近年、多くの企業が従業員のエンゲージメント向上や職場環境の改善を目的として「1on1ミーティング(ワン・オン・ワン)」を導入しています。上司と部下が定期的に対話を行うこの取り組みは、部下の成長を支援するだけでなく、モチベーション向上や離職防止、組織内の信頼関係構築など、さまざまな効果が期待されています。
しかし、1on1ミーティングの導入自体は比較的容易であるものの、実際に現場で継続的かつ効果的に運用していくには、いくつかの課題に直面することも事実です。本記事では、1on1ミーティング導入時によく見られる課題とその具体的な対策についてご紹介いたします。

1on1ミーティングとは、上司と部下が1対1で定期的に行う面談のことであり、主に部下の成長支援やキャリア形成を目的としています。このミーティングには以下のような特徴があります。

1on1ミーティングの導入に際し、「業務が増える」と感じる社員が一定数存在します。特に上司層は多忙であるため、「これ以上業務が増えるのは困る」といった反発の声が上がることも少なくありません。
まずは、導入の目的や意義を丁寧に伝える説明会を実施することが重要です。1on1ミーティングの効果や期待される成果を明確に伝え、社員に納得感を持ってもらうことが、運用の第一歩となります。不安や不満がある場合は、初期段階でオープンに意見交換できる場を設けることで、後々のトラブルを防ぐことができます。
また、1on1ミーティングを「プラスアルファの業務」ではなく、「マネジメントの一環」として位置付ける意識づけを行うことも大切です。

導入当初はスケジュール通りに進んでいたものの、業務の繁忙により実施が途切れがちになることがあります。これにより、形だけのミーティングになってしまい、せっかくの取り組みが形骸化する恐れもあります。
仕組みとして定期的に実施できる体制づくりを行いましょう。たとえば、
といった方法があります。属人的な運用にせず、組織全体で仕組み化することで、継続的な実施が可能となります。

1on1ミーティングは「部下のための時間」であるにもかかわらず、上司が自分の考えやアドバイスを一方的に話してしまいがちです。これでは本来の目的である「部下の成長支援」が損なわれてしまいます。
まずは、上司に対する継続的な意識付けが必要です。1on1ミーティングは指導の場ではなく、部下の声に耳を傾け、信頼関係を築く場であることを何度も伝えましょう。
また、上司が身につけるべきスキルとして以下のものが挙げられます。
これらのスキルは短期間で身につくものではありません。可能であれば、ロールプレイや外部研修の導入を検討し、スキルの底上げを図りましょう。
ミーティングを継続する中で、「話すことが思いつかない」「内容がマンネリ化している」と感じるケースも少なくありません。
テーマは自由ですが、事前に部下から「今回はこのテーマで話したいです」と共有してもらうことで、ミーティングの質が高まります。テーマ設定に悩む部下には、以下のようなジャンルを参考にしてもらうと良いでしょう。
このようなテーマの選択肢を提示しつつ、部下の自主性を促していくことが大切です。
1on1ミーティングは、上司と部下の信頼関係を築くだけでなく、部下のモチベーションや成長、自立性を高める非常に有効な取り組みです。確かに導入や継続には一定の手間と時間が必要ですが、結果として部下の成長スピードが加速し、上司の業務負担軽減にもつながるなど、長期的なリターンが期待できます。
導入初期の不安や課題を乗り越えるには、明確な目的設定と丁寧な仕組みづくり、そして上司の面談スキルの向上が不可欠です。未来を見据えたマネジメント手法として、1on1ミーティングを戦略的に運用していきましょう。