社会人としての第一歩を踏み出す新入社員にとって、上司や先輩からの指導は成長の大きな糧になります。その一方で、指導方法を誤ると、本人のモチベーションを大きく損なったり、最悪の場合は職場への不信感や離職につながることもあります。特に「叱る」という行為は、指導の中でも難しさを伴う場面です。叱り方一つで、部下を前向きに成長させることも、逆に潰してしまうこともあるのです。
今回は「悪い叱り方」と「良い叱り方」を実践形式で比較しながら、新入社員を育成する際に上司や先輩が意識すべきポイントを丁寧に解説していきます。

ある新入社員が、山田商事に送るべき契約書を誤って鈴木商事に送ってしまいました。その結果、鈴木商事から連絡が入り、ミスが発覚します。上司はその報告を受け、次のように叱責しました。
このように、他の社員の前で大きな声を出し、一方的に責め立て、人格否定にまで及ぶ叱り方は典型的な「悪い叱り方」です。

同じように契約書の誤送付が発生したケースで、上司が次のように対応しました。
ここでは、事実確認を冷静に行い、次にすべき行動を具体的に指示しています。そのうえで、後ほど改善策を共に考える姿勢を示しています。

| 観点 | 悪い叱り方 | 良い叱り方 |
|---|---|---|
| 場所 | 公の場で叱る | 個別に呼んで伝える |
| 姿勢 | 一方的に責める | 双方向で話を進める |
| 内容 | 感情的・人格否定 | 事実確認と改善策 |
| 効果 | 萎縮・不信感 | 成長・信頼関係強化 |
この比較からもわかるように、叱り方一つで部下への影響は大きく異なります。悪い叱り方は「委縮」と「不信感」を生み、良い叱り方は「学び」と「信頼関係」を築くのです。
叱るという行為は、上司にとってもストレスを伴い、決して簡単なものではありません。しかし、指導者として意識すべきことは「叱ることの目的は、相手を責めることではなく、成長を促すこと」であるという点です。
悪い叱り方をすると、部下は自信を失い、職場全体の雰囲気も悪化します。一方で、良い叱り方をすれば、部下は失敗から学び、自ら改善していく力を身につけることができます。
新入社員に対しては特に、「失敗を学びに変える」サポートが必要です。冷静に事実を整理し、改善策を一緒に考え、尊重を忘れない叱り方を実践することで、部下は成長し、組織全体もより健全なものになっていくでしょう。
以上、新入社員の叱り方における悪い例と良い例を比較しながら、人材育成に役立つポイントを解説しました。叱る側にとっても学びの連続ですが、一つひとつの指導が未来の組織を支える基盤となることを忘れずに、日々のコミュニケーションを大切にしていきましょう。