ビジネスシーンや丁寧なやりとりにおいて、メールや手紙の結びの言葉としてよく見かける「ご自愛ください」。聞きなれた言葉ではありますが、その正しい意味や使い方について深く理解している方は意外と少ないかもしれません。何となく使っているけれども、本当に適切なのか、自信が持てないと感じる方も多いのではないでしょうか。
今回は、「ご自愛ください」の意味から正しい使い方、注意点、さらには例文や返信時の表現までを丁寧に解説いたします。

「ご自愛ください」とは、直訳すると「ご自身を愛してください」という意味ですが、実際には「お身体を大切になさってください」「健康にお気をつけください」という配慮を込めた言葉です。
相手の健康や体調を気遣う温かい表現であり、特に文章の結びとして用いられるのが一般的です。話し言葉よりも、書き言葉として定着している点が大きな特徴といえるでしょう。

「ご自愛ください」は、取引先や上司など、目上の方にも問題なく使用できます。敬意と配慮の気持ちがこもった表現のため、相手との関係性を問わず、一年中使える便利な結びの挨拶とされています。
ただし、すべてのメールに毎回この言葉を入れるのは適切ではありません。頻繁に「ご自愛ください」と書かれると、相手によっては「私はそんなに体調が悪そうに見えるのか?」と違和感を抱く可能性もあります。
適したタイミングの例:
「ご自愛ください」は会話ではほとんど使われません。口頭で同様の気遣いを表現したい場合は、次のような言い回しが自然です。
このように、聞き手にとって違和感のない、自然で柔らかな表現に置き換えるのがポイントです。

ビジネスメールで時折見かける表現に「お身体ご自愛ください」がありますが、これは文法的に誤りです。「ご自愛」の中にすでに「お身体を大切にする」という意味が含まれているため、「お身体」と付け加えると意味が重複してしまいます。
したがって、正しくは「ご自愛ください」のみで十分に意味が通じます。
体調を崩している人にはNG?
「ご自愛ください」は、あくまで“健康を保ってほしい”という願いが込められている表現です。そのため、すでに体調を崩している方、入院中の方などに対しては適していません。
このような場合は、以下のような回復を願う表現が望ましいです:
相手の状況に応じた適切な言葉選びが、思いやりあるコミュニケーションには不可欠です。

結論から申し上げると、「ご自愛ください」は目上の方にも安心して使える表現です。ただし、「ください」が命令形に聞こえるのでは?という懸念を持つ方もいらっしゃいます。
このような場合は、次のように語尾を調整すると、より丁寧な印象になります。
このように、前に「くれぐれも」や「どうか」を添えることで、控えめかつ柔らかい表現になります。
「ご自愛ください」という言葉をいただいた際は、まず相手の気遣いに対して感謝の意を表し、さらに相手の健康も気遣う返答が望ましいです。
以下のような返信例が参考になります:
相手の心遣いに誠意を持って応じることで、より良い信頼関係を築くことができるでしょう。
「ご自愛ください」という言葉は、相手の健康を願う気持ちを丁寧に表す日本語ならではの美しい表現です。メールや手紙の最後に添えるだけで、文章全体に温かみが加わります。
ただし、使用のタイミングや相手の状況には十分に配慮することが重要です。間違った使い方を避け、状況に応じた適切な言葉を選ぶことで、より円滑で心の通ったビジネスコミュニケーションが実現します。
「ご自愛ください」の一言に、あなたの思いやりがきっと伝わることでしょう。丁寧で心温まる言葉を選ぶ姿勢が、信頼関係を深める第一歩となります。