
仕事をしていると、言いづらいことを伝えなければならない場面が避けられないものです。たとえば、無理な仕事の依頼を受けたとき、誘いを断りたいとき、お願いに応じられないとき。こうした場面で「断る」ことに対して強い抵抗を感じてしまい、つい無理をしてしまうという方も多いのではないでしょうか。
しかし、「断ること=失礼」という思い込みが、実はご自身の心身に大きな負担を与えてしまっているかもしれません。今回は、言いにくいことを上手に伝えるための考え方と、実践で使えるフレーズをご紹介します。
「こんなお願いを断ったら嫌われてしまうかも…」「上司の指示には必ず従わなければならない」「頼まれたことを断るなんて、自分にはできない」——そう考えて、自分の限界を超えてまで仕事を引き受けていませんか?
実際、断れないまま業務がどんどん積み重なり、残業が増え、ストレスや疲労でミスが増えてしまうという悪循環に陥ることもあります。そうなると、結果的に周囲に迷惑をかけてしまったり、自分の体調を崩してしまったりするリスクも。
責任感が強く、真面目な人ほど「自分が頑張れば」と思ってしまうものですが、すべての依頼を受け入れることが誠実とは限りません。本当に相手との関係性を大切にしたいのであれば、自分の状況や限界をきちんと伝えることも、大切なコミュニケーションです。
断るときに重要なのは、「どう伝えるか」ということです。ただ「できません」とだけ言ってしまうと、相手に冷たい印象を与えてしまうこともあります。
そんなときに役立つのが、上手な断り方の4ステップです。
感謝+理由+断る+代替案
この順番を意識することで、丁寧に、かつ前向きな印象を与えながら断ることができます。
これは、「ポジティブ → ネガティブ → ネガティブ → ポジティブ」という流れで感情のバランスを取る“言葉の設計”でもあります。
では実際に、職場でよくある「断りづらいシーン」ごとに、使えるフレーズを見てみましょう。
① 上司からの飲み会の誘いを断るとき
✖NG例
上司「今日、飲みに行こうよ」
部下「やめときます」
これはNGです。素っ気ない印象を与えてしまい、相手を不快にさせてしまうかもしれません。
〇良い例
上司「今日、飲みに行こうよ」
部下「お誘いいただきありがとうございます」【感謝】
「ただ、本日は先約がありまして…」【理由】
「残念ですが、今回はご一緒できません」【断る】
「また別の日にぜひお願いします」【代替案】
この例の話し方なら感謝から始まり、代替の提案で終えることで、関係を良好に保ったまま丁寧に断ることができます。
② 急な仕事の依頼を受けられないとき
〇良い例
部下「お声かけいただきありがとうございます」【感謝】
「あいにく、Aの件は本日中に対応が難しい状況です」【理由】
「申し訳ありませんが、今回はお引き受けできかねます」【断る】
「明日の午前中でしたら対応可能ですが、いかがでしょうか?」【代替案】
自分のキャパシティを正直に伝えつつ、別の提案を添えることで、誠実さと協力姿勢が伝わります。
③ お客様からの値引き交渉を断るとき
〇良い例
部下「ご検討いただきありがとうございます」【感謝】
「実は、この商品はすでに限界までお値引きした価格となっております」【理由】
「大変心苦しいのですが、これ以上の値下げは致しかねます」【断る】
「ご予算に合う別の商品もご紹介できますので、よろしければご覧になりますか?」【代替案】
お客様に対しても誠意ある説明をしながら、選択肢を提案することで信頼感を維持できます。
もしこの「感謝+理由+断る+代替案」が難しいと感じたら、まずは「感謝」から始めるだけでもOKです。
たとえば、「お声かけいただきありがとうございます」「ご配慮に感謝いたします」など、ポジティブな言葉を先に伝えることで、相手に与える印象はぐっと柔らかくなります。
このひと工夫だけでも、相手の反応が変わることに驚かれることでしょう。

断ることは誠意あるコミュニケーション
仕事をする上で、断るという行為は避けて通れないものです。しかしそれは、相手との関係を壊す行為ではなく、むしろ関係性を大切にするための行動でもあります。
ポイントは、「どう断るか」にあります。感謝を伝え、理由を述べ、代わりの提案を添える。この一連の流れを意識するだけで、あなたの印象は大きく変わり、より良い人間関係を築くことができるでしょう。
自分の意思を伝える方法を身に着けることで、どうか無理をせず自分の立場を大切にしてくださいね。