【新入社員】実践形式で良い例と悪い例の2パターンで部下の叱り方をご紹介【人材育成】

はじめに

社会人としての第一歩を踏み出す新入社員にとって、上司や先輩からの指導は成長の大きな糧になります。その一方で、指導方法を誤ると、本人のモチベーションを大きく損なったり、最悪の場合は職場への不信感や離職につながることもあります。特に「叱る」という行為は、指導の中でも難しさを伴う場面です。叱り方一つで、部下を前向きに成長させることも、逆に潰してしまうこともあるのです。

今回は「悪い叱り方」と「良い叱り方」を実践形式で比較しながら、新入社員を育成する際に上司や先輩が意識すべきポイントを丁寧に解説していきます。

悪い叱り方の例

悪い叱り方の例

具体的な場面

ある新入社員が、山田商事に送るべき契約書を誤って鈴木商事に送ってしまいました。その結果、鈴木商事から連絡が入り、ミスが発覚します。上司はその報告を受け、次のように叱責しました。

  • 「何やってるんですか、最低ですよね。」
  • 「頭の中どうなっているの。ゲーム遅くまでやってぼんやりしてるんじゃないの。」
  • 「親の顔が見てみたい。」
  • 「この根暗のクソ野郎が。」

このように、他の社員の前で大きな声を出し、一方的に責め立て、人格否定にまで及ぶ叱り方は典型的な「悪い叱り方」です。

悪い叱り方の問題点

  1. 他の社員の前で頭ごなしに叱る
    公の場で強い口調で叱ると、部下は恥ずかしさや屈辱感を抱き、萎縮してしまいます。これでは本来の「指導」という目的から外れ、ただの見せしめになってしまいます。
  2. 一方的に叱る
    部下の言い分や事情を聞かずに責め続けると、問題の本質や原因が見えなくなります。部下は「どうすれば改善できるのか」よりも「どうすれば怒られないか」に意識が向いてしまい、成長につながりません。
  3. 原因追及や改善策の提示をしない
    叱るだけでは、同じミスが繰り返される可能性が高くなります。指導は「叱る」で終わらず、「改善する方法を共に考える」ことが大切です。
  4. 人格否定を含む発言
    「親の顔が見てみたい」「根暗のウソ野郎」などの発言は、業務上のミスとは無関係であり、完全に人格攻撃です。これはハラスメントに該当し、職場の信頼関係を壊す最大の要因になります。

良い叱り方の例

良い叱り方の例

具体的な場面

同じように契約書の誤送付が発生したケースで、上司が次のように対応しました。

  • 「鈴木商事からの電話はもう切りました?」
  • 「山田商事には連絡しました?」
  • 「契約書を送るとき、誰かにチェックしてもらいました?」
  • 「今後の手順についてまた後で教えるので、とりあえず一緒に謝罪に行きましょう。」

ここでは、事実確認を冷静に行い、次にすべき行動を具体的に指示しています。そのうえで、後ほど改善策を共に考える姿勢を示しています。

良い叱り方のポイント

  1. 冷静な態度で対応する
    感情的にならず、まずは状況を整理します。電話は切ったのか、相手先には連絡したのかといった確認を順序立てて行うことで、部下も落ち着いて行動できます。
  2. 他の社員のいない場で伝える
    公の場での叱責は避け、プライベートな場面で伝えることで、部下の尊厳を守ることができます。信頼関係を壊さずに、安心して改善に取り組んでもらえるようにするのが重要です。
  3. 本人に改善策を考えさせる
    「次からどうしたらよいと思う?」と部下自身に考えさせることで、自主性を育てることができます。ただし、改善策が適切でない場合は「なぜ難しいのか」を説明し、適切な方法を伝えます。
  4. 今後の対策を一緒に考える姿勢
    「また後で手順を教えるので」と伝えるように、叱るだけで終わらず、改善の道筋を示すことが大切です。上司が伴走者として支える姿勢を見せると、部下は安心して学びを深められます。

悪い叱り方と良い叱り方の比較

悪い叱り方と良い叱り方の比較
観点悪い叱り方良い叱り方
場所公の場で叱る個別に呼んで伝える
姿勢一方的に責める双方向で話を進める
内容感情的・人格否定事実確認と改善策
効果萎縮・不信感成長・信頼関係強化

この比較からもわかるように、叱り方一つで部下への影響は大きく異なります。悪い叱り方は「委縮」と「不信感」を生み、良い叱り方は「学び」と「信頼関係」を築くのです。

まとめ

叱るという行為は、上司にとってもストレスを伴い、決して簡単なものではありません。しかし、指導者として意識すべきことは「叱ることの目的は、相手を責めることではなく、成長を促すこと」であるという点です。

悪い叱り方をすると、部下は自信を失い、職場全体の雰囲気も悪化します。一方で、良い叱り方をすれば、部下は失敗から学び、自ら改善していく力を身につけることができます。

新入社員に対しては特に、「失敗を学びに変える」サポートが必要です。冷静に事実を整理し、改善策を一緒に考え、尊重を忘れない叱り方を実践することで、部下は成長し、組織全体もより健全なものになっていくでしょう。

以上、新入社員の叱り方における悪い例と良い例を比較しながら、人材育成に役立つポイントを解説しました。叱る側にとっても学びの連続ですが、一つひとつの指導が未来の組織を支える基盤となることを忘れずに、日々のコミュニケーションを大切にしていきましょう。