〜講師としての魅力を引き出す言葉の力〜
講師として研修やセミナーを担当する際、多くの方が「受講生から信頼される講師でありたい」と考えることでしょう。
信頼を得られる講師であれば、受講生は耳を傾け、内容を真剣に受け止め、行動に移しやすくなります。
反対に、いくら内容が充実していても、講師に対する信頼感がなければ、その言葉は届きにくくなります。

なぜなら、人は「何を言われたか」よりも「誰に言われたか」で動く傾向があるからです。
もし受講生が「この講師は信用できない」と感じてしまえば、せっかくのスキルやノウハウも心に響かず、効果は半減してしまいます。
だからこそ、講師にとって「信頼を得ること」は何より重要な要素なのです。
信頼は決して一朝一夕で築けるものではありません。
専門知識や研修内容の充実度はもちろん、講師の人柄や態度、ちょっとした言い回しなど、さまざまな要素が積み重なって初めて生まれます。
本記事では、数ある要素の中から「言葉の使い方」に注目し、信頼度をぐっと高めるための3つのフレーズをご紹介します。
これは、講師としてのスキルの一つでありながら、使い方次第で大きな効果を発揮します。
講師という立場上、真面目で模範的な発言を求められる場面は多いものです。
しかし、あまりにも完璧すぎる言葉は、時に距離感を生み、「人間味のない人」という印象を与えてしまうことがあります。
そこで有効なのが、「正直に言うと」という一言です。
このフレーズを挟むことで、発言に自分の感情や本音が含まれ、より人間らしさが伝わります。
例えば、上司から理不尽な指示を受けた場面について話すとします。
「上司から理不尽なことを言われた場合は、組織として冷静に判断してください。
「上司から理不尽なことを言われると、正直に言うとイラッとしますよね。
でもそこは組織として冷静に判断してください。
後者の方が、講師の率直な感情が垣間見え、「裏表がない人だ」という印象を与えます。
真面目な発言だけでなく、自分らしさを出すことで、受講生との心理的距離が縮まり、信頼が深まるのです。

信頼関係を築くには、まず講師が受講生を信頼する姿勢を見せることが大切です。
そのために効果的なのが、「ここだけの話ですが」というフレーズです。
この言葉には、「あなたを信頼しているから打ち明けます」というニュアンスが含まれ、受講生に特別感を与えます。
ただし、使い方には注意が必要です。「ここだけの話ですが、儲かる話があります」といった怪しげな情報は逆効果となり、信頼を失う危険があります。
このフレーズを使う際は、むしろ自分の失敗談や弱みを打ち明ける方が効果的です。
「ここだけの話なんですが、営業を始めたばかりの頃、名刺入れを持っていなかったんです。名刺は1枚だけ持っていて、先輩と訪問したら相手が2人で…。慌てて車まで戻って名刺を取りに行ったんですよ。」
こうした失敗談は、話し手にとって勇気がいるものですが、それだけに受講生は「この人も人間なんだ」と親近感を持ちます。
加えて、「ここだけの話ですが」という限定感が、受講生の関心を引きつける効果もあります。
ただし、多用すると特別感が薄れるため、1つの研修につき1回程度が望ましいでしょう。
講師の中には、「間違ってはいけない」「何でも答えられるべきだ」と考える方もいます。
しかし、実際には講師でもわからないことや、誤って説明してしまうことはあります。
そのような時、笑ってごまかしたり、曖昧な説明で逃げるのは避けるべきです。
受講生は意外とそうした態度に敏感で、「この人は正直じゃない」と感じてしまいます。
そこで必要なのが、「申し訳ございません」と素直に謝罪する姿勢です。
「勉強不足で申し訳ございません。後ほど調べてお伝えします。」
その後、休憩時間などを利用して情報を確認し、再開後に改めて説明し、「私も勉強になりました。ありがとうございます」と感謝を伝えれば、受講生からの印象はむしろ向上します。
謝罪は、弱みを見せる行為ではなく、誠実さと責任感を示す行為です。

今回ご紹介した3つのフレーズは、単なるテクニックではなく、講師の人柄や姿勢を映し出す鏡のようなものです。
これらはあくまで信頼構築の一助であり、受講生を「操作する」ための道具ではありません。
本心からの言葉として使ってこそ、相手の心に響きます。
ぜひ次回の研修や講義で取り入れ、受講生との信頼関係を深めてください。