【会社設立前に知っておきたい】会社設立時の費用や手続き、各会社ごとの特徴とメリット・デメリット【起業】

起業を考える際、最初に直面する大きな課題のひとつが「会社をどの形態で設立するか」という問題です。日本の会社法では「株式会社」「合同会社」「合資会社」「合名会社」の4つの形態が認められており、それぞれに特徴や設立費用、メリット・デメリットが存在します。本記事では、それぞれの会社形態の違いや設立にかかる費用、そして経営を続けていく上で押さえておきたいポイントについて詳しく解説します。

会社形態の基本的な違い

4つの会社形態の大きな違いは「責任の範囲」にあります。責任の範囲とは、会社が倒産した際や負債を抱えた場合に出資者がどこまで責任を負うかという点です。

  • 有限責任:出資額を限度として責任を負う。倒産しても出資額以上の負債は負担しない
  • 無限責任:会社の負債を全額負担しなければならない。出資額を超える責任が生じる

ここでいう「社員」とは会社法上の用語であり、一般的な従業員を意味するものではなく「出資者」のことを指します。

株式会社

株式会社

株式会社は、日本で最も一般的な会社形態であり、全企業の約7割以上を占めています。株式を発行し、投資家から資金を集めて設立される点が特徴です。

特徴

  • 出資者(株主)と経営者が分離している(所有と経営の分離)
  • 株主は株主総会を通じて経営者を選任。
  • 出資者は有限責任であり、出資額以上の損失を負わない
  • 毎年、決算公告が義務付けられている。

メリット

  1. 社会的信用度が高い:認知度が高く、取引先や金融機関からの信頼を得やすい。
  2. 資金調達が容易:株式発行により広く出資を募ることが可能。
  3. 有限責任:倒産しても出資金以上の負債を負う必要がない。

デメリット

  • 設立費用が高額(定款認証や登録免許税などで約20万円以上)。
  • 毎年の決算公告や登記手続きが必要で、ランニングコストがかかる。
  • 法的規制が多く、柔軟な経営判断が制約される場合がある。

合同会社(LLC)

合同会社(LLC)

合同会社は2006年の新会社法で導入された比較的新しい形態です。出資者全員が経営者としての権限を持ち、柔軟な経営が可能です。

特徴

  • 出資者=経営者。
  • 定款の自由度が高く、利益配分も自由に決定可能。
  • 株主総会の開催義務がなく、意思決定が迅速
  • 決算公告の義務なし。

メリット

  1. 設立費用が安い:登録免許税が6万円で済み、定款認証も不要。約10万円で設立可能。
  2. 有限責任出資額を超える責任を負わない
  3. 経営の自由度が高い出資者と経営者が一致しているためスピーディーな意思決定が可能。

デメリット

  • 株式会社に比べて知名度・信用度が低い。
  • 株式発行による資金調達ができない
  • 上場が不可能。

※なお、合同会社から株式会社への組織変更は可能です。

合資会社

合資会社

合資会社は、無限責任社員と有限責任社員の両方が存在する会社形態です。経営を担う無限責任社員と、資金提供を行う有限責任社員に分かれて構成されます。

特徴

  • 無限責任社員と有限責任社員の2名以上が必要。
  • 有限責任社員は原則として経営に参加しない。

メリット

  • 設立費用が安く、資本金も不要。
  • 決算公告義務なし。
  • 定款の自由度が高い

デメリット

  • 無限責任社員が大きなリスクを背負う
  • 相続発生時に高額な納税リスクを伴う場合がある。
  • 設立数は非常に少なく、社会的信用も低い。

合名会社

合名会社は、出資者全員が無限責任社員となる会社形態です。複数の個人事業主が集まって設立されることが多く、社員の信頼関係や個性を重視した経営に適しています。

特徴

  • 出資者全員が業務執行権と代表権を持つ。
  • 定款変更や社員持分の譲渡には全員の同意が必要

メリット

  • 設立費用が安い(登録免許税6万円)。
  • 利益配分を自由に決定可能。
  • 決算公告の義務なし。

デメリット

  • 全員が無限責任を負うため、リスクが大きい
  • 株式発行や上場は不可能
  • 社員間の合意形成が必須で、柔軟性に欠ける場合がある。

まとめ

起業をする際に選べる会社形態は4種類ありますが、それぞれに設立コスト信用度資金調達方法経営の自由度などの違いがあります。

  • 株式会社信用度・資金調達力を重視するなら最適。ただし費用や手間がかかる。
  • 合同会社:低コストかつ自由度の高い経営をしたい場合に向いている。
  • 合資会社・合名会社:設立費用は安いが、無限責任のリスクが大きいため近年では少数派。

どの形態を選ぶかは「事業規模」「資金調達の必要性」「社会的信用の重視度」「リスク許容度」などによって変わってきます。将来的に会社を成長させたいのか、スモールビジネスとして安定運営を目指すのかを明確にした上で、自分に合った会社形態を選択することが成功への第一歩となるでしょう。