
企業や組織における研修は、社員のスキルアップや意識改革に欠かせない大切な場です。しかしながら、受講者の立場からすると「長時間で退屈」「強制的に参加させられて気が乗らない」など、必ずしも前向きな気持ちで臨めるとは限りません。特に「勉強」「学習」といった言葉に対して抵抗感を抱く人も少なくありません。
そのため、研修の効果を最大化するためには、受講者のモチベーションを高め、集中力を持続させる工夫が必要です。そこで有効なのが「ゲーム感覚」を取り入れる方法です。学びを遊びに近づけることで、自然と参加者の意欲や集中力が引き出され、結果として学習効果も高まります。
本記事では「研修をゲーム感覚にする3つの方法」と題し、具体的な実践例をご紹介します。
研修では「覚えて使うこと」が重要になる場面が多くあります。たとえば接客やビジネスシーンで用いる「クッション言葉」。「恐れ入りますが」「お手数をおかけしますが」「恐縮ですが」など、相手に配慮を示す言葉は日常業務で役立ちます。
通常であれば「これを覚えてください」と指示するだけですが、それでは集中力が長続きせず、単調に感じてしまいます。ここで「記憶ゲーム」としてアプローチを変えると、一気に雰囲気が盛り上がります。
実践例
このように「チーム対抗」とするだけで、参加者の表情は一変します。「頑張るぞ!」と声を上げたり、仲間同士で工夫し合ったりと、自然と主体的な姿勢が生まれます。ゲーム終了後には「クッション言葉キング」や「クイーン」といった称号を与えると、さらに盛り上がり、学んだ内容も記憶に残りやすくなります。
ポイントは、“覚える”作業を“競う”楽しさに変えること。
これにより、単なる暗記ではなく、チームのために協力して学ぶ姿勢が引き出されるのです。

研修においては「頭で理解すること」だけではなく、「体で感じること」が重要です。特にコミュニケーションや接遇に関わる研修では、表情や態度が相手に与える影響を実感してもらう必要があります。
たとえば「ありがとうは笑顔で伝える方が良い」と説明しても、多くの人は頭では理解していても、実際の場面で徹底できるとは限りません。そこで有効なのが「表現ゲーム」です。
実践例
このように“あえて逆のこと”を体験すると、学びの重要性が強く印象に残ります。「謝罪を笑顔で伝えると相手はどう感じるか」「怒りながら感謝を述べるとどう伝わるか」など、実感を伴った理解が得られるのです。
また、参加者同士でNGシーンを演じ合うと、笑いも生まれ、場の空気も柔らかくなります。結果として「なるほど、だから表情は大切なのだ」と腑に落ちやすくなるのです。
表現ゲームは、体感を通じて“納得”を生み出す効果的な手法といえるでしょう。
人間の記憶は非常に曖昧で、聞いたことをすぐに忘れてしまいます。心理学的には「人は20分後には42%の内容を忘れる」とも言われています。研修の効果を定着させるには、この“忘却”を防ぐ工夫が欠かせません。
そこでおすすめなのが「クイズ形式での復習」です。
実践例
数時間前に学んだ内容であっても、意外と忘れているものです。しかし、チームで考えることで「ああ、そうだった!」と記憶が呼び覚まされます。他のチームの答えを聞くことで刺激も受け、学び直しが自然に行われます。
さらに、クイズによる復習はアンケートでも高評価を得やすい方法です。受講者からは「頭の整理ができた」「大事な点を再確認できた」といった感想が寄せられることも多く、学習意欲を維持する効果があります。
クイズは楽しさと学びの両立を可能にする、実践的な仕掛けなのです。

研修を「つまらない」と感じるか「楽しい」と感じるかは、内容そのものよりも工夫の仕方に左右されることが多いといえます。
これら3つの方法は特別な道具を必要とせず、講師の伝え方や場の進行次第で簡単に導入できます。研修を「学びの場」から「参加型の遊びの場」に変えるだけで、受講者の姿勢も大きく変わります。
企業にとって研修は投資です。その成果を最大化するために、ぜひ「ゲーム感覚の要素」を取り入れてみてください。