
電話でのクレーム対応は、企業の信頼に直結する重要な業務です。特に、感情的になった相手から「詐欺だ」「訴える」といった強い言葉を投げかけられた場合、担当者は冷静さを保ちながら適切に対応する必要があります。
本記事では、ある仮想ケースを取り上げます。内容は「購入から数年が経過した製品が壊れ、返金を強く要求されたうえに、最終的には『詐欺で訴える』と言われた」というものです。この事例を通じて、難しいクレーム対応のポイントと改善のヒントを考えていきましょう。
ケースの始まりは、購入から4~5年ほど経過したテレビが突然動かなくなったという相談でした。受電担当者は落ち着いた口調で、購入時期・症状・型番などを確認します。この段階では、通常の故障受付として進行している状況でした。
ところが、相手は「購入時にかなり高額だったから返金してほしい」と主張します。担当者は「年数が経過しているため経年劣化の可能性がある」と説明し、修理や現物確認を案内しました。しかし、相手は「修理は時間がかかる。すぐに返金してほしい」と譲らず、要求がエスカレートしていきます。
相手は「数年で壊れるなんて詐欺ではないか」と感情的になり、担当者の説明を受け入れません。担当者は「原因を確認してから対応する必要がある」と冷静に答えますが、会話は次第にすれ違い、合理的な話し合いが難しくなっていきました。
さらに相手は「今すぐ現金を持ってこい」「悪評を書き込むぞ」「詐欺で訴える」といった過激な発言を繰り返しました。担当者は「個人の判断で金銭の対応はできない」と一貫して説明し、不適切な発言については「脅迫になりかねない」と注意を促しました。最終的に、相手は「訴える」と言い残し、電話を切る形で終了しました。
相手が強い言葉を使っても、担当者は感情的にならず淡々と応対しました。冷静さを維持することは、クレーム対応の基本であり、会社の信頼を守る上でも欠かせません。
購入時期、型番、症状などを丁寧に聞き取り、記録に残せる形で対応しました。後に「言った・言わない」のトラブルを避けるために、事実確認は非常に重要です。
返金や現金の持参といった要求に対し、「現時点では対応できない」とはっきり伝えました。あいまいな表現を避け、会社としての立場を明確にすることは、誤解を防ぐうえで大切です。
「悪評を書き込む」といった発言に対して、担当者は「脅迫とみなされる可能性がある」と冷静に指摘しました。相手の言葉をそのまま受け入れず、リスクを示す対応は適切でした。
このケースから学べる改善点もあります。
このケースから学べるポイントを整理すると、次のようになります。

今回取り上げた仮想ケースでは、数年使用した製品が壊れたことをきっかけに返金要求がなされ、さらに「詐欺だ」「訴える」といった強い言葉でのクレームへ発展しました。
担当者は冷静さを保ち、できることとできないことを明確に伝えるなど、基本に忠実な対応を行っていました。一方で、否定の仕方や早期のエスカレーションといった点では改善の余地も見られます。
クレーム対応は、担当者一人のスキルだけでなく、会社全体の体制づくりも重要です。「冷静さ」「記録」「ルール遵守」「エスカレーション」を意識し、理不尽に思える要求であっても適切に対処できる体制を整えておくことが、企業の信頼を守ることにつながります。