【ASD】意見が言えない|言うのが苦手な原因9選|大人の発達障害|ADHD

会議で意見が言えない…自分の気持ちが分からない時の考え方と対処法

会議や話し合いの場で、意見を求められても自分の考えを伝えることができず、困った経験はありませんか?また、「自分がどうしたいのかが分からない」という気持ちになったことはありませんか?そのような状況が続くと、周囲の意見に合わせて過ごす日々が続き、ただ流されているように感じることもあるでしょう。

そもそも意見が言えないこと自体は悪いことではありませんが、何が原因で言えないのかを理解することが、より生きやすい人生を送る上で大切です。特に、発達障害の一種であるASD(自閉スペクトラム症)を持つ方は、こうした「意見を言うことが苦手」という特徴が顕著に現れる場合があります。本記事では、ASDの方に見られやすい「意見が言えない原因」を9つご紹介し、それぞれの対策についても解説していきます。

ASDにおける意見を言えない原因9選

ASD(自閉スペクトラム症)は、コミュニケーションや社会性に障害を持つ発達障害です。ASDの方が意見を言えない原因にはいくつかの特徴が関係していることが多いです。それでは、ASDの方が意見を言えない原因について一つずつ見ていきましょう。

1.曖昧さに対する苦手意識

ASDの特性として、「曖昧さが苦手である」という傾向があります。「ほどほどにやっておいて」などの曖昧な指示をどう受け止めればいいかが分からない場合、質問内容が曖昧であるとそれに答えるためにさらに考え込んでしまい、意見を言いづらくなります。また、自分の意見にも曖昧さがあると感じ、「考えが正確でないかも」と不安になってしまうこともあります。

2.想像することに対する苦手意識

ASDの中には、想像することが苦手な方がいます。具体的には、将来に関する意見や、経験したことのない事柄に関する話題について考えるのが難しいと感じることが多いです。これにより、会議の場などで未来の予測や新しいアイデアを出すときに発言が少なくなりがちです。

3.自己肯定感の低さ

過去に失敗した経験が多いと、自分の意見に自信が持てなくなることがあります。また、親からの過干渉や否定的な育てられ方の影響もあり、自分の考えが「正しいかどうか」に自信が持てず、「どうせ自分なんて」と自分を否定してしまうこともあります。

4.セントラルコヒーレンスの苦手さ(全体像を把握しにくい)

ASDの方は、「細部に意識が集中するあまり、全体の意味や目的を把握するのが苦手」と言われることがあります。細かい情報にばかり目が行ってしまい、全体的な視点で意見をまとめることが難しく感じることがあるのです。このため、「何を意見すればよいか分からない」という状態に陥りやすくなります。

5.ワーキングメモリの弱さ

ワーキングメモリとは入ってきた情報を頭の中で保持して、どの情報を覚えておけばいいのか、どの情報は削除していいのかを整理する能力の事です。ワーキングメモリが苦手な場合、会議で意見を求められる前の段階での話題を覚えていられず、発言に必要な情報が抜けてしまいます。日常生活でも、数個以上の指示を覚えることが苦手なことが多く、会議でのやりとりの中で意見を思いついても、話を聞くうちに忘れてしまう場合もあります。

6.シングルフォーカス(1つの事柄に集中する特性)

ASDのシングルフォーカス特性により、1つの事柄に意識が集中してしまい、全体の流れが把握できなくなることがあります。会議の話の前提条件ばかりを考えたり、考えが深まりすぎて他の意見が浮かばなくなったりすることがあります。

7.こだわりの強さ

こだわりの強さがあると、意見を伝える際に言葉や内容に細かくこだわりすぎてしまい、「正確な表現ができているか」などを考えすぎて意見が言いづらくなることもあります。日常生活でも予定の変更が苦手で、自分のペースが崩れると不安が募ることが多いです。

8.話すタイミングが分からない

ASDの方の中には、他人の気持ちや表情を読み取る「心の理論」が苦手な人もいます。そのため、会話の間で意見を述べるタイミングが分からず、他人の話が終わったのかどうかを読み取れないことがあります。

9.不注意

ASDの方がADHDの特徴を併せ持つ場合、不注意が原因で意見を聞き逃したり、自分が話すタイミングを逃したりすることがあります。例えば、会議中にぼーっとして他の話題に気を取られることで、必要な情報が頭に入らず、意見が出せないこともあります。


意見が言えなくても悪いわけではない

ここまで、ASDの方が意見を言えない原因を挙げましたが、「意見が言えない=悪い」というわけではありません。意見を言えることは会議や話し合いの場を活発にしますが、逆に多すぎる意見が出てまとまらないこともあります。ワンマン体制の職場であれば、むしろ意見が少ない方が意思決定が早く進むこともあります。

ただ、時と場合によって「意見を言う」ことが必要な場面もあります。理想的には「基本的には意見しないが、求められれば伝えられる」という状態が望ましいかもしれません。以下に、ASDの方が少しでも意見を言いやすくするための対策をご紹介します。

意見を言いやすくするための対策

1.多様な経験を積む

ASDの方は、興味が特定分野に偏りやすく、経験が少ないことで意見が出にくいことがあります。そのため、新しい体験や普段しないことに挑戦し、視野を広げることで意見を述べる際の選択肢が増えやすくなります。

2.フレームワークを活用する

意見を言うのが苦手な場合、「DESC法」「PREP法」「WOOPの法則」など、フレームワークを学んで活用すると効果的です。これらのフレームワークを使えば、意見を構成するのに役立ち、スムーズに伝えやすくなるでしょう。

3.メモを活用する

会議などで意見を求められる際には、メモを取る習慣をつけましょう。ワーキングメモリが苦手な方でも、話の内容を忘れずに済むため、意見を求められたときに答えやすくなります。


ASDの方は「意見を言う」ことに対して様々な苦手意識を持っていることが少なくありません。原因を理解し、自分に合った対策を取ることで、少しずつ自分の意見を表現しやすくなるでしょう。また、無理に意見を言うことが重要というわけではなく、自分のペースで「言うべき時に言える」ことを目指すことが、ASDの方にとってより豊かなコミュニケーションの道を拓くきっかけになるかもしれません。 さらに詳しい情報やサポートが必要な場合は、発達障害の専門家や支援機関に相談してみることもおすすめです。