新入社員の育成において、「ビジネスマナーがなかなか身につかない」という悩みを抱える新人教育担当者の方は少なくありません。電話応対や挨拶、言葉遣いなど、いずれも大切だと伝えているのに、実際の業務場面になると不自然だったり、ぎこちなかったりする。あるいは「なぜこんなことをするのか?」といった疑問を持たれてしまう。
その背景には、単に“やり方”や“スキル”を教えるだけでは不十分だという事実があります。本記事では、新人にビジネスマナーが根付かない理由と、その効果的な指導法について詳しく解説いたします。
そもそもビジネスマナーとは、単なるルールや手順ではありません。その本質は「相手を思いやる心の在り方」を表現したものです。つまり、相手を尊重し、相手の立場に立って考える姿勢が根底にあるのです。
例えば、「上司が来たら立って挨拶する」「名刺交換は順序を守って行う」など、型としてのマナーはありますが、それはすべて「相手に不快な思いをさせない」「信頼関係を築く」ために存在しているものです。
ここで重要なのは、「ルール」と「マナー」は異なるということです。
つまりマナーは強制ではありませんが、ビジネスという「人との関わり」が中心の世界においては、必須とも言えるスキルなのです。
ビジネスマナーがなかなか身につかない理由として、以下のような背景が考えられます。

多くの研修や指導場面で、「こういう時はこうする」といった“やり方”を中心に教えていないでしょうか。もちろん基本の型を覚えることは必要ですが、それだけでは不十分です。
新人にとって重要なのは、「なぜそのようにするのか」という**考え方(マインド)**を理解することです。ビジネスマナーは、単に頭で理解するだけでなく、「相手を尊重する」「周囲を気遣う」といった“あり方”を伴ってこそ、自然な振る舞いとなって身につくものです。
新人研修でビジネスマナーの一通りを学んでも、実際の現場でスムーズにできるようになるとは限りません。なぜなら、「知っていること」と「できること」には大きな差があるからです。
たとえば、名刺交換の手順を頭では理解していても、緊張する現場で自然にその動作ができるかは別問題です。体で覚えるための反復練習が必要です。
3.現場での実践と振り返りが足りない
実際にビジネスマナーが身につくプロセスは、以下のステップが繰り返されることで成立します。
研修で学んだことを実際の業務で使ってみる。そして、うまくいかなかったことや指摘されたことを振り返り、改善する。その繰り返しが、新人のマナー定着には不可欠です。
それでは、具体的に新人がビジネスマナーを身につけるにはどうすれば良いのでしょうか。以下のようなステップを意識するとよいでしょう。
まずは基本の型や考え方を学ぶことから始まります。
・挨拶の仕方
・名刺交換のマナー
・言葉遣い(敬語・丁寧語)
・電話応対のポイント など
ここでは単にやり方だけでなく、「なぜそのようにするのか」「相手はどう感じるのか」といった背景や意味もセットで教えることが大切です。
学んだ知識は、すぐに現場で実践してみることが必要です。最初はぎこちなくても、実際にやってみることではじめて、自分の癖や課題点に気づけます。OJTの中で上司や先輩がフィードバックを行うことが、実践力の向上につながります。
実践の後は、必ず振り返りを行いましょう。
・うまくできた点はどこか
・相手の反応はどうだったか
・改善すべき点は何か
こうした振り返りを通じて、自分の行動を客観的に見つめる力が養われます。そして改善した上で、再度実践する。この繰り返しが「型を覚える→心に乗せる→体で表現する」というプロセスにつながります。
ビジネスマナーを身につけることは、単に「失礼がないようにする」というレベルを超え、以下のような大きなメリットをもたらします。
丁寧な挨拶や適切な言葉遣いは、職場での信頼関係の土台となります。上司や先輩、取引先との良好な関係づくりに欠かせません。
ビジネスマナーをきちんと実践している人は、「この人に仕事を任せても大丈夫だ」と思ってもらいやすくなります。結果的に評価やチャンスにもつながりやすくなります。
個人のビジネスマナーが整っていると、それが企業全体のイメージにも直結します。訪問先での対応や電話応対など、一人ひとりの対応が会社の「顔」として見られているのです。

ビジネスマナーの本質は、「相手を思いやる気持ち」にあります。単に「この場面ではこうする」といった型だけを教えても、それが自然な行動にはつながりません。マナーの意味や背景を伝え、考え方(あり方)まで含めて指導することが大切です。
また、「わかる」から「できる」に変えるためには、職場での実践と振り返りの繰り返しが欠かせません。ぜひ、日々のOJTの中で意識的に取り入れていきましょう。
新人のビジネスマナー定着には時間がかかりますが、焦らず根気よく支援することで、確実に身についていきます。そのプロセスこそが、信頼される社会人への第一歩となるのです。