働きやすい会社か、それとも長く勤めるのが難しい会社か――入社してみなければ分からない部分も多いですが、実際には日常の会話や社内の雰囲気から「この会社は危ないかもしれない」というサインを感じ取ることができます。今回はブラック企業を見分けるヒントとして、社内でよく目にする「残念な言動」から考えてみましょう。

職場でありがちなのが「俺、学生時代は◯◯で表彰されたんだ」「昔は部活で全国大会に出たんだ」といった、過去の栄光を延々と語る上司や先輩です。もちろん人の経験や努力は尊重すべきですが、職場で過去の自慢ばかりする人は、往々にして現在の成果や実力で語ることができていません。
こうした言動が頻繁に出る会社は、社員の実績を適切に評価する文化が根付いていない可能性があります。つまり、「今の仕事の成果よりも、過去の武勇伝で自分の価値を示そうとする」社風が放置されているのです。その結果、若手が力を発揮しても正しく評価されず、組織の活力が低下してしまう危険性があります。
健全な会社は「今の努力と成果」に焦点をあてます。過去の話に執着する人が多い職場は、注意が必要です。

「課長になったらもっと辛いぞ」「俺なんて部長になってから毎日夜遅くまで大変でさ」といった“苦労自慢”も、ブラック企業にありがちな特徴です。
一見すると苦労話の共有に思えるかもしれませんが、ここには「出世しても楽にならない」「役職が上がるほど負担が増える」というメッセージが含まれています。つまり、その会社では管理職に適切な裁量や報酬が与えられず、むしろ業務だけが増えていることを示唆しています。
本来、出世とは責任が増す代わりに、権限や待遇が改善されるものであるはずです。ところが「出世しても消耗するだけ」という構造が固定化されている場合、その会社は人材を使い捨てる傾向が強いといえるでしょう。
健全な組織では「出世すればやりがいも増える」「待遇や働き方も改善される」という仕組みが整っています。逆に「苦労ばかりで何の見返りもない」と感じさせる会社は、早めに見切りをつけたほうが賢明かもしれません。

世代間ギャップを感じる場面の典型が「私が若手だった頃は、毎日終電まで働いてたんだ」「昔は休日返上が当たり前だったんだよ」という“私の頃は自慢”です。
このような言葉の裏には、「自分が我慢したのだから、あなたも我慢するべきだ」という価値観が潜んでいます。つまり、働き方改革やワークライフバランスといった現代的な考え方を軽視し、過去の過酷な労働環境を美化しているのです。
こうした社風が強い会社では、社員が無理な働き方をしても「根性が足りない」と片付けられてしまうことがあります。結果として、心身の健康を損ないやすく、離職率も高まる傾向にあります。
本来、先輩社員の経験談は後輩を励ますために語られるべきものです。しかし、それが「自分の時代のやり方を押し付ける言葉」になっている場合、組織の柔軟性や持続可能性は大きく損なわれます。

最近特に目立つのが、必要以上に横文字を多用する職場です。「この案件はコミットメントが重要で」「アジェンダをシェアして」「KPIのモニタリングがマストでさ」など、横文字を多用することで仕事ができるように見せかける人もいます。
もちろん、ビジネスにおいて専門用語が必要な場面はあります。しかし、それが社内の共通理解を妨げるレベルで氾濫している場合、注意が必要です。
横文字を乱用する文化は、以下のような問題を引き起こします。
つまり「分かりやすさ」よりも「格好つけ」を優先する文化は、健全な企業運営とは言えません。本当に優れた会社は、誰にでも理解できる言葉で伝える力を重視します。
ブラック企業を見抜くのは簡単ではありません。しかし、日々の会話や上司の言動のなかに、小さな違和感は必ず存在します。
こうした兆候が積み重なっている会社は、社員を大切にしていない可能性が高いといえます。逆に、社員の現在の成果を評価し、成長に見合った待遇を用意し、誰にでも分かる言葉で誠実にコミュニケーションを取る会社は、健全で持続可能な組織であることが多いでしょう。
「ちょっとおかしいな」と感じた違和感を無視せず、客観的に判断することが、自分の働き方や人生を守る第一歩です。