電話は、ビジネスの現場で欠かせないコミュニケーション手段の一つです。メールやチャットが主流になりつつある現代においても、声を通じたやり取りは相手の温度感や誠意を伝えるために重要な役割を果たしています。
しかし、現場で電話応対をしていると、困る場面も少なくありません。たとえば、しつこい営業電話に時間を取られてしまったり、取引先からの質問に即答できなかったり、あるいは自社のミスを丁寧に謝罪しなければならないこともあるでしょう。
今回は、そんな「電話応対の難所」とも言えるシーンを整理し、丁寧かつワンランク上の対応につなげるためのヒントを解説していきます。

誰しも経験があるのが、営業目的の電話。中には一度断っても、何度もかけてくる業者もいます。応対する側としては、業務を妨げられることにもなり、ストレスを感じてしまいますよね。
たとえば、不動産や求人の営業で「ぜひご提案したい」と言われても、現在利用の予定がなければ、その場ではっきり断ることが大切です。
「恐れ入りますが、現在そのような予定はございません。今後必要があればこちらからご連絡いたしますので、今回はご遠慮させていただきます。」
と伝えることで、相手にも余計な期待を抱かせずに済みます。
それでも執拗にかけてくる業者には、法的なルールを踏まえて対応することも有効です。
たとえば、特定商取引法第17条では「契約をしない意思を示した相手への再勧誘」が禁止されています。この点を冷静に伝えると、多くの業者はこれ以上強引に勧誘できなくなります。
「大変申し訳ありませんが、弊社では御社との取引を行う予定は一切ございません。再度の勧誘は法律でも禁止されておりますので、今後はお控えいただけますでしょうか。」
と落ち着いた口調で伝えることで、毅然とした姿勢を示しつつも、感情的にならずに済みます。
一方で、営業電話とは正反対に、取引先への謝罪が必要になる場面もあります。例えば、会計処理や書類に誤りがあった場合、信頼関係を維持するためにはスピーディかつ丁寧な謝罪が求められます。
例えば、年末調整のデータ転記に誤りがあった場合には、
「このたび、源泉徴収票の記載に誤りがありました。具体的には、原様の所得税額に10円程度の相違がございました。すでに訂正済みの書類を用意しておりますので、差し替えをお願いできればと存じます。大変申し訳ございません。」
と、事実を隠さず、解決の方法を同時に提示することが信頼回復につながります。
電話応対では「すぐに答えられない質問」を受けることも珍しくありません。焦って不確かな答えをしてしまうと、後に訂正が必要になり、かえって信頼を損ねてしまいます。
たとえば、貸借対照表の残高に関する問い合わせを受けた場合は、
「ご指摘の預り金の中で、源泉所得税と住民税の金額に差異があるように思われる、ということでよろしいでしょうか。詳細を確認いたしますので、10分ほどお時間をいただけますか。折り返しこちらからご連絡差し上げます。」
といった流れで応対すると、相手も安心して待つことができます。

電話応対は、単なる事務作業の延長ではなく、会社の印象を大きく左右する重要な業務です。
これらを意識するだけで、電話応対の質は大きく変わります。
特に、しつこい営業電話に振り回されず、取引先との信頼を守る姿勢を徹底することは、日々の業務をスムーズにし、会社全体の評価にもつながります。
電話の一本一本が、相手との関係を築くチャンスでもあり、また守るべき信頼の試金石でもあるのです。