顧客満足度を高める「接遇マナー5原則」

現代のビジネスにおいて、顧客満足度の向上はすべての業種に共通する重要な課題です。お客様からの信頼と支持を得ることができれば、リピーターを獲得でき、結果として売上の増加にもつながります。しかしながら、「顧客満足度を高めましょう」と会社から言われても、実際にどのような行動を取ればよいのか悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回は、顧客満足度の基礎的な考え方と、それを実現するための「接遇マナー5原則」について、わかりやすくご紹介いたします。

顧客満足度(Customer Satisfaction)とは

顧客満足度は、英語で「Customer Satisfaction」、略して「CS」とも呼ばれます。これは、企業が提供する商品やサービスが、お客様の期待にどれだけ応えているかを数値化したものです。多くの場合、アンケートなどを通じて可視化され、その結果は企業が今後の施策や改善点を判断する際の重要な指標として用いられます。

お客様は、サービスや商品に対して「これくらいは当然」という事前の期待を持って訪れます。たとえば、ラーメン店を訪れる際には、「おいしいラーメンが食べられる」という期待に加えて、「店内の清潔感」や「スタッフの接客態度」なども含まれます。

もし実際に体験した内容がその期待を下回った場合、「思っていたほどラーメンがおいしくなかった」「店員の態度が冷たかった」などと感じ、不満足となり、場合によってはクレームに発展することもあります。一方で、期待と実体験が一致していれば「普通」、実体験が期待を上回れば「満足」となり、「また来たい」「他の人にも勧めたい」というポジティブな感情につながります。

したがって、顧客満足度を高めるには、商品やサービスの質だけでなく、接客態度や環境整備など、複数の要素が総合的に影響していることを理解することが大切です。

2.「接客」と「接遇」の違い

一般的には「接客」という言葉の方がよく耳にするかもしれませんが、「接客」と「接遇」には明確な違いがあります。

「接客」はお客様に対応する行為そのものを指します。たとえば、飲食店での注文受付や料理の提供などがそれに該当します。つまり、業務的な応対です。

一方で「接遇」は、「遇(ぐう)」の字が示すように「もてなす」という意味を含んでおり、相手に対する心遣いや思いやりの気持ちが込められています。たとえば、ラーメンを提供するだけでなく、「取り皿をお持ちしましょうか」「お水のおかわりはいかがですか」といった、相手の立場に立った配慮や心づかいが「接遇」にあたります。

つまり、接客は業務的な対応、接遇は心のこもったおもてなしです。この違いを理解し、後者を意識した行動が、顧客満足度の向上につながります。

接遇マナー5原則

お客様の期待を超えるサービスを提供するためには、基本を大切にすることが不可欠です。基本が身についていればこそ、状況に応じた柔軟な対応が可能となります。

それでは、顧客満足度を高めるための「接遇マナー5原則」をひとつずつ見ていきましょう。

表情

表情

人と対面する際、最初に目に入るのは顔、つまり表情です。話しやすく親しみやすい人の共通点は「笑顔」です。反対に、無表情で眉間にしわが寄っていると、威圧感や不安を与えてしまいます。

笑顔は、自分の感情を表すものというよりも、お客様への「おもてなしの表現」と捉えることが大切です。ただし、状況に応じた使い分けも必要です。たとえば、相手が深刻な表情をしているときには、こちらも表情を柔らかくしつつ、少し沈んだトーンにするなどの配慮が求められます。

また、笑顔にも「二分咲き」「五分咲き」「八分咲き」などさまざまな段階があります。親しみやすさを演出したい場面では五分咲き、歓迎を強調したいときには八分咲きの笑顔を使うなど、TPOに応じて調整することが重要です。

挨拶

挨拶

「仕事は挨拶に始まり、挨拶に終わる」といわれるほど、挨拶は接遇において重要な要素です。多くの人が「おはようございます」「こんにちは」と言葉を交わしているとは思いますが、果たしてそれが「感じのよい挨拶」になっているかどうかは別の話です。

感じのよい挨拶には、以下の3つのポイントがあります。

  1. 自分から先に声をかけること
  2. 明るく、相手にしっかりと聞こえる声で話すこと
  3. 相手の目を見て挨拶すること

たとえば、お客様が入店してから数秒待っても挨拶がなければ、不満を抱く可能性があります。相手の姿が見えた時点で即座に挨拶をすること。それが「おもてなし」の心を伝える第一歩です。

身だしなみ

身だしなみ

「人は見かけによらない」とは言いますが、第一印象はやはり見た目から判断されることがほとんどです。身だしなみは、言葉を発する前に自分を表現する「無言の自己紹介」でもあります。

身だしなみで最も重視されるべきなのは「清潔感」です。ヨレたスーツや乱れた髪型、手入れの行き届いていない靴などは、信頼を損ねる原因になります。反対に、きちんと整えられた服装や爪、控えめな香りの清潔感ある身だしなみは、好印象を与えます。

服装だけでなく、髪型や爪、靴やバッグなどの小物にも気を配りましょう。

話し方

話し方は、相手と心を通わせるための重要な手段です。丁寧な言葉づかい、特に敬語を適切に使うことで、信頼感や安心感を与えることができます。

たとえ親しみを込めたつもりでも、「はいはい」「うんうん」「なるほど」「オッケー」など、ラフすぎる表現は相手に不快感を与えることもあります。相手がどう受け取るかを意識し、常に敬意を持った言葉を選ぶようにしましょう。

言葉づかいは距離を縮める手段でもありますが、「敬語+笑顔+声のトーン」の組み合わせで、やわらかな印象を演出することが可能です。

態度

態度には、立ち方や歩き方、話の聞き方、物の扱い方など、さまざまな要素が含まれます。些細な行動が、相手に与える印象を大きく左右することを忘れてはなりません。

特に注意したいのは次の3点です。

  1. ながら対応の回避
    パソコン作業をしながら話す、掃除しながら挨拶するなどの「ながら行動」は、相手に対して真摯な姿勢が感じられず、ぞんざいに扱われている印象を与えてしまいます。
  1. 腕組み・足組みを避ける
    これらの姿勢は、無意識のうちに「拒絶」や「高圧的」な印象を与えることがあります。姿勢を正し、少し前傾して相手の話に耳を傾けることで、誠意が伝わります。
  1. 音への配慮
    大きな足音、机を強く閉める音なども、無意識に相手を驚かせたり、不快にさせたりします。動作の音にも「おもてなし」の気持ちを込めて、静かに丁寧に行動しましょう。

まとめ

お客様にとっての「満足」とは、商品やサービスの品質だけでなく、そこに関わる人の「心配り」によって生まれるものです。以下の5つの原則を日々意識し、実践することで、きっと顧客満足度は自然と高まっていくはずです。

接遇マナー5原則:

  1. 表情
  2. 挨拶
  3. 身だしなみ
  4. 話し方
  5. 態度

基本を大切に、おもてなしの心を持って行動すること。それこそが、信頼されるプロフェッショナルへの第一歩です。