今回は、ご家庭でのおもてなしの場面において、「いただいた手土産を出すべきか、それとも出さずに取っておくべきか」といった、少し迷いがちな手土産のマナーについてお話ししてまいります。
手土産に関しては、差し上げる側・いただく側の両方にとって「いつ、どうやって渡すのが適切なのか」「どのように対応すれば失礼にならないのか」など、疑問を持たれる方も多いかと思います。そこで今回は、家庭訪問時に役立つ手土産マナーを、受け取る側・渡す側の両視点から丁寧にご紹介いたします。

手土産をいただいた際は、まず差し出してくださった方の気持ちを大切に受け止めましょう。ただ受け取るだけで脇に置いてしまうと、「あまり喜んでいないのかな?」と、相手に不快な印象を与えてしまうことがあります。手土産は「相手に喜んでほしい」という思いを込めて選ばれているものですから、その心遣いに感謝の気持ちを伝えることが大切です。
親しい間柄であれば「開けてもよろしいですか?」と一声かけてから中身を確認し、「わあ、美味しそうですね!ありがとうございます」と笑顔でお礼を伝えると、相手も喜ばれることでしょう。
また、いただいた品物が常温保存か冷蔵・冷凍保存が必要かを確認し、適切に保管することも忘れないようにしましょう。

「いただいた手土産をその場でお出しするべきかどうか」は、昔から意見が分かれるところです。かつては「その場で出すのは失礼にあたる」という考えが一般的でしたが、最近では状況や相手との関係性によって柔軟に対応するのが主流になりつつあります。
たとえば、ご親戚や友人など親しい間柄の場合には、手土産を一緒に楽しむことで、場の雰囲気が和やかになることも多いものです。特に、ショートケーキやシュークリームといった生菓子で人数分あるような品は、「皆さんでどうぞ」という意図で持参されることもありますので、お出しした方が喜ばれるでしょう。
このときのひとことがポイントです。おすすめなのは、「おもたせで失礼ですが、とても美味しそうだったのでご一緒にいただけたら嬉しいです」といった表現です。「おもたせ」という言葉は、手土産を受け取った側が品物を丁寧に表現する際に使われる美しい日本語で、相手の気持ちに対する敬意が込められています。
まれに、お客様からいただいた手土産と、ご自身で用意した品が同じものだった、ということもあるでしょう。もし違うものであれば、両方お出ししても問題ありませんが、重なった場合はお客様からの手土産を優先してお出しするのがよいでしょう。
なぜなら、たとえばお客様がケーキを持参されたのに、ご自身の用意したケーキを出した場合、「せっかく持ってきたのに…」と、相手に気を遣わせてしまう可能性があります。そういった気まずさを避けるためにも、「重なってしまった」とは言わずに、お客様のお品を中心にお出しし、笑顔で「美味しいですね」と一緒にいただくのがスマートな対応です。
相手がどのような方か、どのようなご家族と暮らしているかを知っていると、より喜ばれる手土産を選ぶことができます。例えば甘いものが苦手な方にはお菓子よりフルーツを選ぶ、年配の方がいらっしゃる場合は固い食べ物を避けるなど、細やかな気遣いが伝わるでしょう。
私自身も、秋らしい贈り物として栗きんとんを持参した際、相手が栗嫌いだったことがあり、事前の確認の大切さを痛感しました。
季節限定の商品や数量限定の品は、特別感があり喜ばれる傾向にあります。たとえば「夏限定の桃スイーツ」などは人気ですが、真夏にチョコレートのように溶けやすいものは避けるとよいでしょう。
手土産を相手の家の近所で購入すると、「間に合わせで買ってきたのかな?」と思われることもあります。訪問までに少し時間がある場合は、相手の好みを思い浮かべながら、選ぶ時間を楽しんで準備すると、より気持ちが伝わります。
訪問時の手土産は、玄関先で渡すのではなく、お部屋に通され、あいさつがひと段落したタイミングでお渡しするのが基本です。
ただし、アイスクリームなどの冷たい品は例外です。玄関先で「こちら冷たいものなので、冷凍庫に入れていただけますか?」と一言添えてお渡しするのが親切です。
渡す際は、紙袋から出し、両手で丁寧に差し出します。紙袋は持ち帰るのが一般的です。
昔ながらの「つまらないものですが」という表現もありますが、最近では「心ばかりのものですが」「お口に合えば幸いです」といった、より前向きで温かみのある言葉を添えるとよいでしょう。
相手の好みを把握している場合には、「チョコレートがお好きと伺いましたので、ぜひ召し上がってください」と一言添えることで、気遣いがさらに伝わります。
手土産をお渡ししても、その場で出してもらえないと少し残念に感じることもあるかもしれません。そのような場合は、渡すときに「〇〇のケーキなんですけど、皆さんで一緒にいただけたらと思って」などと、さりげなく気持ちを伝えるのがよい方法です。
また、事前のやり取りの中で「お茶菓子として〇〇をお持ちしようと思います」と伝えておけば、かぶることも避けられ、出してもらいやすくなります。

手土産を受け取る側のポイント
手土産を渡す側のポイント
「親しき仲にも礼儀あり」という言葉の通り、ちょっとした気遣いが、よりよい人間関係を育むきっかけとなります。手土産を通して、心のこもった交流が生まれることを願っています。