
社会人として避けて通れないのが「電話対応」です。対面での会話と違い、相手の表情や雰囲気が伝わらない電話では、言葉遣いが相手の印象を大きく左右します。特に「敬語」の使い方は、少しの誤りが相手に違和感を与えたり、会社全体の評価を下げてしまうことさえあります。
本記事では、電話対応の場面でよくある敬語の誤用を取り上げ、正しい言い回しとそのポイントを丁寧に解説していきます。普段何気なく使っているフレーズを見直すことで、より安心感と信頼感を与える電話応対を身につけていきましょう。
× ○○事務所○○です
〇 お電話ありがとうございます、○○事務所○○です
電話に出るとき、名前だけを名乗るのは事務的で冷たい印象を与えかねません。特に外部からの電話では、第一声が会社や組織全体の印象を左右します。
「お電話ありがとうございます」という一言を添えることで、相手に「歓迎されている」「丁寧に対応してもらえる」という安心感を与えることができます。電話対応の基本中の基本ですが、慌ただしいとつい省略してしまう人も多いもの。習慣として自然に口をついて出るよう、日頃から意識してみましょう。
× どのくらいになりましたかね?
〇 どのくらいになりましたでしょうか?
「~かね?」という表現は砕けた口調であり、ビジネスの場にはふさわしくありません。電話では特に、相手の顔が見えない分、言葉遣いがそのまま印象に直結します。
「~でしょうか?」と問いかける形にすることで、柔らかさと丁寧さを両立できます。ちょっとした語尾の違いですが、信頼感の差は大きいものです。
× この前、監査活かせていただいた時にちょっと話させていただいたと思うんですけれども
〇 この前、監査でお伺いした際にお伝えしたかと思うんですけれども
誤用の例では「活かせていただいた」「ちょっと話させていただいた」と冗長で不自然な表現になっています。敬語を意識するあまり、余計な言葉を重ねてしまうのはよくある失敗です。
「お伺いした際に」「お伝えしたかと思います」と簡潔にまとめることで、聞き手に伝わりやすく、また落ち着いた印象を与えられます。敬語は「たくさんつければ良い」というものではなく、「必要なものを正しく使う」ことが大切です。

× なるほど
〇 さようでございましたか
「なるほど」は日常会話では便利な言葉ですが、ビジネスの場ではやや軽い印象を与えます。特に電話対応での「なるほど」は、相手によっては「軽く流された」と感じられる危険もあります。
代わりに「さようでございましたか」「承知いたしました」といった表現を用いると、より丁寧で落ち着いた印象になります。相槌は頻繁に使うものだからこそ、丁寧な言葉を習慣づけておくと安心です。
× すみません、お待たせいたしました
〇 大変お待たせいたしました
「すみません」は便利な言葉ですが、ビジネスの場ではややカジュアルに響く場合があります。電話対応では「申し訳ありません」「大変お待たせいたしました」といった言葉を選ぶことで、誠意がより明確に伝わります。
お詫びの場面では、相手の時間を奪ったことにしっかり配慮していることを示す言葉選びが求められます。
× この前提出させていただいた、その資産表の数字が
〇 この前提出した資産表の数字が
「提出させていただいた」は一見丁寧に見えますが、提出は自発的な行為であり、相手の許可を得て行うものではありません。そのため「させていただく」を付けるのは不自然な敬語になります。
シンプルに「提出した」で十分に丁寧です。「させていただく」は便利ですが、安易に使うと誤用にあたることが多いため注意が必要です。
× すみません、ちょっと間違えて入力されていたみたいで
〇 申し訳ありません、誤って入力されておりまして
「ちょっと」「みたいで」といった曖昧な言葉は、責任をあいまいにする印象を与えてしまいます。ビジネスでは特に、ミスを伝えるときこそ誠実な姿勢が求められます。
「誤って入力されておりまして」「確認不足でございました」と具体的かつ丁寧に伝えることで、相手に信頼感を与えられます。
× 再度ちょっとお伺いさせていただくような形でもいいですかね
〇 改めて御社にお伺いしてもよろしいでしょうか?
誤用の例では「させていただくような形でもいいですかね」と回りくどく、しかもやや軽い印象を与えます。電話では特に「~ですかね」という表現が砕けすぎて聞こえやすいため注意が必要です。
「お伺いしてもよろしいでしょうか?」とシンプルに尋ねることで、相手への敬意と丁寧さをしっかりと示せます。
× いつごろスケジュールご都合よろいしでしょうか?
〇 ご都合がよろしい日を教えていただけますか?
「いつごろ」という曖昧な表現は、相手に考える負担をかけてしまいます。また「ご都合よろいしでしょうか」という文は、誤字のように聞こえたり、不自然な日本語に感じられます。
「ご都合がよろしい日を教えていただけますか?」と尋ねることで、相手は具体的な日程を伝えやすくなり、やり取りがスムーズに進みます。
電話対応における敬語の誤用は、本人にとっては些細なことでも、相手にとっては大きな違和感となることがあります。特に以下の3点を意識すると、正しい敬語に近づけます。
電話対応は、会社や組織の「顔」とも言える重要な業務です。正しい敬語を身につけることで、相手に信頼感を与えるだけでなく、自分自身の評価も高まります。今回のポイントを日常の業務で意識し、より洗練された電話応対を目指していきましょう。