2024年11月、「フリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)」が施行されました。
この法律は、フリーランスとして働く人々が安心して取引できる環境を整備することを目的としています。従来は契約書が交わされないまま業務を始めるケースや、不利な条件を押し付けられるケースも少なくありませんでした。国が行った実態調査によると、フリーランスと発注者との間で何らかのトラブルを経験した人は全体の約40%にものぼります。そのうち、「交渉せず発注者の言い分を受け入れた」という人が21%、「交渉せず取引自体を断った」という人が10%に上り、多くのフリーランスが不利益を被ってきたことが明らかになりました。
こうした背景を受けて制定されたのが、今回のフリーランス新法です。本記事では、その適用範囲から具体的な内容、禁止事項、罰則まで丁寧に解説していきます。

まず、この法律が誰に適用されるのかを確認しておきましょう。
発注側(委託事業者)
受注側(フリーランス)
つまり、フリーランスの中でも「専属的に働いている約600万人」が主な対象となります。発注する側は企業や事業者であり、受注する側は原則として一人で活動するフリーランスです。

これまで口頭のみで依頼されるケースもありましたが、今後は必ず契約内容を文書で残さなければなりません。紙の契約書に限らず、メールやSNSでのやり取りでも構いません。重要なのは「証拠が残る形」であることです。
契約書には以下を明記する必要があります。
発注者が契約を途中で解除する場合は、30日前までに通知しなければなりません。これは労働者を解雇する場合の「解雇予告」と同じ考え方です。ただし、フリーランス側に重大な契約違反(納期遅延や成果物の未提出など)がある場合には、即時解除も可能です。その際も契約書に「履行しない場合は即時解除可能」と記載しておくことが重要です。
報酬の支払いは、納品から60日以内と定められています。契約書に支払日を明記していない場合は、納品日に即時支払いが必要となります。大企業によく見られる「3か月後の支払い」などは今後認められません。フリーランスにとって資金繰りを安定させるための大きなポイントといえるでしょう。

フリーランス新法では、発注者がしてはならない行為も具体的に列挙されています。
フリーランスは労働基準法の適用外ですが、新法では労働環境にも一定の配慮が求められています。
ただし、これらは継続的な取引関係にある場合のみ適用され、単発の依頼には及びません。罰則について
新法に違反した場合、以下の流れで処分が行われます。
罰金の額自体は大企業にとって大きな痛手とは言えません。しかし、企業名が公表されることで社会的信用を失うリスクは高く、事実上の抑止力となると考えられます。
フリーランス新法の施行により、取引の透明性と公正さが強く求められるようになりました。
その要点は以下の通りです。
この法律は下請法の「ライトバージョン」ともいわれ、フリーランスを守るために設けられました。発注側にとっては書類整備などの負担が増える一方で、健全な取引環境を築くための重要な一歩といえるでしょう。
フリーランスとして活動する人はもちろん、仕事を発注する企業にとっても、この新法を正しく理解し、適切な取引を行うことが求められています。