ASD(自閉症スペクトラム障害)や発達障害は、会話やコミュニケーションに特徴が出ることがあります。自分が話し方で周囲にどう見られているのか気にする方や、話し方の特徴から自分がASDであると気づかれることを心配する方もいるでしょう。本記事では、ASDの話し方の特徴を理解し、ASDの特性がある方が周囲とのコミュニケーションをより良いものにするための対策をご紹介します。
ASDとは「自閉症スペクトラム障害」の略で、以前の診断名であるアスペルガー症候群や自閉症を含む広範な発達障害の一つです。従来はアスペルガー症候群や高機能自閉症といった診断名がありましたが、現在はASDとして一括して捉えられるようになっています。ASDには主に以下の三つの特性が見られることが一般的です。
こうしたASDの特性が、話し方にも影響を及ぼし、周囲の人にとって「少し変わっている」と感じられることがあります。しかし、ASDの特徴がどのように表れるかは個人差が大きく、一概に「ASDらしい話し方」というものがあるわけではありません。ですので、以下の話し方の特徴は人によって当てはまることもあれば当てはまらないこともある、という前提で読んでいただければ幸いです。

ここからは、ASDの方に見られる話し方の特徴を7つ挙げ、それぞれの特徴について具体例と共に解説します。
ASDの方は、話し方において表情や声の抑揚が少ないことがあります。たとえば、元気よく挨拶しているつもりでも、周囲から見ると表情が硬く見えることがあります。この特徴は、自分では意識していなくても無意識に出てしまうことが多く、周囲に「冷たい」「興味がない」と誤解されることがあります。
ASDの方は、曖昧な質問に答えるのが難しいことがあります。たとえば「最近どう?」といった漠然とした質問に対して、「最近の範囲はいつから?」や「どう、とは何について?」と細かく考えてしまい、返答に困ることがあります。あらかじめ「最近はまあまあです」といった定型的な答えを準備しておくことで対応しやすくなることがあります。
場面に応じた適切な言葉遣いや敬語を使うのが苦手なASDの方もいます。たとえば、初対面の人にため口で話してしまったり、親しい人に対しても敬語を続けてしまうことがあります。また、敬語表現が混乱し、丁寧語・尊敬語・謙譲語が混ざってしまうことも少なくありません。この場合、自分にとって使いやすい言葉遣いを決めておくと会話がスムーズになることがあります。
ASDの中には、感覚鈍麻や感覚過敏といった特徴があり、自分の感情や考えをうまく認識できないことがあります。「どう感じた?」「どう思う?」と聞かれても、自分の気持ちが分からず答えられない場合があります。このような場合は、あらかじめ自分の気持ちを言葉にする練習をしておくと、感情表現がしやすくなるかもしれません。
ASDの方は、相手の気持ちや場の雰囲気を汲み取るのが難しいため、無意識に失礼なことを言ってしまう場合があります。たとえば、冗談で言ったつもりの一言が相手を傷つけてしまうこともあります。失言を防ぐためには、よく使う表現をチェックして、言い換えや柔らかい表現を意識することが有効です。
空気を読むのが苦手なため、場の雰囲気にそぐわない発言をしてしまうことがあります。たとえば、社員研修の場で「挨拶は信頼関係を築くために大切です」と話しているときに、「私は信頼されたくないので挨拶しません」と発言してしまうこともあります。このような発言が誤解を招かないためには、ある程度、相手の意図を理解する練習をすることが助けになります。
ASDの方は、非言語コミュニケーション(表情や仕草など)を読み取るのが難しいため、話しかけていいタイミングが分からずに悩むことがあります。たとえば、職場で同僚が集中しているときに話しかけてしまう、あるいは逆に話しかけていいタイミングを逃してしまうことがあります。職場でのコミュニケーションは、あらかじめルールを決めておくとスムーズに行えます。
ASDの特徴を理解することで、周囲とのコミュニケーションを改善することができます。以下は、ASDの方が自身の話し方の特徴に対して講じることのできるいくつかの対策です。

ASDの方に見られる話し方の特徴は、相手とのコミュニケーションにおいて誤解や摩擦を生むこともありますが、対策を立てることでスムーズにやりとりをすることができます。自分の特性を理解し、話し方の特徴を意識して工夫することで、日常の会話や仕事の場面でもより良い関係を築くことができるでしょう。