近年、働き方改革や労働環境の改善が叫ばれている一方で、依然として「ブラック企業」と呼ばれる職場が存在しています。ブラック企業の特徴は「残業が多い」「給与が低い」「パワハラが横行している」といったものが有名ですが、実際にはもっと日常的で些細に見えるルールや慣習の中にも、ブラック体質を示すサインが潜んでいます。今回はその一例として、「時代錯誤のルール」や「非効率な慣習」に焦点を当て、具体的な事例を挙げながら解説していきます。

本来、メールはデジタル上で確認・返信するために存在するツールです。しかし中には、「必ずメールを印刷して上司に届ける」という習慣が残っている会社があります。
一見すると「上司が紙の方が読みやすいから」という理由に思えるかもしれませんが、これは業務効率を著しく下げる行為です。メールを紙に印刷して持っていく手間もかかりますし、紙を見ながら再びパソコンで入力し直すという二度手間も発生します。
さらに、このような文化が残っている職場では、往々にして「上司がデジタルに弱く、組織全体が時代の変化に追いついていない」という構造的な問題が隠れていることが多いのです。効率よりも「昔からのやり方」を優先する職場は、働く人の時間や労力を軽視していると言えます。

「何事も手書きの方が心がこもる」という言葉は一理あるかもしれません。しかし、業務において手書きレポートを強制することは、現代において極めて非効率です。
手書きには修正が効かないため、ちょっとした書き間違いで最初から書き直さなければならず、労働時間がいたずらに延びます。また、デジタルデータと違って検索性もなく、後から活用することも難しくなります。
このようなルールが存在する背景には、「努力している姿勢を重視する」という古い価値観があります。成果よりも「どれだけ時間をかけたか」を評価される文化は、まさにブラック企業の典型です。働き方の効率化を拒み、無駄な労働を美徳としている会社には注意が必要です。

職場環境を見渡すと、その会社の働き方が見えてきます。机の上に書類が山積みになり、まるで「ジェンガ」のように不安定に積み上げられている光景が日常的にある場合、要注意です。
書類が整理されずに溜まっていくということは、業務の仕組みが整っていない証拠です。電子化が進んでいない、必要な書類の管理体制が曖昧、あるいは一人ひとりの業務が過剰で整理する余裕がない——こうした背景が透けて見えます。
さらに、書類の山は単なる見た目の問題だけでなく、情報漏洩のリスクや業務ミスの温床にもなります。顧客情報や契約書類が無造作に積まれているような会社は、コンプライアンス意識の低さを疑わざるを得ません。
会議の際、全員分の資料を印刷しなければならない職場もあります。もちろん、重要な会議や外部との打ち合わせでは紙資料が必要になることもありますが、社内の定例会議まで「印刷必須」とされるのは非効率の極みです。
資料の印刷にはコストも時間もかかります。大量の紙資料を準備するために残業を強いられるケースもあり、その労力は本来の業務に注ぐべきです。また、紙の資料は修正が効かず、直前に変更点があっても反映できないという問題もあります。
近年ではタブレットやノートPCで資料を共有するのが一般的になりつつあります。にもかかわらず、紙文化に固執している会社は「変化を拒む体質」が強く、働き方改革から取り残されている可能性が高いでしょう。
ここまで紹介した例は一見些細なことに思えるかもしれませんが、実際には「社員の時間や労力をどう扱っているか」を端的に表しています。
効率化や合理化よりも、「上司の都合」「昔からのやり方」を優先する会社は、社員の働きやすさを軽視しています。その結果、長時間労働が常態化し、心身の負担が大きくなってしまうのです。
ブラック企業の特徴は必ずしも「残業時間」や「給与」といった分かりやすい指標だけではありません。日常の業務ルールや慣習の中にも、会社の体質は如実に表れます。
これらはすべて「効率を無視した非合理的な慣習」であり、働く人の時間を軽んじている証拠です。もしあなたの職場にこれらの特徴が当てはまるなら、その会社はブラック企業である可能性が高いと言えるでしょう。
働く環境は人生に大きな影響を与えます。自分の時間と労力を大切にできる職場で働くために、こうしたサインを早めに察知し、必要であれば環境を変える勇気を持つことが大切です。