【電話対応】クレーム内容を伝えずに超理不尽なクレーム対応してもらってみた【ビジネスマナー】

理不尽なクレームにどう向き合うか

理不尽なクレームにどう向き合うか

~冷静さと誠実さで信頼を守る対応術~

ビジネスの現場において、顧客からの問い合わせやクレーム対応は避けて通れない業務のひとつです。多くの場合、クレームは商品やサービスに関する正当な不満や改善点として受け止めるべきものであり、企業の成長や信頼獲得につながる重要な声でもあります。しかし一方で、時には事実関係や因果関係が不明確な「理不尽なクレーム」に直面することもあります。

今回ご紹介する事例は、あるコールセンターに寄せられた一件の電話をもとに、理不尽な要求に対してどのように冷静かつ誠実に対応すべきかを考えていきます。

■事例の概要

ある日、FPI株式会社のコールセンターに一本の電話がかかってきました。電話の主は「△△」と名乗る人物です。

△△氏は冒頭から「チョコレートを食べすぎて虫歯になった。治療費を負担してほしい」と要求してきました。しかし、同社はチョコレートの製造や販売には一切関わっておらず、扱っているのは絵画のみです。その旨を丁寧に伝えると、今度は「板橋順二という画家の絵を購入したら虫歯になった」と話がすり替わっていきます。

さらに、「絵を買ったことと虫歯には因果関係がある」「科学的根拠がある」「論文が存在する」と主張し、根拠を示すよう求められました。担当者が冷静に証拠の提示をお願いすると、「証拠を送るためにパソコン代や郵送代を負担してほしい」といった要求に発展していきます。

終始、論理的なつながりが不明瞭な要求が続き、最後には「録音は犯罪ではないか」と責任追及に話題が移りました。

このように、根拠のない主張や理不尽な要求が繰り返されるケースは、現場で働く担当者にとって大きなストレスとなります。しかし、この事例から学べるのは「いかに冷静さを失わず、誠実さを持って対応を続けるか」という点です。

■対応のポイント

1. 冷静に事実確認を行う

1. 冷静に事実確認を行う

まず重要なのは、相手の主張を感情的に受け止めず、淡々と事実関係を確認する姿勢です。

本事例でも担当者は「弊社はチョコレートを扱っていない」「絵画販売が虫歯の原因となる因果関係は確認できない」と、根拠に基づき冷静に説明を繰り返しました。

理不尽な要求に対して感情的に反論すると、かえって相手を刺激し、話がさらにこじれる恐れがあります。客観的事実を確認し、それ以上は推測で答えないことが肝要です。

2. 相手の言葉を否定せず受け止める

クレーム対応では、相手の主張に対して「それは間違っている」と即座に断言してしまうと、相手は強く反発します。本事例の担当者は、「左様でございますか」「そうなんですね」と、相手の発言をいったん受け止めながら対応していました。

受け止めることは「同意すること」とは異なります。まずは話を遮らずに傾聴し、相手の気持ちを尊重することが信頼につながります。

3. 因果関係を明確にする

理不尽な要求の多くは「事実」と「結果」を無理やり結びつけようとする点に特徴があります。今回のケースでは「絵を買ったこと」と「虫歯になったこと」がそれに当たります。

担当者は「現状のお話からは因果関係が確認できない」と繰り返し丁寧に説明しました。科学的な根拠を求められた際も、証拠が提示されるまでは対応できないと一線を引いています。

このように、相手の主張を曖昧に受け流さず「因果関係が不明な限り責任は負えない」と明確に伝えることが大切です。

4. 費用負担や金銭要求には毅然と対応する

4. 費用負担や金銭要求には毅然と対応する

「証拠を送るためにパソコン代や郵送代を負担してほしい」という要求は、事実確認が取れない状態では当然応じられません。ここで安易に譲歩してしまうと、新たな要求を呼び込み、対応がエスカレートする可能性があります。

担当者は「弊社の責任が明確でない段階では費用負担はできない」と一貫した姿勢を崩さず、会社としての立場を守りました。この毅然とした対応は、長期的に見て企業を守ることにつながります。

5. 録音や手続きの正当性を説明する

最後に「録音は犯罪ではないか」と追及された場面がありました。ここでも担当者は、事前にアナウンスで案内していることを伝えたうえで「今後はより聞こえやすいよう改善する」と柔軟に対応しました。

自社の仕組みやルールを説明しつつ、改善点があれば真摯に受け止める姿勢は、相手への誠意を示すことにつながります。

■理不尽なクレームに負けないために

この事例のように、理不尽な要求や筋の通らない主張は、どの企業でも起こり得ます。重要なのは「感情的にならず、冷静に、かつ誠実に対応する」ことです。

事実を確認し、因果関係を明確にする

相手の言葉を否定せず受け止める

責任の範囲を明確にし、金銭要求には毅然と対応する

自社のルールや仕組みを丁寧に説明する

これらを徹底することで、理不尽なクレームであっても企業の信頼を守ることができます。

■まとめ

クレーム対応は一見すると「防御」のように思われがちですが、実際には企業の姿勢や担当者の誠実さがもっとも表れる場面です。理不尽な要求に流されることなく、かといって感情的に反論するのでもなく、冷静さと誠実さをもって応対することが、最終的には顧客や社会からの信頼を築く道となります。

今回の事例は極端なケースではありますが、私たちが日々直面するクレーム対応の基本を改めて教えてくれるものです。現場で働く方々が冷静な判断力と誠実さを忘れずに、安心して対応にあたれるよう、企業としても研修やマニュアルの整備を進めていくことが求められます。