飲食店で働いていると、お客様からのクレームに直面する場面は避けて通れません。特に多いケースの1つが「注文した料理がまだ来ない」というものです。調理や配膳のミスが重なってしまうこともあり、客席から声を掛けられて初めて気付くこともあります。
このような時に、店員がどのように対応するかによって、お客様の印象は大きく変わります。場合によっては、「二度と来ない」と思われてしまうこともあれば、逆に「きちんと対応してくれるお店だ」と信頼を得られることもあります。つまり、対応の仕方次第でお店の評価は大きく変わるのです。
今回は、「商品が届いていない」とお客様から指摘された時のクレーム対応について、実際のやり取りを想定したNG例とOK例を比較しながら、そのポイントを解説していきます。

まずは、残念ながらお客様の不満を募らせてしまう「悪い対応」の例です。
特徴的なのは、店員の声が小さく覇気がなく、目線も合わせずに事務的な応答をしている点です。
客:「すみません」
店員:「はい」
客:「あのー、さっき注文したサラダがまだ来ないんですけど」
店員:「あ、はい、サラダですね、分かりました」
このやり取りでは、店員が機械的にメモを取って厨房に確認するだけで、お客様への寄り添いが感じられません。
店員:「すみません、もうしばらく掛かるそうなんですが」
客:「しばらくとはどのくらい?」
店員:「分かんないです」
「分からない」という返答は、お客様を更に不安にさせてしまいます。
待つのか諦めるのかの判断基準がなく、結局キャンセルとなり、悪い印象だけが残ってしまいました。
会計でも特にお詫びの言葉はなく、淡々と精算して終了。
最後までフォローがなく、お客様は「不満を抱えたまま」お店を後にすることになります。

続いて、良い対応の例です。
大きな違いは、声のトーン、目線、謝罪の姿勢、情報提供の仕方にあります。
客:「すみません」
店員:「はい、お伺いいたします」
客:「さっき注文したサラダがまだ出てこないんですけど」
店員:「かしこまりました、確認いたします」
店員は笑顔とアイコンタクトを意識し、はっきりとした声で対応しています。
これだけでも安心感が違います。
店員:「お客様、大変お待たせいたしました」
店員:「サラダですが、失念しておりまして、今からお作りすると30分ほど掛かります」
ここでの重要な点は、状況を正直に伝え、具体的な時間を提示することです。その上で「いかがなさいますか」とお客様に選択権を委ねます。
結果的にキャンセルとなったとしても、お客様は「誠実な対応をされた」と受け取る可能性が高いのです。
店員:「本日は料理が出てこなかった件でご迷惑をお掛けしました」
店員:「今後このようなことがないよう徹底いたします」
店員:「もしよろしければ、次回ご利用いただける割引券をお渡しいたします」
最後まで丁寧に謝罪し、更にフォローを加えることで、不満を和らげ再来店に繋げる工夫をしています。

まずは厨房やホールで状況を確認し、料理が準備中なのか忘れられていたのかを把握します。
同時に、提供に要するおおよその時間も確認しましょう。
トラブル対応は店全体の責任です。
必要に応じて責任者が出て行くことで、お客様の不満を早めに鎮められる場合もあります。
「忙しかったから」などの言い訳は逆効果。
理由はどうであれ、まずは謝罪を優先することが大切です。
「しばらく」ではなく「30分ほど」など数字で伝えること。
更に待つかどうかはお客様に判断していただくのが正解です。
会計時に改めて謝罪を伝え、場合によってはサービス券やお詫びの品を渡すことで、悪い印象を和らげられます。

飲食店において「商品が来ない」というトラブルは珍しくありません。しかし、そこでの対応ひとつで「二度と来ないお店」になるか「また利用したいお店」になるかが決まります。
大切なのは、
という基本を徹底することです。
クレーム対応は「ピンチ」ではなく「チャンス」でもあります。誠実で丁寧な対応を積み重ねることで、お客様からの信頼を獲得し、長く愛されるお店へと成長していくことができるでしょう。