近年、日本の多くの企業でも導入されている「1on1(ワンオンワン)ミーティング」。これは、上司と部下が定期的に一対一で行う面談のことを指します。アメリカのシリコンバレーでは以前から日常的に行われているコミュニケーション手法であり、GoogleやFacebookといったグローバル企業での導入実績を背景に、日本でもYahoo! JAPANをはじめとした多数の企業が積極的に取り入れています。
本記事では、1on1ミーティングの基本的な目的、得られるメリット、具体的な進め方まで、丁寧にご紹介します。

1on1ミーティングとは、上司と部下が一対一で行う定期的な対話の場です。通常の業務報告や会議とは異なり、あくまで部下を中心としたミーティングであり、部下が自由に話せることが特徴です。

1on1ミーティングの最大の目的は、「部下の成長を促進すること」です。
業務の成功体験や失敗体験、現在直面している課題や悩み、今後挑戦してみたいことなど、部下自身の思いや考えを共有することで、上司は部下の状況をより深く理解できるようになります。
相互理解が深まることで、業務における適切な支援が可能となり、結果として部下の能力開発やモチベーション向上につながるのです。

部下が安心して話せる場があることで、普段は言い出しにくい悩みや課題も共有しやすくなります。これにより、上司は部下が何につまずいているのかを把握し、的確なフィードバックやアドバイスができるようになります。結果として、部下の成長速度が速まり、パフォーマンスの向上にもつながります。
定期的な1on1を通じて、上司と部下の信頼関係が深まります。信頼関係が醸成されることで、他のチームメンバーとのコミュニケーションも円滑になり、組織全体の風通しが良くなっていきます。
コロナ禍以降、在宅勤務の増加などにより、上司と部下の関係が希薄になったと感じている企業は少なくありません。ある調査によれば、「上司が自分に関心を持ってくれない」「意見を尊重してくれない」といった理由から会社を離れる社員が、離職者全体の75%にも及ぶというデータがあります。
1on1ミーティングを通じて、部下の話に耳を傾け、意見を尊重する姿勢を見せることで、部下の会社や上司に対する信頼・愛着(エンゲージメント)が高まり、結果として離職率の低下、定着率の向上につながるのです。
1on1ミーティングでは、以下のようなテーマがよく話題にあがります。
部下が話しやすい雰囲気をつくることが、これらのテーマについて率直に話すための第一歩です。
効果的な1on1ミーティングを行うためには、以下のステップを意識すると良いでしょう。
まずは、定期的に時間を確保しましょう。オンラインでも対面でも構いませんが、集中できる静かな環境が理想です。
部下は、自分が話したいテーマやトピックを事前に整理し、必要であれば上司に共有します。上司も過去のミーティング内容を振り返りながら準備しておくと、より深い対話が可能になります。
いきなり本題に入るのではなく、軽い雑談や近況報告などで緊張を和らげましょう。リラックスした雰囲気が対話の質を高めます。
「今日は〇〇の状況を聞かせてもらいたいと思っています」といったように、ミーティングの軸を明確にすることで、会話がぶれずに進みます。
最も重要なステップです。部下の話をさえぎらず、共感しながら聞くことを心がけましょう。必要に応じて問いかけを行い、話を深掘りします。
最後に、話し合った内容を簡潔に整理し、「次回までにやること」や「フォローすべき課題」などを確認しておきます。
ミーティングの内容は簡単に記録を残しておきましょう。記録があることで、次回以降のミーティングの質が向上しますし、振り返りや評価にも役立ちます。

1on1ミーティングは、単なる会話の場ではなく、部下の成長と組織の活性化を同時に実現できる非常に有効な仕組みです。上司が「聞く力」を発揮し、部下が「安心して話せる場」をつくることが、成功のカギとなります。
継続的に取り組むことで、信頼関係が強まり、業務上の成果だけでなく、職場の雰囲気そのものも向上していくでしょう。明日からでも始められる実践的な取り組みとして、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。