
伝え方ひとつで「YES」がもらえるコミュニケーション術
職場では、どうしても部下に頼みづらい仕事をお願いしなければならない場面があります。単純作業、雑務、急ぎの対応など、負担がかかる仕事を依頼する際、どのように伝えるかによって、部下の受け取り方は大きく変わります。伝え方が命令口調だと、せっかくのチームの信頼関係が崩れることも。一方で、感謝と敬意を込めた依頼であれば、部下は自発的に動いてくれる可能性が高くなります。
本記事では、「伝え方」ひとつで、頼みづらい仕事を気持ちよく引き受けてもらうためのポイントを詳しく解説します。
私たちは日々、誰かに何かを頼みながら働いています。ある研究によれば、人が一日に人に何かをお願いする回数は平均で22回とも言われています。それだけ日常的に「依頼」は行われているのです。
このとき、「お願い」「依頼」「命令」のどの言葉を使うか、どんな口調で伝えるかが、相手の受け取り方に大きな影響を与えます。
特に、上司が部下に対して「命令口調」で仕事を伝えると、部下は「押し付けられている」「自分の意思は尊重されていない」と感じてしまい、モチベーションが下がることがあります。
一方で、「お願いベース」で伝えると、相手に選択の余地を与えることになり、主体的に動いてもらえる可能性が高まります。部下は自分が「必要とされている」と感じ、仕事への納得感も生まれるのです。
上司がつい命令口調になってしまうのには、いくつかの理由があります。
こうした態度は、知らず知らずのうちに部下のやる気を削ぐ原因になります。組織の中での上下関係は必要なものですが、それはあくまで役割の違いです。「上司だから命令してよい」という考え方は、現代の多様化した働き方の中では、あまり受け入れられない価値観になってきています。
たとえば、トイレの使用に関して、次のような5つの伝え方があったとします。
この5つの中で、日本人が最も行動を変えてくれたのは、「5. 感謝」の表現だったという調査結果があります。
これはビジネスの場でも応用できます。たとえば、単に「この資料を作っておいて」と命じるよりも、「いつも丁寧な資料をありがとう。今回もお願いできるかな?」と伝えた方が、部下のモチベーションは明らかに高まります。

では、実際に部下へ頼みづらい仕事を依頼する場面で、どのように言葉を選べばよいのでしょうか? 具体例を見てみましょう。
NGな例:命令口調
「○○さん、このプレゼン資料作っておいて」
このように一方的に指示をすると、部下は「なぜ自分がやるのか」「他の人ではだめなのか」と不満を抱きやすくなります。
OKな例:承認+依頼
「○○さんのプレゼン資料、前回すごく評判が良かったんだよね。いつも助かってるよ。今回の案件でもお願いできるかな?」
このように、まず相手のこれまでの仕事ぶりを認め、感謝の気持ちを伝えたうえで依頼すると、部下は「期待されている」と感じ、前向きな気持ちで仕事に取り組むことができます。
部下を動かすためには、「承認」と「依頼」をセットで伝えることがとても有効です。
この2つを組み合わせることで、「また自分にお願いしてくれた」「この人の期待に応えたい」と思わせることができます。
「部下なんだから仕事をするのは当たり前」と思っていませんか?
たしかに、業務上の役割として部下にはタスクをこなしてもらう必要がありますが、その背景にある「感謝の気持ち」をきちんと伝えることが、良好な関係性を築くカギになります。
仕事を「こなす」だけではなく、「自分の働きが誰かの役に立っている」と感じられることが、働く意欲を高める大きな要因です。

頼みづらい仕事を部下にお願いする場面は、上司として避けて通れません。
しかし、その場面をどう乗り越えるかで、チーム全体の雰囲気や信頼関係が大きく変わります。
命令ではなく、感謝と承認を込めた依頼をする。
部下を「動かす」前に、「心を動かす」伝え方を意識する。
このような伝え方の工夫は、ただ仕事を依頼するだけでなく、組織全体のモチベーションや信頼感を底上げすることにもつながります。
日々のちょっとした一言を見直してみませんか?
「お願いの仕方」が変わると、驚くほどスムーズに人が動いてくれるようになります。