
社会人として働き始めると、日々の業務の中で最も基本的でありながら、実は最も重要といっても過言ではない行為があります。それが「挨拶」です。挨拶は単なる言葉のやりとりにとどまらず、相手との関係を築き、自分の存在を周囲に示すための大切なコミュニケーションの一歩です。
本記事では、新入社員の方に向けて「挨拶の意味」と「挨拶を実践する際の具体的なポイント」を丁寧に解説していきます。
まずは「挨拶の意味」について考えてみましょう。
私たちが日常的に行う挨拶は、単なる慣習や形式的な動作ではありません。そこには大きな意味が込められています。
挨拶とは、相手の存在を認め、その存在を積極的に伝える行為です。たとえば「おはようございます」と声をかけることは、「あなたがここにいることを私はちゃんと認識していますよ」というメッセージでもあります。つまり、挨拶をされる側からすると「自分が存在を認められている」と感じられるのです。
人間には「自分の存在を認めたい、他人からも認められたい」という気持ちがあります。これは心理学で「承認欲求」と呼ばれ、人間の根源的な欲求の一つです。挨拶はこの承認欲求を満たす最もシンプルで効果的な方法といえるでしょう。
新入社員の方にとっても、挨拶は周囲との信頼関係を築く第一歩です。積極的に挨拶をすることで、自分の存在を認めてもらえるだけでなく、相手の承認欲求を満たすことにもつながり、双方にとって心地よい人間関係の土台をつくることができます。
挨拶は社会生活すべてにおいて大切ですが、特にビジネスの現場では欠かせないものです。
会社に出社して同僚とすれ違うとき、エレベーターで上司と一緒になったとき、打ち合わせの場に入るとき。そうした一つひとつの場面で「おはようございます」「お疲れさまです」と声をかけるかどうかで、相手との距離感は大きく変わります。無言ですれ違ってしまうと、どうしてもよそよそしい印象を与えてしまいますが、一声かけるだけで場の空気が和み、良好な関係が築かれていくのです。
挨拶は「友好的な意思を伝えるサイン」でもあります。こちらが好意的であることを伝えることで、相手も安心し、関係性が前向きになります。特に新入社員の場合、まだ自分の能力や成果で評価を得るのは難しい時期です。その分、明るく気持ちのよい挨拶をすることで信頼を得られることは少なくありません。
また、社内で挨拶ができない人は、当然ながら社外でも同じ印象を与えてしまいます。ビジネスの現場では「社外でもきちんと挨拶できる人」でなければ、大切な取引先に紹介することはできません。だからこそ、挨拶は単なる形式ではなく「仕事のスタートを切る第一歩」として強く意識する必要があるのです。
では、実際に挨拶をするときに心がけるべきポイントを整理してみましょう。
(1)身だしなみを整える
挨拶は「第一印象」と深く結びついています。せっかく明るく元気に挨拶しても、服装が乱れていたり、靴が汚れていたりすると、相手の受け止め方は大きく変わってしまいます。
具体的には以下の点を確認しましょう。
「身だしなみの点検」は挨拶の前提条件ともいえます。相手に「きちんとした人だ」と思ってもらうことで、挨拶の効果が高まります。
(2)基本姿勢を整える
挨拶は声や言葉だけでなく、姿勢や態度でも伝わります。正しい姿勢を意識することは、相手に対して誠意を示すことにつながります。
基本姿勢は「気をつけの姿勢」です。
この姿勢から背筋を伸ばしたまま腰の関節を曲げると、美しいお辞儀につながります。
(3)お辞儀の角度
挨拶のときに行うお辞儀には段階があります。
この角度の違いを意識することで、場面に応じた適切な挨拶ができるようになります。
(4)目線を合わせる
お辞儀や挨拶の際には、相手の顔や目を見ることも忘れてはいけません。特にお客様や上司と挨拶を交わすとき、視線を逸らしたままでは「誠意が伝わらない」「自信がなさそう」と思われてしまいます。挨拶の言葉を伝えるときには相手の目を見て、そこからお辞儀に移ると自然で印象も良くなります。
挨拶は「一度学べば終わり」ではなく、毎日の積み重ねが大切です。特に新入社員のうちは、緊張や不慣れさから挨拶を忘れてしまったり、小さな声になってしまうこともあるでしょう。しかし、それではせっかくの機会を逃してしまいます。
(1)自分から先に声をかける習慣を持つ
挨拶は「されるのを待つ」のではなく、自分から積極的に行うことが重要です。自ら先に挨拶することで、主体性や積極性が伝わり、周囲からも好印象を持たれます。
(2)声のトーンと表情を意識する
無表情や暗い声では、挨拶の効果は半減してしまいます。明るくハキハキとした声で、笑顔を添えるだけで印象は格段に良くなります。
(3)繰り返し実践して自然にする
最初はぎこちなくても構いません。毎日意識して繰り返すことで、次第に自然にできるようになります。挨拶が「当たり前の習慣」になれば、どんな場面でも自信を持って振る舞えるでしょう。

挨拶はビジネスマナーの基本中の基本ですが、その意味を深く理解し、実践できている人は意外と多くありません。挨拶とは、相手の存在を認め、承認欲求を満たす大切な行為であり、職場の人間関係を円滑にし、仕事をスムーズに進めるための基盤です。
新入社員の方は、まず「身だしなみの確認」「正しい姿勢」「お辞儀の角度」「目線」など基本をしっかり押さえましょう。そして何より、積極的に自分から挨拶をする姿勢を大切にしてください。
挨拶はすべてのスタートです。日々の小さな挨拶の積み重ねが、信頼関係を築き、やがて大きなチャンスへとつながっていくでしょう。