新入社員は、これからの会社の未来を担う大切な存在です。しかし、せっかく採用して育成している最中に、「辞めたいんです」と相談を受けたら、上司や育成担当者としてはとても動揺するものです。
突然の退職希望は、会社にとっても大きな痛手。採用や育成にかかるコストはもちろん、周囲の士気にも影響を与えます。
今回は、新入社員が「辞めたい」と言ってきたときに、どのように対応すべきか。そして引き止めのコツや、どうしても退職となった場合の進め方までを詳しくご紹介します。

新入社員から退職の相談を受けたとき、最初に考えるべき選択肢は次の二つです。
会社は必要な人材を厳選して採用していますから、多くの場合は「もう少し頑張ってみよう」と引き止めたくなるのが自然です。しかし、退職理由や職場での状況によっては、本人のために退職を認めることも必要です。
どちらの判断をするにせよ、一人で決めるのではなく、直属の上司や人事部門、上層部に相談して進めるようにしましょう。

退職相談を受けたときには、まず1対1で面談の場を設け、話をしっかりと聞くことが大切です。その際に特に意識しておきたいのは次の三点です。
新入社員が退職の話をするのは、とても勇気がいることです。職場の一角や周囲に声が聞こえる場所では、本音を話しづらくなります。
できれば会議室などの個室を用意し、周囲の目や耳を気にせず安心して話せる環境を整えましょう。
「他にやりたいことができた」「スキルアップのため」などの理由を聞いても、それが本音とは限りません。人間関係の悩みや給与への不満など、言いづらい理由を隠している場合もあります。
例えば「職場の人間関係はどう?」「待遇面で困っていることはない?」など、具体的な質問を投げかけながら、本当の理由を丁寧に探っていきましょう。本音を知ることで、同じ理由で他の社員が辞めるのを防ぐことにもつながります。
退職の話はデリケートな問題です。関係者以外に伝えてしまうと、新入社員が居づらくなるだけでなく、職場の空気も悪くなります。退職が決まった場合でも、誰に、いつ、どのように伝えるかは慎重に決めましょう。
社会経験が浅い新入社員は、「辞めた方がいい」と思い込んでしまうことがあります。しかし、人間関係や残業の多さなど、どの会社でも起こり得る問題から「嫌だから辞める」という選択をすると、転職を繰り返してしまう恐れもあります。
もちろん、パワハラや明らかなブラックな環境は別ですが、社会人として必要な「適度な我慢」を学ぶことは、将来必ず役に立ちます。
本人が感情的に辞めたいと言っているだけの場合は、「今の考え方のままだと、どこへ行っても同じ壁にぶつかってしまうよ」と伝えることも、先輩としての優しさです。

どうしても会社に残ってほしいと考えるなら、面談で本音を聞き取ったうえで、次のような引き止め方を試してみてください。
残業の多さや業務量、仕事内容のミスマッチなど、改善可能な問題であれば「無理なく働ける方法を一緒に考えよう」と提案します。
ただし、新入社員だけを特別扱いするのは難しいので、チーム全体で協力しながら少しずつ改善を進めていきます。進捗をこまめに共有し、気にかけていることを伝えることが大切です。
上司や同僚との相性の問題が原因なら、配置転換や業務内容の変更を検討します。実際に店舗異動や部署変更で、人間関係のストレスが解消され、仕事への意欲が戻った例もあります。
ただし、担当者だけで決定せず、上層部に相談して正式に調整することが必要です。
言葉だけでなく、心から「本当に必要なんだ」と伝えることが大切です。新入社員はまだ自分の存在価値を実感できていない場合も多いので、「〇〇さんの力が必要なんだよ」と承認してあげることで気持ちが変わることもあります。
どれだけ引き止めても本人の意思が固い場合は、無理に引き止めるのではなく、円満退職を目指しましょう。
退職時に揉めると、職場の雰囲気が悪化するだけでなく、転職サイトや口コミサイトに悪評を書かれるリスクもあります。円満に送り出すことで、本人も新天地で気持ちよく頑張れます。
新入社員の場合、仕事を引き継ぐ必要が少ないため、長く引き留めるよりも早めに退職日を決めた方がお互いにとって良い結果になります。本人とも相談しながら、できるだけ早い時期を設定しましょう。

新入社員の「辞めたい」を防ぐためには、日頃からの小さな声かけやコミュニケーションが何より大切です。困っていることがあればすぐ相談してもらえる関係を築き、小さな問題を早めに解決していくことが、退職防止につながります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
新入社員の悩みに真剣に向き合うことが、会社の未来を守り、より良い職場づくりへの第一歩となります。