
電話応対において最初の関門となるのが、相手の会社名や氏名を正しく聞き取ることです。声が小さかったり回線が不安定だったりすると、聞き逃しや誤解が生じやすくなります。その際に大切なのは、失礼にならないように聞き返す工夫です。
まず、最初の名乗りははっきりと行います。
「お電話ありがとうございます。〇〇会計事務所、〇〇でございます。」
相手が名乗った後に聞き取りづらい場合は、次のように柔らかく伝えるのが望ましいでしょう。
「恐れ入ります。お電話が少々遠いようでして、もう一度会社名からお願いできますでしょうか。」
「声が小さい」と正直に伝えるのは失礼にあたるため、「お電話が遠い」という表現を用いるのがマナーです。また、名前の漢字や会社名の綴りを確認することで、正確に復唱できるようにします。
会話例
A:「お世話になっております。私〇〇経営の山田と申します。」
B:「恐れ入ります。〇〇経営のお名前、漢字はどのような字を書きますでしょうか?」
A:「山川の山に、田んぼの田で山田と申します。」
B:「はい、〇〇経営の山田様ですね。いつもお世話になっております。」
必ず復唱して確認することで、誤解を防ぎ、相手に安心感を与えることができます。

電話対応の要点は、相手の要件を的確に把握し、誤りなく伝えることです。そのためには「復唱」が不可欠です。聞き取った内容を自分の言葉で繰り返すことで、確認の姿勢を示すことができます。
会話例
A:「営業部の鈴木さんいらっしゃいますか?」
B:「営業部の鈴木でございますね。確認いたしますので、少々お待ちくださいませ。」
もし担当者が不在で、相手が用件を残す場合は、丁寧に復唱しましょう。
A:「ゴールデンウィークと母の日セールに向けて、商品を5000個搬入していただきたいということをお伝えください。」
B:「はい、念のため復唱いたします。ゴールデンウィークおよび母の日セールに向けて、商品5000個の搬入をご希望、ということでお間違いないでしょうか?」
A:「はい、お願いします。」
B:「かしこまりました。私、〇〇が承りました。鈴木に必ず伝えます。」
要件の復唱は「誠実に対応している」という印象を与えるだけでなく、トラブル防止の観点からも極めて重要です。
電話応対で最も多いのが、担当者が不在のケースです。この場合、大きく分けて「かけ直す」か「伝言を預かる」かの2パターンがあります。
かけ直す場合
相手の都合を確認し、自分からかけ直す意思を明確に伝えます。
「社長の加藤は外出しておりまして、16時頃戻る予定です。」
「かしこまりました。16時頃に改めて私からご連絡いたします。」
伝言を依頼する場合
担当者の不在が長引くときは、伝言をお願いするのが適切です。このときも内容を正確に確認し、返答の期日がある場合は明確に伝えましょう。
会話例
A:「決算仕訳で棚卸しの金額を計上したいので、その金額を教えていただきたいとお伝えください。」
B:「承知いたしました。念のため復唱いたします。決算仕訳で棚卸額を計上するため、その金額を教えていただきたいということでよろしいですか?」
A:「はい、そうです。」
B:「かしこまりました。いつまでにご連絡差し上げればよろしいでしょうか?」
A:「今週金曜日16時頃までにいただけると助かります。」
B:「承知いたしました。その旨、加藤に必ずお伝えいたします。」
このように、折り返しの時刻や期限を明確にしておくことで、後々の行き違いを防ぐことができます。
電話応対には、問い合わせや連絡だけでなく、営業活動としての「テレアポ」も含まれます。この場合、最初の印象が極めて重要です。
まずは明るく名乗り、突然の連絡であることをお詫びします。
「お忙しいところ恐れ入ります。私、小林会計事務所の丸山と申します。突然のご連絡、大変失礼いたします。」
その上で要件を簡潔に伝え、相手が答えやすい形に整えることが成功の秘訣です。
会話例
A:「実は私どもが関わっている画家の方が、11月に松本市美術館で美術展を行うことになりまして、御社にチラシを置かせていただけないかと思いご連絡いたしました。」
B:「はい、持って来ていただければ可能です。」
A:「ありがとうございます。それでは10月27日午後に伺ってもよろしいでしょうか?」
B:「大丈夫です。」
A:「かしこまりました。午後13時過ぎにお伺いします。」
テレアポでは、要件を準備しておくこと、日程を具体的に決めること、そして最後に必ず丁寧なお礼を述べることが大切です。

電話対応は単なる事務的なやり取りではなく、相手に安心感と信頼を与える重要なコミュニケーションです。
こうした基本を徹底することで、声だけのやり取りにもかかわらず、相手に誠実さと安心感を伝えることができます。電話の一本一本が会社の信用を支える大切な場面であることを常に意識することが、質の高い応対につながります。