研修やセミナーを運営していると、こんな経験をしたことはないでしょうか。
「しっかりとまとめをしたつもりなのに、受講者の表情がぼんやりしている」
「自分の思いが正しく伝わっていない気がする」
「最後の締めくくりが弱く、受講者に響いていない」
実はこれらの多くは「ゴール設定」があいまいであることに起因します。研修の冒頭やまとめでゴールを明確に伝えるかどうかによって、受講者の学習効果や満足度は大きく変わってきます。
本記事では、これから研修を始める方、すでに研修講師として活動されている方に向けて、「受講者の心を引き寄せるゴール設定の仕方」を3つのポイントに整理してご紹介いたします。

まず、「ゴールを設定する」ということは単なる目標提示にとどまりません。研修の道しるべを示すだけでなく、受講者のモチベーションを引き出し、行動変容へとつなげる重要な役割を担っています。
もしゴールが不明確なまま進めてしまうと、受講者は「この研修で何を得られるのか」がわからず、集中力が散漫になってしまいます。一方、ゴールが明確で、しかも魅力的に語られていれば、「この時間を通じて自分は成長できる」という期待感を持って受講してもらえるのです。
では、具体的にどのようにゴールを設定し、伝えていけばよいのでしょうか。
研修は「始まり」と「終わり」が特に大切です。冒頭で自己紹介を終えた後、すぐに本題に入るのではなく、必ず「今日の研修のゴール」を伝えましょう。
例えば、プレゼンテーション研修であれば、
「本日のゴールは、人前で堂々と自分の考えを伝えられるようになることです。」
と最初に伝えるのです。
そして忘れてはいけないのが「最後にもう一度ゴールを伝える」こと。まとめの場面で、
「本日のゴールは○○でした。今日学んだことの中から、まず1つでも実行していただければ、必ずこのゴールに近づけます。」
と再度伝えることで、研修全体が締まり、受講者の記憶に深く刻まれます。
もし最後が曖昧に終わってしまうと、せっかくの内容が「良い話を聞いた」で終わってしまい、行動につながりにくくなります。ですから、研修の最初と最後にゴールを提示することは、学習効果を最大化するために欠かせないのです。
ゴール設定をする際に重要なのは、単に「理解する」ことを目標にしないことです。
例えば、次の2つを比べてみましょう。
前者は「知識を得ること」にとどまっています。受講者は「ああ、そういうものか」と理解はしても、実際に行動に移す意欲は生まれにくいでしょう。
一方、後者は「行動できるようになる」ことをゴールに掲げています。受講者は「自分も人前で話せるようになるんだ」という期待を抱き、学習意欲が高まります。
つまり、ゴールは「できる」を基準に設定することで、受講者の心をグッと掴むことができるのです。

最後のポイントは「ゴールをいかに魅力的に語るか」です。
ただ「人前で話せるようになる」と伝えるだけでは受講者の心に響きません。そこに「共感」と「解決策」を織り交ぜることで、受講者の感情に火をつけることができます。
例えば、次のように語りかけます。
「皆さん、大勢の前で話すときに、手や足が震えてしまい、自分の思いを十分に伝えられなかった経験はありませんか? でも安心してください。この研修を通じて、人前でも落ち着いて、自分の考えを明確に伝えられるようになります。今日1日集中して取り組んでいただければ、必ず堂々と人前で話せるようになります。」
このように、受講者が抱える悩みや不安を先に提示し、それを研修によって解消できることを強調すれば、受講者は「自分のための研修だ」と感じ、より主体的に学びに向かうことができます。
ここまでご紹介した3つのポイントを実践すると、研修の効果は格段に高まります。
つまり、ゴール設定は研修を「単なる知識伝達の場」から「行動変容を促す場」へと変えるカギなのです。

本日は「受講者の心を引き寄せるゴール設定」についてお話ししました。
これらを意識することで、研修の質は飛躍的に向上します。研修のゴールは単なる締めくくりではなく、受講者の学びを行動につなげるための重要な仕掛けです。
ぜひ次回の研修から、今日ご紹介した3つのポイントを取り入れてみてください。きっと受講者の表情が変わり、学んだことを実践してみたいという前向きな姿勢が生まれるはずです。