会議とは、参加者が意見を出し合い、情報を共有し、物事を前に進めるための場です。にもかかわらず、実際の職場では「特定の人しか話さない」「一部の発言者だけで話が進む」といった状況がよく見られます。このような会議は、果たして意味があるのでしょうか。
本記事では、「意見が出ない会議」から脱却する方法について、実践的な視点からお伝えします。
キーワードは、「事前準備」「ルールの設定」「否定しない雰囲気づくり」「ファシリテーターの力」です。

まず前提として理解しておきたいのは、会議で意見を出さないことは、実質的に“参加していない”のと同じであるということです。もちろん、全員が積極的に話せるとは限りませんが、黙って座っているだけでは、情報共有も意思決定にも貢献していないことになります。
そして、意見を出さない状況が繰り返されると、「この会議は意味がない」「聞いているだけでいい」といった意識が蔓延し、会議そのものが形式的なものになってしまいます。

意見が出ない会議にはいくつかの背景があります。中でも多いのが、上司や発言力のある人だけが話す構造になっていることです。
たとえば、会議冒頭で上司が方針を決め打ちしてしまった場合、部下たちは「すでに方向性が決まっているから口を出しても仕方ない」と感じてしまい、発言を控えるようになります。
また、「自分の意見が否定されたらどうしよう」「的外れなことを言ってしまったら恥ずかしい」といった心理的なブレーキもあります。
このような空気感を打破するには、「誰でも自由に意見を言える雰囲気」=心理的安全性のある場作りが欠かせません。

意見の出る会議にするには、会議前の準備段階が極めて重要です。とくに以下の2つを意識しましょう。
● 事前に「意見を考えておいて」と伝える
突然の会議で「はい、意見ありますか?」と聞かれても、すぐに言葉が出る人は少ないものです。
ですから、事前に「このテーマで1つ意見を考えてきてください」と声をかけておくことが効果的です。
こうした準備の時間があることで、参加者は自分の考えをまとめやすくなり、自信を持って発言できます。
● 議題の共有と目的の明確化
会議の目的が曖昧だと、意見の出しようがありません。
「今日は○○について、全員から意見を出して方向性を整理する場です」といったように、何を決めたいのか、何が求められているのかを明確に伝えることで、参加者の主体性が高まります。
意見を出しやすくするためには、あらかじめ会議の「ルール」を設定しておくのも有効です。
● 例:「1人1件以上、必ず発言する」
このようなルールがあると、「何かは話さなければ」と意識するようになります。
ただし、強制感が出ないように、あくまでも「目標」として設けるのがポイントです。
● アイデア出しの場では“質より量”を重視
ブレインストーミングのような会議では、「とにかく思いついたことを出す」ことが大切です。
このとき、質の高い意見だけを求めてしまうと発言が止まってしまうので、まずは数を出すことをルールにしてみましょう。
意見を出し合う場で一番やってはいけないのが、誰かの意見を即座に否定することです。
否定される経験を一度でもすると、「もう話したくない」「また否定されるのでは」と萎縮してしまい、その後の発言をためらうようになります。
● 否定ではなく“肯定+拡張”を意識する
たとえば、こういった受け止め方が理想です。
このように、まず受け止める→別の角度を加えるというスタイルをとれば、発言者も安心し、次の意見が出やすくなります。
会議を成功させるためには、ファシリテーター(進行役)の存在が不可欠です。
特に以下のような点に注意して進行できる人がいると、参加者の「会議に関わっている実感」が高まります。
● 発言のバランスをとる
発言の多い人に偏らないようにし、意見が出ていない人にも「○○さんはいかがですか?」と自然に振ることで、全員が参加できます。
● 発言をつなげて広げる
ある人の意見を他の人に投げかけたり、「今のアイデアと○○さんの意見は組み合わせられそうですね」とつなぐことで、議論が深まります。
● 雰囲気づくりに配慮する
軽くうなずく、笑顔でうながす、ありがとうと感謝を伝えるなど、細かな配慮の積み重ねが、心理的安全性を高めます。

意見の出ない会議は、「参加者のやる気の問題」ではなく、会議の設計そのものに問題があることがほとんどです。
発言を引き出す仕組みを取り入れ、心理的に安全な空気をつくることで、どんなメンバーでも活発に意見を交わせる場へと変えていくことができます。
▼今日からできるアクション
ムダな会議にさようならを告げ、参加者全員が価値を感じられる会議に変えていきましょう。