
ビジネスの現場において、言葉遣いはその人の印象を大きく左右します。
同じ内容を伝えていても、選ぶ言葉一つで「気配りができる人」「信頼できる人」と思われることもあれば、逆に「配慮に欠ける」「失礼な人」という印象を持たれてしまうこともあります。
今回は、日常業務でよく使うフレーズの中から、「できる人」が実際に使っている言い回しを7つご紹介します。
少しの意識で、相手に与える印象がぐっと変わります。ぜひ明日からの実践に役立ててください。

×「折り返し電話をすることを忘れていました」
この表現は素直で誠実ですが、ビジネスの場では少し幼く、軽い印象を与えてしまうことがあります。
◎「申し訳ございません、折り返し電話をすることを失念しておりました」
「失念」は「うっかり忘れてしまった」という意味を持つ丁寧な表現です。
ミスをしてしまった際も、言葉を整えることで誠意が伝わりやすくなります。
ポイントは、あくまで謝罪の気持ちを込めて伝えることです。「失念しておりました」で終わらせず、「今すぐご連絡いたします」など、対応を付け加えるとより信頼感が高まります。
×「これより奥への立ち入りはやめてください」
注意喚起として必要な言葉でも、直接的すぎると相手に威圧感や不快感を与えることがあります。
◎「恐れ入りますが、これより奥への立ち入りはご遠慮ください」
「恐れ入りますが」「ご遠慮ください」といったクッション言葉を加えることで、丁寧で配慮のある印象になります。
とくに接客や受付業務など、社外の方と接する場面では、このような丁寧語に置き換えることが重要です。
×「その旨、○○に伝えます」
日常会話ではよく使われる言い方ですが、ビジネスではややフランクな印象を与えます。
◎「その旨、○○に申し伝えます」
「申し伝える」は謙譲語であり、自分が話し手(伝言を受ける立場)であることを丁寧に表現できます。
相手に対して敬意を払いながら、自分が適切な役割を果たすことを伝える表現です。
伝言ミスを防ぐためにも、「復唱いたします」とあわせて使うと丁寧かつ正確です。
×「詳しい内容はわかりません」
これでは、投げやりな印象や無責任な態度と受け取られる恐れがあります。
◎「恐縮ですが、詳しい内容はわかりかねます。お調べしますので三十分ほどお待ちいただけますか」
「わかりかねます」は、単なる「わからない」ではなく、事情や立場上、即答できないというニュアンスを含んだ丁寧表現です。
さらに「お調べいたします」と積極的な対応を示すことで、信頼を損なうことなく対処することができます。
×「明日までの納品の件ですが対応できません」
否定だけを伝えると、冷たく感じたり、責任を放棄しているように聞こえたりします。
◎「申し訳ございません、明日までの納品の件ですが対応いたしかねます。最短で明後日十時に納品可能ですが、いかがでしょうか」
「いたしかねます」は「できません」の謙譲表現です。加えて代替案を提示することで、相手への配慮と問題解決への姿勢を示すことができます。
否定の言葉を使う場合には、必ず「代替案」や「協力的な姿勢」を添えるよう心がけましょう。
×「ここまで説明は分かりましたか?」
この表現は、場合によっては上から目線に受け取られることがあります。
◎「ここまでの説明はご理解いただけましたか?」
「ここまでの説明で、ご不明な点はございませんか?」
どちらも相手を尊重した丁寧な確認の言葉です。
とくに指導や説明をする立場の方が、部下や取引先に対して使う場合に効果的です。
伝える側の姿勢が丁寧であれば、聞き手も質問しやすくなり、ミスや誤解も減ります。
×「社長、私もご一緒します」
「ご一緒」は対等な関係の相手に使う表現であり、目上の人に対して使うと不適切です。
◎「社長、私もお供させていただきます」
「お供させていただく」は、目上の方と行動を共にする際に使える最適な表現です。
謙譲語でありながら自然な響きがあり、礼儀正しさが際立ちます。
ビジネスシーンでは、地位や関係性に応じた敬語の使い分けが求められます。立場の違いを丁寧に表現することが、信頼関係を築く第一歩です。

言葉遣いは、単なる言葉の選び方以上に、「相手への配慮」「自分の立場」「ビジネスマナー」を表現する重要なツールです。
今回ご紹介した7つの言い換え表現をまとめると以下の通りです。
| 状況 | よくある表現 | 丁寧な表現 |
| 忘れていた | 忘れていました | 失念しておりました |
| 控えてほしい | やめてください | ご遠慮ください |
| 伝言を受ける | 伝えます | 申し伝えます |
| わからない | わかりません | わかりかねます |
| できない | 対応できません | 対応いたしかねます |
| 確認する | わかりましたか? | ご理解いただけましたか? |
| 同行する | ご一緒します | お供させていただきます |
少しの言い換えが、相手に与える印象を大きく変えます。
日々の業務の中でこれらを意識することで、「あの人は仕事ができる」と感じてもらえる機会も増えるはずです。
丁寧な言葉遣いは、一朝一夕には身につきませんが、意識をするだけでも確実に変化が現れます。
今日から少しずつ、言葉の引き出しを増やしていきましょう。