
~特定商取引法を踏まえた正しい対応~
ビジネスをしていると、避けて通れないのが「営業電話」です。新しい商品やサービスの紹介であれば耳を傾ける価値もありますが、なかには一度断っても何度も食い下がり、業務の妨げになるようなしつこい営業電話も少なくありません。特に、不動産や金融商品、また通信サービスなどの分野では強引な営業が多く見られます。
本記事では、しつこい営業電話をスマートに、かつ法律を踏まえて断る方法をご紹介します。ビジネスマナーを守りつつも、毅然と対応できる具体策を整理しました。
なぜしつこい営業電話は発生するのか
営業電話を受けた経験のある方ならおわかりかと思いますが、多くの会社は「まず担当者につなぐこと」を目的としています。そのため、相手が本当に必要としているかどうかに関わらず、とにかく会話を長引かせようとするケースがあります。
例えば、
「1分だけでもお時間をいただけませんか」
「この情報を聞いてよかったと皆さまおっしゃいます」
といった文言で粘られることがよくあります。断ってもなお繰り返し電話をしてくる場合は、単なる営業活動ではなく、違法性を帯びる可能性がある点に注意が必要です。
基本的な営業電話の断り方
営業電話がかかってきた際の対応には、いくつかのポイントがあります。ここではまず「一般的な営業電話」を断る際の基本的な流れを整理します。

まず大切なのは「取引のある会社とそうでない会社」を明確に区別できるように、社内で情報を共有しておくことです。知らない企業名からの電話であれば、営業の可能性が高いと判断できます。
担当者を名指ししていない電話は営業の可能性が高いため、取り次ぐ前に「どのようなご用件でしょうか」と簡単に確認しましょう。ここで営業だと分かれば、担当者につなぐ必要はありません。
営業電話であることが分かった場合は、感情的にならずに「会社の方針として利用の予定はございません」と丁寧に伝えます。個人の判断ではなく「会社全体の方針」として伝えることで、相手もそれ以上強引に出にくくなります。
「無料キャンペーン中」「今だけ特別」などの誘い文句に食い下がられても、毅然と「契約や利用の意思はありません」と伝えましょう。
最後は「失礼いたします」と必ず一言添えて電話を切りましょう。いくらしつこい営業であっても、ガチャ切りは印象を悪くします。相手が不快に感じて逆恨みするリスクも避けるべきです。
しつこい営業電話への強い対策
しかし、なかには基本的な断り方では引き下がらない悪質な営業も存在します。その場合には、以下のような強めの対策が必要です。
まずは「弊社では御社と取引する意思はございません」と明確に伝えましょう。あくまで丁寧な言葉を使いながらも、はっきりと拒否することが重要です。

特に効果的なのが「特定商取引法」の活用です。同法第17条では、契約をしない意思を示した相手に対して勧誘を続けること(再勧誘)が禁止されています。
具体的には、次のように伝えるとよいでしょう。
「特定商取引法第17条に基づき、契約の意思がない者への再勧誘は禁止されております。今後弊社へのお電話はお控えください。」
法律を根拠にすることで、相手も不用意に食い下がれなくなります。
それでも営業をやめない場合は「消費者ホットライン(188)」へ通報することが可能です。悪質事業者として行政の指導対象となる可能性があるため、実効性の高い手段です。
あまりにもしつこい、あるいは脅迫めいた発言をされた場合には必ず録音を残しましょう。録音は消費者センターや警察に相談する際の重要な証拠となります。相手に「録音しております」と伝えるだけで、営業を控える効果も期待できます。
社内で徹底すべき重要ポイント
営業電話対策を効果的に行うには、個々人の判断に任せるのではなく、会社として統一した方針を持つことが欠かせません。
営業電話への対応方針を事前に決めておく
「契約の意思がない場合は取り次がない」「営業電話は必ず窓口で断る」など、会社としての方針を明文化しておきましょう。
全社員に共有する
新入社員研修や全体会議、社内回覧を通じて全員に徹底します。情報の共有が不十分だと、担当者によって対応がばらつき、相手に付け入る隙を与えてしまいます。
担当者名を指名していない電話は注意
営業電話は「御社の人事担当の方」など役職名や部門名でかかってくることが多いのが特徴です。担当者を具体的に名指ししていない場合は営業を疑い、必ず簡単に用件を確認しましょう。
しつこい営業電話は、ただ迷惑なだけでなく業務を妨げ、生産性を下げる大きな要因にもなります。
大切なのは次の3点です。
丁寧ながらも毅然と断る
法律(特定商取引法)を根拠にする
会社として統一した対応を徹底する
さらに悪質な場合には、消費生活センターや消費者ホットラインへの通報、録音による証拠確保も有効です。
営業電話を完全になくすことは難しくとも、正しい知識と対応方法を身につけておけば、業務への影響を最小限に抑えることができます。ぜひ、社内で共有し実践してみてください。