
ビジネスの現場において、電話は欠かすことのできない重要なコミュニケーション手段です。直接顔を合わせることができない分、声や言葉遣いひとつで相手に与える印象が大きく変わります。特に、相手の会社名やお名前を正しく聞き取り、確実に把握することは、信頼関係を築く上で欠かせないポイントです。しかし、相手の声が小さかったり、電話回線の状況が悪かったりすると、どうしても聞き取りづらい場面が発生します。そのような場合、失礼のないように聞き返すことが求められます。
本記事では、会社名やお名前を聞き返す際のマナーと実践的な対応方法について、具体例を交えながら解説します。

相手の声が小さくて聞き取れないとき、つい「声が小さいので聞こえません」と言ってしまいがちですが、これは相手に失礼に受け取られる可能性があります。ビジネスの電話対応では、相手に不快感を与えない表現を心掛けることが大切です。
適切な言い回しの例としては、次のような表現があります。
「恐れ入ります、お電話が少々遠いようでして、もう一度お願いいたします。」
「申し訳ございません、少し音声が途切れてしまったようです。もう一度お聞かせいただけますでしょうか。」
このように、自分側の受け取り方の問題として表現することで、相手を責めることなく聞き返すことができます。
聞き返してもなかなか理解できない場合は、少し切り口を変えて確認するのも有効です。例えば名前や会社名については、以下のような聞き方ができます。
「お名前の漢字はどのような字を書かれますか。」
「会社名のアルファベットのつづりを教えていただけますでしょうか。」
相手に具体的に説明してもらうことで、より正確に把握することができます。特に電話では同音異義の名前や会社名が多いため、漢字やスペルを確認する習慣を持つと、間違いを防ぐことができます。

相手の名前や会社名を確認した後は、必ず復唱して確認することが大切です。
例:
「〇〇経営の◇◇様ですね。いつもお世話になっております。」
「△△株式会社の▲▲様でいらっしゃいますね。承知いたしました。」
復唱することで、聞き間違いによるトラブルを防ぐだけでなく、相手に「自分のことを大切に扱ってもらえている」という安心感を与えることができます。
ビジネス電話では、相手の貴重な時間をいただいているという意識が重要です。何度も聞き返すと、相手に不快感を与える可能性があります。基本的には聞き返しは2回までを目安にしましょう。
それ以上聞き取れない場合には、別の方法で確認する工夫が必要です。例えば、担当部署につなぐ際に「恐れ入ります、念のためお名前をもう一度お伺いしてもよろしいでしょうか」と自然に確認を重ねるなど、場面に応じて柔軟に対応します。
ここで、実際のやり取りを例に挙げてみましょう。
(電話を受ける)
「お電話ありがとうございます。〇〇会計事務所、△△でございます。」
「お世話になっております。私、〇〇経営の◇◇と申します。」
「恐れ入ります、お客様。お電話が少々遠いようでして、もう一度会社名からお願いできますでしょうか。」
「申し訳ございません。私、〇〇経営の◇◇と申します。」
「ありがとうございます。〇〇経営のお名前、漢字はどのような字をお書きになりますでしょうか。」
「山川海の山に、田んぼの田で、山田と申します。」
「承知いたしました。〇〇経営の山田様ですね。いつもお世話になっております。」
(担当者への取次ぎ)
「営業部の▲▲さんをお願いします。」
「かしこまりました。営業部の、恐れ入りますもう一度お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか。」
「▲▲です。」
「ありがとうございます。当社営業部の▲▲でございますね。承知いたしました、確認いたしますので少々お待ちくださいませ。」
(保留に切り替えて社内連絡)
「▲▲さん、お疲れ様です。保留の6番に〇〇経営の山田様からお電話が入っております。お願いいたします。」
「失礼いたします。」

電話対応において、相手の会社名やお名前を正しく聞き取ることは、信頼関係を築くために欠かせません。
これらのポイントを意識することで、相手に不快感を与えず、正確かつ丁寧な対応が可能になります。電話対応は一見地味に思えるかもしれませんが、積み重ねることで会社全体の印象を大きく左右する重要なスキルです。
日々の実務の中で意識的に取り組み、自然に実践できるようになることを目指しましょう。