疲れやすい大人の発達障害5つの対策|体調管理|ADHD|ASD|

疲労の蓄積と発達障害の影響

発達障害を抱える方にとって、疲労の蓄積が日常生活や仕事に与える影響は少なくありません。
特に、ADHD(注意欠陥・多動性障害)やASD(自閉スペクトラム症)を持つ方々は、疲労が溜まると障害特性が強く現れる傾向があり、日々の生活に支障をきたしやすくなります。
たとえば、ADHDの方は疲れているといつも以上にそわそわして集中力が低下し、ASDの方はこだわりが強くなったり、過度な眠気に襲われたりすることがあります。
また、セルフモニタリング(自己の状態を把握すること)が苦手なため、疲労を自覚せず、突然休まざるを得ないこともあります。
このように、発達障害のある方には特に体調管理が重要です。

大人の発達障害と体調管理の重要性

発達障害のある大人にとって、日々の生活や仕事を安定して続けるためには、自分に合った体調管理を行うことが大切です。
適切な体調管理を行うことで、生活の質が向上し、より安定して働くことができるようになります。
この記事では、発達障害のある方が特に意識すべき体調管理のポイントと、実践しやすい対策について5つの方法をご紹介します。


職業準備性ピラミッドとは

職業準備性ピラミッドとは

「職業準備性ピラミッド」は、発達障害に関わらず、仕事をしながら生活するために必要な条件を5つの段階で図解したものです。
このピラミッドが安定していると、仕事も安定して続けられるようになります。
しかし、どれか一つでも欠けていると、上位の段階も崩れてしまう可能性があります。
発達障害のある方は土台部分が不安定になることが多く、特に健康管理や日常生活管理が重要です。

  • 第1段階:健康管理(服薬、体力維持、障害理解)
  • 第2段階:日常生活管理(生活リズム、身だしなみ、金銭管理)
  • 第3段階:対人技能(コミュニケーション、感情コントロール、意見の発信)
  • 第4段階:基本的労働習慣(社会人としてのルール、ビジネスマナー)
  • 第5段階:職業適性(仕事の処理速度、知識、技能)

発達障害のある方にとっては、特に第1段階の「健康管理」と第2段階の「日常生活管理」の安定が重要で、ここが崩れると上位の段階も影響を受けてしまうことがあります。
そこで、以下の5つの体調管理対策を参考に、健康な土台作りを目指しましょう。

5つの体調管理対策

5つの体調管理対策

1. こまめに体調を把握する

発達障害のある方は、自分の心身の状態をモニタリングすることが苦手な場合が多いです。
そのため、知らず知らずのうちに無理を重ねて体調を崩してしまうことも少なくありません。
そこで、まずは体力や気分の状態を10段階で評価し、日々の体調を把握することが重要です。

具体的には、午前9時や午後1時といった決まった時間に、「現在の体調を10点満点で評価する」ルーティーンを作りましょう。
たとえば、身体の疲労が4点以下であれば、リフレッシュのためにお風呂に入る、精神面が3点以下であれば10分の休憩を入れるなど、体調に応じた対策を取ると効果的です。
これにより、自分の体調変化を把握しやすくなり、無理を防ぐことができます。

2. スケジューリングを習慣化する

発達障害のある方には、段取りやスケジュール管理が苦手な方も多いです。
そのため、気づいたら締め切りが迫っていたり、忙しい日が重なってしまったりすることがあります。
こうした事態を防ぐためには、1日、1週間、1か月の予定を毎日短時間で確認する習慣をつけるとよいでしょう。

また、スケジュールには締め切り日だけでなく、開始日も書き込むと、忙しい時期の把握がしやすくなります。さらに、行動の予定だけでなく「休む日」もあらかじめ予定に組み込むことが大切です。
計画的に休息を取ることで、エネルギーを持続的に保つことができます。

3. コーピングマントラで心を落ち着かせる

コーピングマントラとは、自分を落ち着かせるための言葉です。
発達障害のある方は、特性によりパニックや焦りなど、ネガティブな感情に陥りやすい傾向があります。パニック状態では解決策が見えにくくなり、焦ったまま行動することでさらなるミスに繋がることもあります。

こうしたときに役立つのが、心を落ち着かせるための「大丈夫」や「落ち着いて」などの言葉を自分の中で繰り返すことです。この言葉は自分にとってしっくりくるものを見つけるとよいでしょう。
また、落ち込みやすい方には、認知行動療法なども効果的で、思考のパターンを見直すことで感情のコントロールがしやすくなります。

4. 疲労を感じていなくてもケアを行う

鈍麻(心身の状態を感じにくいこと)の傾向がある方にとって、疲労を感じていなくてもこまめにケアを行うことが重要です。
知らず知らずのうちに疲労が蓄積し、突然心身の不調に襲われることがないように、日頃からケアを心がけましょう。

具体的なケア方法としては、身体的にはストレッチやお風呂、マッサージ、精神的には運動や散歩、好きな香りや食べ物などを取り入れるとよいでしょう。
リラックス方法を日常生活の中に取り入れ、心身の健康を保つことが大切です。

5. 適切な睡眠時間を確保する

睡眠は心身の健康に不可欠であり、発達障害のある方にとっても重要な要素です。
ASDの方は眠りが浅くなりがちであり、ADHDの方は過集中によって就寝が遅れることがあります。
自分にとって最適な睡眠時間を見つけ、その時間を確保するために計画的な就寝時間を設けましょう。

理想的な睡眠時間は人によって異なるため、まずはどれくらいの睡眠が取れると調子がよいかを確認し、その時間を基に就寝時間を調整するのが効果的です。

まとめ

発達障害を持つ方にとって、体調管理は生活の質や仕事の安定に直結する重要な要素です。
今回ご紹介した5つの対策(体調把握、スケジューリング、コーピングマントラ、疲れを感じなくてもケア、睡眠時間の確保)を日常生活に取り入れることで、心身の健康を保ちながら、自分らしい生活を送るための基盤を作ることができます。
自分に合う対策から少しずつ試してみて、より安定した生活を目指していきましょう。