
電話対応は、ビジネスにおいて相手に与える印象を大きく左右する重要な場面です。顔が見えない分、声のトーンや話し方、そして「言葉遣い」そのものが相手に伝わります。丁寧で美しい言葉遣いは、信頼を得るための第一歩であり、同時に自分自身の評価にも直結します。
今回は、普段つい使ってしまいがちな表現を、より適切で美しい言葉に言い換える方法をご紹介します。覚えておくと、日常の電話対応で必ず役に立つはずです。
ビジネスメールや電話の結びで「お体ご自愛ください」と言う人は少なくありません。しかし実は「ご自愛」自体に「お体を大切に」という意味が含まれているため、「お体」と重ねるのは二重表現になってしまいます。
正しくは「ご自愛ください」とシンプルに伝えるのが美しい表現です。
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少しの違いですが、正しく美しい日本語を使うことで、相手に対して細やかな配慮が伝わります。
「お世話様です」という表現は、主に社内や親しい関係性の中で使われることが多く、ややカジュアルな響きを持ちます。ビジネスの場面で社外の方に対して使うと、やや軽い印象を与えてしまうことがあります。
そのため、取引先や目上の方には「お世話になっております」と伝えるのが基本です。
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「お世話になっております」という一言には、日頃の感謝の気持ちが自然に込められるため、相手に良い印象を与えます。
「ご苦労様です」は目上の人が目下の人に使う表現です。そのため、取引先や上司などに向かって使うのは失礼にあたります。代わりに「お疲れ様です」という言葉を選びましょう。「お疲れ様です」は立場に関係なく使える便利な表現であり、相手の労をねぎらう気持ちを込めて伝えることができます。
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細やかな配慮ができる人は、自然と信頼されやすくなります。

電話対応で社員の不在を伝える際、「お休みをいただいております」と言う人は多いでしょう。しかし「いただいております」は「自分(自社)がもらっている」という意味になるため、第三者である相手に伝えるには少し不自然です。
より適切なのは「お休みをとっております」という表現です。シンプルかつ正確に伝えることができます。
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言葉の選び方ひとつで、誠実さや信頼感が伝わるものです。
相手に選択を促すとき、「どちらにいたしますか?」と言ってしまいがちですが、これは敬語としては不十分です。「いたします」は自分の行為に対して用いる謙譲語であり、相手に使うと誤用になります。
相手の行為に対して使う場合は尊敬語が正しく、「どちらになさいますか?」と表現しましょう。
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尊敬語と謙譲語の区別を意識することで、自然と美しい日本語が身につきます。
相手から褒められた時につい「とんでもないです」と返してしまうことがありますが、これは本来正しい表現ではありません。「とんでもない」は単独では「思いもよらない」「もってのほか」という意味合いが強く、やや否定的に聞こえてしまいます。
代わりに状況に応じて以下のように言い換えると、丁寧で自然なやり取りになります。
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相手の気持ちを受け止めつつ、謙虚さや感謝を伝えることが大切です。
弔事の際につい口にしてしまう「ご愁傷様です」ですが、これは目上の人が目下の人にかける表現であり、ビジネスの場面では不適切です。代わりに「このたびのこと、心よりお悔やみ申し上げます」と伝えるのが正しい表現です。
弔意を伝える言葉は、形式的に感じられやすいものだからこそ、丁寧な言葉選びが重要です。
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相手に寄り添う気持ちが伝わる言葉を選ぶようにしましょう。

電話対応において、言葉遣いは単なる形式ではなく、相手に対する敬意や心遣いを伝える大切な手段です。今回ご紹介した言い換えは、いずれも日常的に使われやすいものばかりですが、少し意識を変えるだけでぐっと印象が良くなります。
美しい言葉遣いは、一朝一夕で身につくものではありません。しかし日々の積み重ねによって、自然と口から出てくるようになります。電話対応の中で少しずつ意識しながら、相手に信頼されるコミュニケーションを心がけてみましょう。