「させていただく」使いすぎ注意!正しい使い方と例文

「させていただく」の使いすぎに要注意|適切な使い方と例文を丁寧に解説

ビジネスシーンで敬語を使うことは、社会人として基本的なマナーです。その中でも「〜させていただきます」という表現は、特に多く使われる謙譲語のひとつです。しかし、この言い回しは便利な反面、使い方を間違えると不自然な印象を与えたり、かえって相手に違和感を持たれたりする恐れがあります。

本記事では、「させていただく」の正確な意味、使い方のポイント、避けるべき使用例などを丁寧に解説し、例文とともに分かりやすく紹介していきます。

「させていただく」とはどのような表現か

「させていただく」とはどのような表現か

まず、「〜させていただく」は「〜する」に「いただく(もらう)」を組み合わせた謙譲表現であり、次のような意味合いを含んでいます。

  • 自分がある行動をすることに対し、相手の許可や承諾が前提として必要である
  • その行動によって自分が利益や恩恵を受けることが含まれている

つまり、「させていただく」は、単なる丁寧語ではなく、「相手の理解や配慮を得て行動をとる」という意味を持っています。

過剰に使うとどうなるか?

過剰に使うとどうなるか?

この表現はとても丁寧に聞こえるため、特に新入社員や接客の現場では頻繁に使われる傾向がありますが、以下のような問題点があります。

1. 文章や会話がまわりくどくなる

「させていただく」は文が長くなるため、使いすぎると話のテンポが悪くなります。

例)
×「お見積もりを作成させていただき、明日ご連絡させていただきます」
→〇「お見積もりを作成し、明日ご連絡いたします」

2. 不自然に感じる人もいる

敬語は相手への配慮の現れですが、過剰に使うと逆に「丁寧すぎる」「不自然」「わざとらしい」と感じる人もいます。とくに年齢が上の方や言葉遣いに敏感な方ほど、違和感を覚える傾向があります。

適切な使用シーンとは?

適切な使用シーンとは?

「させていただく」を用いて問題ない場面は、前述のように「相手の許可が必要」かつ「自分にとって恩恵がある」行為をする時です。

正しく使えるケース

  • 資料を印刷させていただいてもよろしいでしょうか?
    → 相手の物を使って印刷する場合、相手の了承が必要。
  • 来週、有給を取らせていただければと思います。
    → 会社の制度に則って取得するものなので、上司の許可が前提となる。
  • 現場を撮影させていただき、記録として残します。
    → 相手の施設を使う場合など、撮影許可が求められるケース。

こうした場面では、「させていただく」は適切な敬語表現として使えます。

不適切な使い方の例

一方、相手の同意を得る必要がない、あるいは既に自分の行動として完結している場合には、「させていただく」は不適切です。

× 使用すべきでないケース

  • ご説明させていただきます。
    →「説明する」は自分の行動であり、相手の承諾は不要。
    → 正しい表現:「ご説明いたします」
  • 商品価格を値上げさせていただきました。
    → 値上げは企業側の判断で行うもので、顧客に許可を取るわけではない。
    → 正しい表現:「価格を改定いたしました」など
  • ○○大学を卒業させていただきました。
    → 卒業は個人の経歴であり、相手からの恩恵は関係ない。
    → 正しい表現:「○○大学を卒業いたしました」

このように、本来使う必要のないところに「させていただく」を入れると、意味が曖昧になるだけでなく、不自然な敬語になってしまいます。

二重敬語にも注意

二重敬語にも注意

すでに謙譲語になっている語句に「させていただく」を付け加えると、敬語が重複してしまい「二重敬語」になります。これは日本語として誤った使い方であり、避けるべき表現です。

× 二重敬語の例

  • 拝見させていただきます
    → 「拝見する」だけで十分に敬意が表現されている。
    → 正しい言い方:「拝見します」
  • 伺わせていただきます
    → 「伺う」は既に謙譲語。
    → 正しい言い方:「伺います」

このような重複表現は、特に目上の人や取引先に対しては失礼に当たる場合もありますので注意が必要です。

より自然で好印象な表現にするコツ

「させていただく」に頼りすぎない敬語表現の幅を持つことで、より洗練された日本語になります。以下のような言い換えを覚えておくと、会話がスムーズで明快になります。

言い回し(避けたい)より自然な表現
ご連絡させていただきますご連絡いたします
説明させていただきます説明いたします
ご報告させていただきますご報告いたします
お電話させていただきますお電話いたします/お電話差し上げます

過剰な丁寧さは、時に相手との距離を生んでしまいます。場面に応じて適切な言葉を選び、伝わりやすく丁寧な日本語を使うことが重要です。

まとめ|「丁寧さ」と「伝わりやすさ」のバランスが大切

「〜させていただく」は、丁寧な表現として有効である一方、乱用すると意味が曖昧になったり、聞き手に誤解を与える可能性があります。以下のポイントを意識することで、適切な敬語が身につきます。

  • 本当に相手の許可が必要な場面かを見極める
  • 恩恵がある行為に対してのみ使用する
  • 謙譲語や敬語の重複を避ける
  • 無理に丁寧にしすぎず、自然な敬語表現を選ぶ

敬語は形式的なものではなく、「相手を思いやる気持ち」を言葉にするための手段です。だからこそ、ただ形式に頼るのではなく、状況に合わせて言葉を選ぶ力が求められます。

日常業務やメール、電話応対などあらゆる場面で、誤解を生まない正しい敬語を使えるよう意識してみましょう。