの」であるという文化を築くことが重要です。日々の小さな声かけやサポートを通じて、孤立感を防ぎましょう。
  • 社外対応には先輩や上司が同行する。
    顧客対応やクレーム対応など、難易度の高い場面では、橋渡し役となる存在がいることで安心感が生まれます。

仕事内容や労働時間のギャップ

よくある声:
「思っていた業務内容と違う」
「残業が多くてプライベートの時間が取れない」

実際の業務がイメージと異なっていたり、働く時間に想定以上の負荷を感じると、リアリティショックは一気に強くなります。とくに社会人経験がない新卒社員にとっては、「残業」や「責任ある業務」の重みに耐えきれないケースもあります。

対策:

  • 年の近い「メンター制度」を導入する。
    入社数年以内の若手先輩をメンターにすることで、仕事上のギャップや悩みを気軽に相談できる環境が整います。年齢や経験の差が少ない分、心理的距離も縮まりやすく、リアリティショックの緩和に有効です。
  • 働き方に関する現実を正しく共有する。
    入社前の説明や、内定者フォローの段階から、仕事の厳しさや業務量についての具体的な話をしておくと、ギャップが生まれにくくなります。

おわりに|リアリティショックは「防げる」もの

リアリティショックは、新入社員本人の問題ではなく、企業や職場がいかに「受け入れの体制」を整えているかが大きく影響します。新人教育担当者としては、「ギャップがあるのが当たり前」という前提に立ち、それを埋める仕組みや関わり方を意識することが大切です。

新入社員の「最初の壁」であるリアリティショックを乗り越える支援が、その後の定着率や成長スピードに直結します。誰もが安心して働ける職場づくりに向けて、現場全体で取り組んでいきましょう。