社会人として日々のやりとりで最も注意すべきなのが「言葉遣い」。言葉ひとつで印象は大きく変わり、同じ内容でも「できる人」に見えるか「残念な人」に見えるかが決まります。特に敬語や丁寧表現は「なんとなく」で使っていると、知らず知らずのうちに誤用していることが多いもの。ここでは、ビジネスの場でよく耳にするけれど、実は間違っている、あるいは不自然な言い回しを整理し、正しい表現に置き換えて紹介します。

日常会話では無意識に使ってしまいがちな「~の方に」「~の方で」という表現。しかし、ビジネスの場では冗長で不自然に響くことが多いです。
「東京の方」と言うと「東京方面」というニュアンスになり、出張先がぼやけてしまいます。正しくは単に「東京に出張しております」で十分です。
同じく、
余計な「方」を省いたほうが端的で美しい言葉になります。
また、
「私の方で」と言うと「自分側だけでやる」と強調してしまい、かえって不自然。シンプルに「私が」で問題ありません。

金銭や注文に関わる場面でも、誤用が目立ちます。
「から」を入れると「お釣りを含めて」という意味に誤解される可能性があります。単に「お預かりします」で十分です。
「ちょうど」はお客様側の言葉。店員が使うと違和感が出るので注意です。
また、確認表現でもよくあるのが「よろしかったでしょうか」。
過去形にしてしまうと「すでに決まっていたことを再確認している」ようなニュアンスになります。進行形の確認には「よろしいでしょうか」が自然です。

敬語を使おうとして逆におかしくなってしまうケースも多くあります。
とんでもございません
「とんでもございません」は存在しない言い回し。正しくは「恐れ入ります」や「とんでもないことでございます」です。
社長様/会社様
「社長様」と二重敬語になってしまうのもNG。
会社を呼ぶときは「御社」または「貴社」を使い分けましょう。
お世話様です
「お世話様」は地域や家庭内で使うカジュアルな表現。ビジネスメールでは必ず「お世話になっております」に統一しましょう。
「させていただく」は便利な言葉ですが、使い方を誤ると不自然になります。
「やらさせて」は二重敬語に近い誤りです。
また、
「休まさせて」は誤り。「休ませて」が正解です。
日本語としては広まっていますが、目上やフォーマルな場では避けたいのが「ら抜き言葉」。
「ら抜き」はカジュアルすぎて、相手によっては「常識がない」と思われることもあります。
意見を伝えるときにも、つい省略してしまうことがあります。
「~と思います」の前に「だ」を入れることで、文としての正確さが保たれます。細かいけれど印象が変わるポイントです。

ビジネスの言葉遣いは、ただ「敬語を使う」だけではなく、「不自然になっていないか」「冗長ではないか」を意識することが大切です。
こうした点を意識するだけで、普段の会話やメールがぐっと洗練され、相手に与える印象も大きく変わります。ビジネスの現場では「言葉遣い=信頼感」。一つひとつの表現を見直すことで、仕事の成果や人間関係の円滑さにも直結するのです。