エビングハウスの忘却曲線で劇的!記憶力アップ

研修や講義を受けた後、学んだことをしっかり覚えておくことは誰にとっても大きな課題です。折角学んだ内容も、時間が経てば自然と忘れてしまう――これは誰もが経験したことがあるでしょう。
こうした「記憶の減退」を科学的に示してくれるのが、ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスが発表した「忘却曲線」です。

本記事ではこの忘却曲線の正しい意味と、研修や日常の学びにおける活用法について詳しく解説します。

エビングハウスの忘却曲線とは?

エビングハウスの忘却曲線とは?

エビングハウスは、人間が時間の経過と共にどのように記憶を失っていくのかを実験的に調べました。その結果、「人間は必ず忘れる生き物である」という事実をデータとして示しました。
実際、一昨日の夕食のメニューをすぐに答えられる人は少ないでしょう。昨日ならまだしも、一昨日ともなれば記憶は曖昧になります。研修の場でも同じ現象が起こります。午前中に学んだ内容を午後の開始時点で復習すると、意外と忘れている受講者が多いのです。

このように記憶は時間と共に減退していくため、「忘れるのは当たり前」という前提で学習計画を立てる必要があります。その際に役立つのが忘却曲線です。

よくある誤解――忘却曲線は「忘れる割合」ではない

忘却曲線のグラフを見ると、縦軸に数字が並び、時間経過と共に数値が下がっていくため、「これは忘れる割合を表している」と誤解する人が少なくありません。
例えば、「20分後には42%忘れる」「1時間後には56%忘れる」「1日後には74%忘れる」というように理解してしまうのです。しかし、この考え方には無理があります。もし映画を見て20分で半分以上を忘れてしまったら、ストーリーも人物も理解できなくなってしまうはずです。

実は、忘却曲線が表しているのは「節約率」です。節約率とは、一度覚えたことを再び完全に覚え直す際、最初に掛かった時間に比べてどれだけ時間を短縮できたかを示すものです。

「節約率」で見る忘却曲線の正しい意味

節約率は次のように計算されます。

節約率 = (最初に覚えるのに掛かった時間 − 再学習に掛かった時間) ÷ 最初に掛かった時間

例えば、最初に10分掛けて単語を覚えたとします。そして20分後同じ単語を覚え直すと、今度は4分で覚えられたとしましょう。この場合、

10分 − 4分 = 6分の節約
6分 ÷ 10分 = 0.6(60%)

つまり節約率は60%ということになります。忘却曲線は、この節約率が時間の経過と共にどのように低下していくかを示したグラフです。実験によれば、節約率は20分後に58%、1時間後に44%、1日後には26%まで下がります。

実験条件と日常生活への適用

エビングハウスが使った記憶材料は「無意味綴り」です。
例えば英語では “lit” や “pik”、日本語では「たあま」「しいろ」のように、意味を持たない音の組み合わせです。このような無意味な情報は、意味のある単語(例:「金色」「帽子」「スイカ」)に比べて覚えるのに時間が掛かります。

そのため、実験で得られた数値が日常生活の記憶忘却と完全に一致するとは限りませんが、「人間は放っておくと必ず忘れる」という原則を理解するうえで非常に役立ちます。

研修や学習での活用法

人材育成の現場では、「一度教えれば覚えているだろう」という前提は通用しません。人は何度も繰り返し学習しなければ定着しないのです。
忘却曲線から得られる教訓は、以下の2点です。

できるだけ早い時期に復習する

学習後、時間を空けずに復習することで節約率を高く保てます。研修であれば、1時間ごとの休憩前に数分間の小復習を取り入れると効果的です。

高頻度で繰り返す

復習は1回では不十分です。午前中の内容は午後の開始前に振り返り、更に研修終了前にも再度復習します。これにより記憶はより強固になります。

短時間の研修でも、締め括りに必ず復習を取り入れることが重要です。「繰り返し」によってこそ、記憶は長期保存され、実務で活かせる知識となります。

まとめ――忘却曲線は「復習計画の地図」

まとめ――忘却曲線は「復習計画の地図」

エビングハウスの忘却曲線は、「人間は忘れる」という事実を科学的に示すだけでなく、効率的な復習のタイミングを教えてくれる指針でもあります。
特に研修や自己学習においては、「早く・何度も・短時間で」復習することが記憶定着の鍵です。是非、学びを効果的に残すためのツールとして、この忘却曲線を活用してみてください。

記憶力は生まれつきの能力だけでなく、工夫と習慣によって大きく伸ばすことができます。今日学んだことを、明日、そして未来に活かすために――エビングハウスの忘却曲線を、あなたの学びの味方にしましょう。