
企業活動において避けて通れないのが「クレーム対応」です。とりわけ電話でのクレームは、相手の表情が見えないため、言葉の使い方や声のトーン、聞く姿勢ひとつで大きく印象が変わります。対応を誤ればさらなる不満を招きますが、逆に誠実な受け答えができれば、信頼を深めるきっかけにもなり得ます。
今回は、実際のクレーム電話を題材にしながら、ビジネスマナーとして押さえておくべき「電話対応の極意」を解説していきます。
クレーム電話は、通常のお問い合わせと違い、相手がすでに不満や怒りを抱えている状態から始まります。
たとえば、あるお客様が「午前中にも電話したのに返事が来ない」と怒りを含んだ口調で話してくるケースがあります。この時点で、単なる問い合わせではなく「不信感」や「苛立ち」が背景にあることが分かります。
声のトーンや話すスピードにも注目すべきポイントがあります。
こうした変化を敏感に察知することが、クレーム対応の第一歩です。
電話に出た瞬間は、通常の問い合わせと同じように「明るく、落ち着いた声」で応答することが基本です。しかし、相手が怒りを含んだ内容に入ってきたら、モードを切り替える必要があります。
ここで大切なのは次の2点です。
感情に振り回されず、事実を整理していく姿勢が欠かせません。
クレーム対応が長引くと、相手の怒りがさらに強まってしまうことがあります。そこで効果的なのが「確認」を挟むことです。
たとえば、相手が一通り話し終えたタイミングで、
「〇〇様、今おっしゃった内容は『注文した30インチの白いテレビが届くはずだったのに、20インチのシルバーが届いた』ということでよろしいでしょうか?」
と要点を確認します。
これによって、
という効果があります。
確認は相手の話を途中で遮るのではなく、「ひと区切りついたタイミング」で挟むのがポイントです。これにより、相手の話を尊重しながらも、必要以上に電話が長引くのを防ぐことができます。

クレーム対応で忘れてはならないのが、「不快な思いをさせてしまった事実を受け止める姿勢」です。
たとえ商品の取り違えや伝達ミスが原因であったとしても、相手が感じている「迷惑をかけられた」「期待を裏切られた」という思いを無視してはいけません。
そのため、まずは
「大変失礼いたしました。誠に申し訳ございません」
と謝罪を伝えます。
謝罪の言葉は、事実確認を行う前後どちらの段階でも必要です。
こうした段階的な謝罪が、相手の気持ちを和らげる効果を持ちます。
ここまでの内容をまとめると、電話でのクレーム対応は以下の流れを意識するとスムーズです。
この流れを意識することで、相手の感情をなだめつつ、冷静に問題解決へと導くことができます。
電話でのクレーム対応は、単に「謝罪すること」ではなく、
相手の怒りの裏には「期待を裏切られた残念な気持ち」や「不安」が隠れています。その感情を受け止め、解決に向けて行動する姿勢こそが、ビジネスマナーとして求められる対応です。
クレームは決して嬉しいものではありません。しかし、真摯に向き合うことで、顧客との信頼関係をより強固にできるチャンスでもあります。日々の業務でこの対応力を磨いておくことが、社会人として大切なスキルの一つといえるでしょう。