講師やプレゼンターとして多くの人の前に立つとき、「間」の取り方が話の印象を大きく左右します。
プロのアナウンサー、落語家、そしてお笑い芸人に至るまで、一流の話し手は皆、「間」を巧みに操っています。
特に研修やセミナーでは、話の内容だけでなく、その伝え方が受講者の集中力や理解度を左右します。本記事では、私自身の研修経験をもとに、「間」を恐れずに使いこなす方法と、その効果的な活用法について解説します。

まず理解しておきたいのは、「間」は単なる沈黙ではなく、話にリズムを生み出す重要な要素だということです。
流れるように早口で話し続けると、受講者は情報過多で疲れてしまいます。一方で、適度に「間」を挟むことで、話全体に緩急が生まれ、聞き手は自然と集中力を取り戻します。
例えば、お笑い芸人の松本人志さんが絶妙な間で笑いを誘うのは有名な話です。あれは偶然ではなく、計算された技術です。研修の場でも、これと同じ原理を応用できます。
私が研修の中で特に意識しているのは、次の3つの「間」です。
これは、受講者に「この後何が来るのだろう?」とワクワクさせる間です。
例として、コンテストのグランプリ発表を想像してください。
「それでは栄えある優勝チームは……」
(ドラムロール)
「Aチームです!」
この間があることで、Aチームの名前が強調され、受賞の瞬間が記憶に残ります。研修で使う場合は、重要な答えを伝える直前に取り入れます。
例えば、
「管理職が部下育成で一番大切にすべきこと、それは……」
(2秒間の間)
「認めることです」
このように間を挟むと、答えが強調され、受講者の記憶にも残りやすくなります。
次は、受講者に考える時間を与える間です。
例えば、
「第一印象が良い人って、どんな人ですか?」
(間)
この間に、受講者は自分なりの答えを探し始めます。すぐに答えを出す人もいれば、少し考えてから手を挙げる人もいます。この時間があることで、受講者の参加意識が高まり、講師の一方的な説明ではなく双方向のやりとりが生まれます。
また、「何か質問はございますか?」と聞いたときも同様です。すぐに次の話題に移ってしまうと、質問しようと思っていた人が躊躇してしまうことがあります。ここでも数秒間の沈黙を恐れず、考える時間を与えることが大切です。
最後は、大事な話をした後に置く「余韻の間」です。
例えば、新入社員研修の最後に私は必ずこう伝えます。
「社会人になったら、まず自分が幸せになることを一番に考えてください」
(3秒間の間)
この間によって、受講者は自分の生活や将来に置き換えて考え、言葉が心に深く刻まれます。余韻を味わわせることで、ただの情報ではなく「心に残るメッセージ」として伝わるのです。

「間」を上手く使うためには、以下の3つを意識してください。
多くの人が間を取ることに抵抗を感じる理由は、「沈黙は悪いこと」という思い込みです。しかし実際には、間を上手く使うことで受講者の集中力や記憶力を高められます。
練習法としては、普段の会話や社内ミーティングで、あえて答えを言う前に2秒間の間を取ってみましょう。
これを繰り返すことで、沈黙への抵抗感が薄れ、自然に間を取れるようになります。

「間」は単なる沈黙ではなく、話を引き立て、受講者を惹きつけるための強力な技術です。
これらを状況に応じて使い分けることで、研修やプレゼンは格段に引き締まり、受講者の記憶に残る時間となります。
「話す技術」に磨きをかけたい方は、ぜひ次回の登壇からこの3つの間を意識してみてください。きっと話し方に新しい深みと説得力が生まれるはずです。