皆さんは、「せっかく勉強したのにすぐ忘れてしまう……」という経験はありませんか?
講義を受けたり本を読んだりしても、数日後には内容が思い出せない——。実は、それには明確な理由があります。
学習内容をどれくらい覚えていられるかは、「学び方」によって大きく異なるのです。
アメリカの教育研究機関「NATIONAL TRAINING LABORATORIES」が提唱した**ラーニングピラミッド(学習定着率ピラミッド)**は、どのような学び方が効果的なのかを示した有名な理論です。
今回はこのラーニングピラミッドの仕組みをもとに、学習定着率が高まる7つの学習方法と、それぞれのポイントを丁寧に解説していきます。
■ ラーニングピラミッドとは?
ラーニングピラミッドとは、学習方法によって学習定着率(=学んだ内容をどれだけ覚えていられるか)が異なることを図式化したものです。
下に行くほど定着率が高く、「能動的な学び」であるほど効果的とされています。
▼ ラーニングピラミッドと定着率一覧
| 学習法 | 定着率 | 学習の性質 |
|---|
| 講義を聞く | 5% | 受動的 |
| 読書 | 10% | 受動的 |
| 視聴覚体験(動画など) | 20% | 受動的 |
| 実演を見る | 30% | 受動的 |
| グループ討論 | 50% | 能動的 |
| 自分で体験する | 75% | 能動的 |
| 他人に教える | 90% | 能動的 |
上位4つ(講義~実演)は受動的学習、下位3つ(討論~教える)は能動的学習です。
つまり、「聞くだけ」「読むだけ」では記憶に残りづらく、自ら手を動かす・話すなどの参加型学習が最も効果的なのです。
■ 7つの学習方法と、定着率を高める工夫
1. 講義を聞く(定着率5%)
最も一般的で伝統的な学習法ですが、定着率は最低レベル。
そのため、聞くだけではなく「能動的に受ける姿勢」を持つことが大切です。
▼ 定着率を上げる工夫
- 経験談や具体例を交えると、記憶に残りやすくなる
- 話に抑揚をつけることで集中力が維持しやすくなる
- 講義中に質問を交えると、聞き手が能動的になる
- 必ずメモを取ってもらい、復習の習慣をつける
2. 読書をする(定着率10%)
本を読むことで多くの知識を得られますが、これも受け身の学習に過ぎません。
読むだけで終わらせない工夫が必要です。
▼ 定着率を上げる工夫
- 読書の目的を明確にする(例:「この章を読んだら○○について話せるようになる」)
- 読後にまとめや感想を書く
- 重要な部分にマーカーを引く、付箋を使う
- 人に話す前提で読んでみると理解が深まる
3. 視聴覚体験(定着率20%)
動画やスライド、音声教材などを使った視聴覚学習は、読書より定着率は高いものの、やはり受け身です。
映像だけでなく、「自分の考え」や「振り返り」を入れると効果的です。
▼ 定着率を上げる工夫
- 学習の目的を事前に伝える
- 視聴後に感想や気づきを記録する
- グループで見て話し合うと、さらに効果UP
- 学習内容について質問を考える
4. 実演を見る(定着率30%)
実際の動きや行動を目で見ることで、記憶に残りやすくなります。
特に、リアルな現場での実演は、臨場感とともに学習効果が高まります。
▼ 定着率を上げる工夫
- 動画よりも「実際に目の前で行われる実演」の方が効果的
- 見ながら「自分ならどうするか?」を考える
- 実演後に実際にやってみる(=体験につなげる)
5. グループディスカッションに参加する(定着率50%)
話し合いや意見交換を通して、他者の視点を取り入れ、自分の理解を深めることができる学習法です。
▼ 定着率を上げる工夫
- テーマを明確に設定する(例:「自社の課題を洗い出す」など)
- 話し合った内容を発表させる
- 書記・発表役などの役割を分担して参加意識を高める
6. 学んだことを実践する(定着率75%)
習ったことを実際に自分でやってみることで、記憶に定着します。
いわば「行動を通じて学ぶ」方法です。
▼ 定着率を上げる工夫
- 研修後すぐに職場や日常で実践できる仕組みを作る
- 事前に「実践内容の計画」を立てておく
- 実践した結果を報告・共有する機会を設ける
7. 他人に教える(定着率90%)
誰かに教える=自分の理解が必要です。
最も高い学習定着率を誇るこの方法は、アウトプット学習の極みといえます。
▼ 定着率を上げる工夫
- 学んだ内容を自分の言葉でまとめて説明する
- ミニ研修会や発表会を企画する
- 書いたり話したりしながら自分の理解を深める
■ 研修や学習を成功させるためのポイント
企業の研修やセミナーなどでは、次の3つの観点が成功の鍵になります。
1. インプットとアウトプットを組み合わせる
- 「講義」+「ロールプレイング」
- 「ディスカッション」+「プレゼン発表」など
一方通行の情報提供で終わらせず、「話す・動く」場面を取り入れましょう。
2. 研修前に意識づけする
- 「なぜこの研修を行うのか」「どんな場面で活かせるのか」を伝える
- 講師は“教える人”ではなく、“ファシリテーター”として受講者を導く役割を意識しましょう
3. 職場での実践とアフターフォロー
- 研修後に「実際に何を実践したか」「成果はどうだったか」を報告する仕組みを作る
- 朝礼や会議で、受講者が学んだことを共有する機会をつくる
こうした継続的なフォローが、学習内容の定着と行動変容につながります。
■ まとめ|学習の効果は「学び方」で決まる!
- 「聞く・読む」だけの受動的学習では、ほとんど覚えられません
- 「話す・体験する・教える」といった能動的学習こそが、記憶に深く刻まれる学び方です
- 研修や自己学習でも、「どうやって学ぶか」を意識することが成果を大きく左右します
今日からあなたの学び方を、ちょっと変えてみませんか?
メモを取る、話す、誰かに教えてみる——。小さな一歩が、学びを確実なものに変えてくれます。