職場において、指示や方針がコロコロ変わる上司に悩まされている方は決して少なくありません。アサーティブコミュニケーションの研修現場では、この問題は相談ベスト3に入るほど頻繁に取り上げられる深刻な課題となっています。「うちの上司はいつも言うことが違うんです。でももう諦めて何も言いません」という声は、多くの職場で聞かれる切実な悩みです。
このような状況が続くと、上司への不信感が募り、職場の人間関係も円滑に進まなくなってしまいます。しかし、適切な対応方法を身につけることで、ストレスを軽減し、良好な関係を維持しながら仕事を進めることが可能になります。

多くの日本人が陥りがちなのが、この我慢型の対応です。「言っても仕方ない」「こういう人だから」と諦めモードになったり、「もめたくないから黙っていよう」と考えてしまうパターンです。
確かにこの対応では表面的な揉め事は起きませんが、自分のストレスはどんどん蓄積していきます。また、あまりにも意見を言わない人だと、「何を考えているかわからない人」という印象を持たれてしまう可能性もあります。
我慢型とは正反対に、「前はこう言っていましたよね」「前と言っていることが違うじゃないですか」と感情的に自分の思いをストレートに伝えてしまうのが主張型です。
この場合、自分のストレスは軽減されるかもしれませんが、上司が攻撃されたと感じてしまい、関係悪化を招く可能性があります。感情的な伝え方は、建設的な解決につながりにくいのが現実です。

最も効果的なのは、自分の気持ちと上司の気持ち、双方を尊重できるコミュニケーションを心がけることです。相手の立場や気持ちを理解しつつ、自分の意見もしっかりと伝える姿勢が重要です。
上司の指示が変わる背景には、以下のような理由が考えられます:
同時に、自分の気持ちも大切にする必要があります:

具体的なケースを想定して、効果的な対応フレーズを紹介します。
ケース例: 朝礼で「上半期は商品の値引きはしない方針で行きます」と宣言されていたにも関わらず、契約が取れなかった際に「今後は値引きして契約を取るように」と指導された場合
まず「承知いたしました」というプラスの言葉で始めることで、上司は自分の意見を受け入れてもらえたと感じます。その後、「ところで」という柔らかい接続詞を使って自分の疑問を伝えます。
使用例: 「承知いたしました。今後は値引きをして契約を取るように努めていきます。ところで、値引きをしてはいけないという方針とお伺いしていましたが、今後は値引きしても良いということでよろしいでしょうか。」
「でも」や「しかし」といった反論を想起させる接続詞を避けることで、円滑なコミュニケーションが図れます。
このフレーズは、上司に恥をかかせない配慮が込められています。人間は誰でも記憶違いや言い忘れがあるものです。自分が間違っていた可能性を示唆することで、相手の面子を保ちながら確認することができます。
使用例: 「承知いたしました。私の聞き間違いかもしれませんが、確か値引きをしない方針で行くとおっしゃっていたと思います。今後は値引きを考えても良いということでよろしいでしょうか。」
時には理由もなく指示が変わることもありますが、多くの場合は上司の言葉足らずで理由が伝わっていないことがあります。相手を攻撃するのではなく、自分が納得して仕事に取り組むために理由を聞く姿勢を示します。
使用例: 「承知いたしました。ところで、以前は値引きをしない方針で行くとお伺いしていたと思います。現在の組織の動向も把握したいので、値引きをしても良くなった理由を教えていただけませんか。」
まずは少しずつ自分の気持ちを言葉にする練習から始めましょう。いきなり大きな主張をする必要はありません。小さな疑問や確認から始めて、徐々に自分の意見を伝える習慣を身につけていくことが大切です。
感情的になってしまいそうな時は、一度冷静になって相手がどのように感じるかを考える時間を作りましょう。相手の立場や気持ちを理解した上で、建設的な対話を心がけることが重要です。

上司の性格を変えることはできませんが、自分のコミュニケーション方法を改善することで、職場でのストレスを大幅に軽減することができます。以下のポイントを意識して実践してみてください:
これらの対応法を継続的に実践することで、理不尽な指示に振り回されることなく、より良い職場環境を築いていくことができるでしょう。重要なのは、相手を変えようとするのではなく、自分のコミュニケーションスキルを向上させることに焦点を当てることです。